65歳以上の消費者相談の実態は? 国民生活センターが調査報告書を公表
(独)国民生活センター(国セン、山田昭典理事長)はこのほど、2023年度までに全国の消費生活センターに寄せられた65歳以上の消費生活相談についてのデータをまとめた。この報告書は、高齢者が直面する消費者問題の実態とその対策について、重要なヒントを提供している。
2023年度の65歳以上の消費生活相談件数は27万6,988件で、相談全体に占める割合は35.8%だった。
相談件数は年々増加しており、高齢者の消費生活に関するトラブルが増加していることがうかがえる。
65歳以上・未満で共通して多かったのは、「化粧品」や「健康食品」に関するもの。特に、定期購入に関連するトラブルが目立った。
その他、「修理サービス」、「移動通信サービス」、「インターネット接続回線」など、通信関連のサービスに関する相談も多い。
さらに、高齢者特有の相談として「屋根工事」や「新聞」、「放送」などが新たに上位に挙げられている。
80歳以上の高齢者では、「移動通信サービス」や「インターネット接続回線」の相談が減少し、「新聞」や「電気」に関する相談が増加している。
これは、高齢になるにつれて在宅時間が長くなり、訪問販売や電話勧誘販売の標的になりやすいことに起因している。
65歳以上で最も多い相談形態は「通信販売」。年齢が高くなるにつれてその割合は減少し、「訪問販売」の割合が増加している。
この変化は、高齢者がオンラインよりもオフラインの販売形態でトラブルに遭遇しやすい状況を反映している。
報告書では、不安を感じたら家族や知人・最寄りの消費生活センターへ早めの相談を呼び掛けている。また、身近な高齢者がトラブルに遭っているのではないかと気付いた時も、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員から消費生活センターへ連絡するように呼び掛けている。
※最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センターを案内する全国共通の3桁の電話番号は、消費者ホットライン「188(いやや!)」