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4月1日、臨床研究法が完全施行

<健康維持・増進を超えた健康食品の試験も対象>

 臨床研究データの信頼確保を目的とする臨床研究法が4月1日、完全施行される。疾病の予防・改善・治療などをアウトカムとした健康食品の臨床試験も対象となり、法の規定を順守していない場合は違反に問われる。

 2012年に浮上した降圧剤のデータ改ざん事件を機に、厚生労働省は検討会を設置し、臨床試験の信頼回復に向けた取り組み方針を取りまとめた。それを受けて法整備が進められ、17年4月14日に公布、昨年4月1日に施行された。今月末までを経過措置期間としている。

 臨床研究法では、「未承認や適応外の医薬品等の臨床試験」と「製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究」を「特定臨床研究」と位置づけ、厳しい規制を敷いている。

 特定臨床研究を実施する事業者は、実施計画を厚労大臣が認定した「認定臨床研究審査委員会」へ提出。認定臨床研究審査委員会の審査を経て、厚労省へ提出することが義務づけられた。認定臨床研究審査委員会は3月29日現在で89機関が認定されている。その多くを大学や独立行政法人などが占める。

 例えば、アウトカムをアトピー性皮膚炎の改善やインフルエンザ予防などとした健康食品の臨床研究についても、認定臨床研究審査委員会へ実施計画を提出しなければならない。そこでの審査をパスすることが、健康食品企業にとって1つ目のハードルとなる。

 臨床研究を実施する際には、適切なインフォームド・コンセントの取得や実施基準の順守をはじめ、記録の作成・保存などが要求される。実施基準として、(1)臨床研究の実施体制・構造設備、(2)モニタリング・監視の実施、(3)健康被害の補償・医療の提供、(4)製薬企業等との利益相反管理――などに関する事項が定められている。

 これらの規定に違反すると、厚労省は改善命令や研究の停止命令などを出すことができる。命令に従わない場合などでは、罰則を科す。

 健康食品・食品・飲料であっても、アウトカムを疾病の予防・改善・治療などとした場合、未承認医薬品に該当し、臨床研究法の適用を受ける。ただし、特定保健用食品(トクホ)の申請と、機能性表示食品の届出のために実施する臨床試験については、原則として食品の試験とみなされ、法の対象外となる。ただし、自動的に対象外とするわけではなく、個々のケースで医薬品医療機器等法上の「医薬品」に該当するかどうかが問われる。

 例えば、トクホで求められる全ての要件や機能性表示食品の届出ガイドラインなどを完全に順守している場合は、法の適用を受けないと考えられる。一方、健康の維持・増進の範囲を超えた試験内容であったり、複数の評価項目を設けて、その1つに疾病の予防・改善・治療を設定したりすると、法の適用を受ける。

<機能性表示食品の質疑応答集で注意喚起>

 消費者庁が26日に公表した機能性表示食品の質疑応答集で、次のように説明している。

 「ガイドラインに則って実施したヒト試験であっても、特定の保健の目的が期待できる旨の表示の範囲を超える有効性を明らかにする目的のヒト試験は、未承認の医薬品を用いた臨床研究として、臨床研究法に規定する臨床研究に該当する可能性があるため、留意が必要である」。

 消費者庁では「研究目的が疾病の予防や治療であれば、臨床研究法が適用されるが、消費者庁として臨床研究法の対象であるかどうかは判断しない」(食品表示企画課)方針だ。

 機能性表示食品の場合、研究レビューによる届出が大半を占める。研究レビューと臨床研究法の関係はどうか。厚労省の担当課は、「臨床研究法は施行後に実施される臨床試験を対象とした法律であり、研究レビューなどの過去の論文については対象としていない」(研究開発振興課)と説明している。

 臨床研究法の完全施行を前に、医薬品業界だけでなく、健康食品業界でも臨床試験法への移行手続きを進める動きが見られた。認定臨床研究審査委員会として認定されたある大学の関係者は、「多数の食品企業が、臨床研究法への移行を進めた」と話す。また、実施中の臨床試験を断念するケースもあったという。

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