（国研）国立がん研究センターの社会と健康研究センターはこのほど、HDLコレステロールが軽度認知障害・認知症のリスク低下に関連しているという研究結果を発表した。

　研究は、1990年に長野県佐久保健所管内に在住の40～59歳の約1万2,000人のうち、95～96年の健診データがあり、2014～15年に「こころの検診」に参加した1,114人を対象に実施。HDLコレステロールと軽度認知障害・認知症との関連を調べた。

　「こころの検診」により、1,114人のうち386人が軽度認知障害、53人が認知症と診断された。血中HDLコレステロール濃度を4分位に分け、喫煙・飲酒などのほかの危険因子を統計学的に調整後、血中HDLコレステロールが一番低いグループを基準とした場合のほかのグループの軽度認知障害のリスクを比較した。

　その結果、基準と比較して、血中HDL濃度が一番高いグループの軽度認知障害のリスクは0.47倍となり、53％の低下がみられた。認知症については、基準と比較して、ほかのグループのリスクは0.37倍となり、63％の低下が認められた。