CBN規制、実施時期未定に 厚労省、2月中旬公布のスケジュール見送り 指定薬物化の方針は崩さず
大麻草に含まれるカンナビノイドの一種、CBN(カンナビノール)の指定薬物化を巡り、厚生労働省は、予定していた改正省令の公布・施行スケジュールを見送った。規制の実施時期が事実上未定となったが、同省は指定薬物化の方針を崩しておらず、現在、監視指導・麻薬対策課が今後のスケジュールを検討している。指定薬物としての規制は適用されない状態が続くものの、同省は専門部会の答申を踏まえ、消費者に対し、CBNを含む製品の購入や摂取を避けるよう呼び掛けている。
厚労省「手続きに時間」、新たな期日「検討中」
同省は、CBNを指定薬物に指定する改正省令を2月中旬にも公布し、公布日から起算して10日を経過した日の施行を予定していた。これを見送った理由について同課は13日、ウェルネスデイリーニュースの取材に対し、パブリックコメントの精査、改正省令の施行に向けた省内手続きのほか、CBN製品を使用する必要性を医師から診断された疾患の患者に限り特例的に使用を認める手続きに「時間を要している」などと説明した。2月初めに同省ウェブサイト上の情報が書き換えられており、少なくともその時点でスケジュールの見直しが決まっていたとみられる。

CBNの指定薬物化に対する国民の意見を求めるパブコメは、昨年10月29日から12月28日まで募集されていた。同省は当初、期限を11月27日までとしていたが、検討材料としてCBNの精神毒性評価データのほか、指定薬物化を審議した専門部会の議事録を追加公表したことを理由に、約1カ月間延長。それに合わせて改正省令の公布予定日を12月中旬から2月中旬に変更していた。寄せられた意見は、「かなり多い」(同課)という。パブコメの結果は改正省令の公布に合わせて公表する考えだ。
指定薬物に指定されるとCBNを含む製品の製造、輸入、販売、所持、使用が一部の例外を除き全面的に禁じられる。このため、カンナビノイドの関連事業者や愛用者が多数のパブコメを同省に提出したとみられる。パブコメの受付終了後も、事業者団体が指定薬物化に反対する署名活動を行っている。他方で、指定薬物化を見越し、「クリアランスセール」を行ったり、終売したりする動きも出ている。
大麻草に含まれるカンナビノイドのうちTHC(テトラヒドロカンナビノール)は麻薬成分として厳しく規制されている。一方、同じくカンナビノイドに分類されるCBD(カンナビジオール)と同様、CBNは原則として麻薬規制の対象外。このため、CBNを配合したクッキーやグミなどの食品や雑貨類などの関連製品がインターネット上などで多数販売されていたが、昨年10月下旬、厚労省が「精神毒性」を理由に指定薬物として指定する方針を示し、カンナビノイド関連事業者らに波紋を広げた。ある事業者は「国内市場規模はCBNの方がCBDよりも大きい」と見る。
なぜ指定薬物化?
昨年5月、CBN高含有を訴求するクッキーを摂取したとされる学生の転落事故が山梨県で起きていた。これを受け、同省は精神毒性に関する調査を実施。その結果、これまでに指定された指定薬物と同等の精神毒性が示されたという。その後、指定薬物該当性を審議した同省の薬事審議会指定薬物部会が「指定が妥当」と答申したことで指定薬物化の流れが決まった。
しかし、事業者団体などから規制のプロセスが「不透明」だとする指摘や、指定薬物に指定する科学的根拠を疑問視する声が上がった。これを受け、同省は精神毒性評価データなどを追加公表し、パブコメ期限を延長していた。
指定薬物は、いわゆる「脱法ドラッグ」を迅速に取り締まるための制度。根拠法は医薬品医療機器等法(薬機法)で、その定義については「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(中略)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定するもの」(第2条第15項)と規定されている。カンナビノイドを巡っては、麻薬成分のTHCと類似の構造を持つ「合成カンナビノイド」がこれまでに多数、指定されている。
【石川太郎】
関連記事:厚労省、CBNを「指定薬物」に追加へ 精神毒性の懸念を理由に規制強化
:どうなるCBN規制 事業者団体が反対意見、指定する「科学的根拠あるか」
:CBN規制巡るパブコメで厚労相見解「意見の多寡でなく内容に着目」
:CBN規制、パブコメ期限1カ月延長 厚労省、精神毒性評価データを追加公表
:【寄稿】カンナビノイド研究者によるCBN規制に関する考察と提言(前編)
:【寄稿】カンナビノイド研究者によるCBN規制に関する考察と提言(後編)











