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フードバンク認証制度説明会に質問多数 消費者庁・農水省が概要説明、4月スタート

 消費者庁と農林水産省は16日、フードバンク認証制度に関するオンライン説明会を開催した。説明会では、消費者庁が制度の目的や審査基準などの概要を、農林水産省がフードバンクオープンリストの運用についてそれぞれ説明した。
 制度は食品寄付の信頼性向上を目的に創設され、トレーサビリティや衛生管理など一定の基準を満たすフードバンクを認証する仕組みとなる。認証はオープンリスト掲載を前提とした2段階構成で、4月1日から申請受付を開始する予定。企業の寄付拡大と食品ロス削減の双方を後押しする施策として位置付けられている。

食品寄付の信頼性向上を目的に制度創設

 消費者庁は、フードバンク認証制度の目的について、トレーサビリティや衛生管理など一定の管理責任を果たすフードバンクを認証することで、食品寄付への社会的信頼を高め、企業等からの食品寄付の拡大につなげることにあると説明した。

 制度創設の背景として、企業が食品寄付をためらう要因として「横流しの懸念」や「不適切な保管による食中毒リスク」などがあることが、官民協議会のヒアリングで把握されたと述べた。その上で、本来寄付可能であるにもかかわらず廃棄されている食品は20万トンを超えると推計される一方、フードバンクが取り扱う食品量は約1.6万トンにとどまっていると指摘。このギャップを埋めることが制度の重要な課題であるとした。

 制度はフードバンク活動を義務付けるものではなく、食品寄付を行う企業からの要望を踏まえて官民協議会で議論した施策である。消費者庁と農林水産省が連携し、食品ロス削減と食品寄付促進の双方の観点からフードバンク活動を後押しする施策として位置付けられている。

オープンリスト掲載と認証の二段階

 フードバンク認証制度は、「フードバンクオープンリストへの掲載」と「認証取得」の2段階で構成される。
 認証を希望する団体は、まずフードバンクオープンリストへの掲載が必要となる。掲載後、審査基準に基づく申請手続きを行い、文書審査と現地審査を経て認証が付与される仕組みだ。
 申請に際しては、認証申請書や認証申請項目一覧表などの書類を用意し、GビズIDを取得したうえで電子申請を行う。申請書類はGビズポータルの電子ロッカーを通じて提出される。Gビズポータルについてはこの後、デジタル庁がその概要を説明した。

 審査は文書審査の後、認証事務局が現地審査員を派遣して実施する。審査期間は申請件数によって変動するが、概ね2カ月程度での完了を目標としている。認証の有効期間は3年間で、年1回の活動状況報告が求められる。
 認証取得後は、消費者庁のウェブサイトで公表される他、認証ロゴマークの使用が認められる。

審査基準は57項目

 認証の審査基準は、トレーサビリティ確保、食品衛生管理、提供先対応、在庫管理、ガバナンスなどの分野にわたり、全57項目で構成される。
具体的な対応例として、食品受入時の情報記録やバーコードによる管理、食品表示情報の保存などによるトレーサビリティ確保が挙げられた。
 また、食品衛生管理の例として、冷蔵庫や冷凍庫にデータロガーを設置して温度を自動記録する方法や、保冷ボックスの温度測定、段ボール下へのパレットやシートの設置などが紹介された。
在庫管理では、入出庫管理システムの活用やQRコードによる記録などの方法が示された。さらにガバナンスの観点では、定款や役員名簿、事業計画書、収支計算書などの最新情報をウェブサイトで公開することなどが例として説明された。
 なお、個人への直接支援のみを行うフードパントリーや子ども食堂は認証対象外となるが、社会福祉施設等への食品提供などBtoBの活動を行う団体については申請が可能になる。

農水省が「フードバンクオープンリスト」を運用

 農林水産省は、フードバンクオープンリストについて説明した。同リストは、これまで内部の作業要領で運用していた「フードバンク活動団体一覧」を、規定に基づくかたちに整理して運用するものである。名称を「フードバンクオープンリスト」に改め、申告に基づく一覧であることを明確化した。

 掲載項目については、食品企業等が寄付先を選びやすくするため、「主な活動内容・特に求めている品目」、「受け入れ可能日(営業日)」、「駐車可能な車両サイズ」、「冷凍冷蔵設備の有無」――の4項目を新たに追加した。
掲載を希望するフードバンクは、所定の様式に必要事項を記載し、地方農政局等へ提出する。活動実態の確認を経てリストに掲載される。既存の掲載団体については、手続き上の大きな変更はないとしている。

制度は4月1日スタート

 フードバンク認証制度は4月1日から開始し、申請受付も同日から随時受け付ける。
政府は、フードバンク活動を食品ロス削減および食品寄付促進の中核と位置付け、補助事業を含む支援策を通じて各団体を支援していく方針。2026年度には、フードバンク認証取得に向けた体制整備を支援する事業として、システム導入や改修費用の補助も予定している。

 質疑応答では20件を超える質問が出たが、主な質疑を以下に紹介する。

<質疑応答>
Q:フードパントリーやコミュニティパントリーは、フードバンクオープンリストに掲載できるのか。
A:掲載可能。個人や市内企業・団体から寄付された食品を個人や子ども食堂に渡す団体はフードパントリー・コミュニティパントリーとして分類されるが、オープンリストへの掲載は可能である。
今回新たに設けられた「主な活動内容」の欄に「フードパントリー」と記入することで対応できる。フードバンクとの境界が必ずしも明確でない活動形態もあるため、これまでも掲載可能という方針で運用されてきた。

Q:認証審査では、アレルゲン情報の確認や記録はどの程度求められるのか。
A:フードバンク活動においても食品表示法が適用されるため、アレルゲン情報を含む食品表示の確認は必須。
審査基準では、アレルギー情報などのデータを1年間保持することが求められている。これは事故対応時のエビデンス確保や事故防止の観点から重要とされている。
ただし、体制を整備中の団体については、一定期間の取り組みが機能しているかを現地調査で確認するなど、状況に応じた柔軟な対応を行う方針だ。記録方法についても、スマートフォンでの表示ラベル画像保存などさまざまな方法が認められる方向にあり、個別相談にも対応する。

Q:フードバンクはPL保険に加入する必要があるのか。
A:PL保険(製造物責任保険)は製造者向けの保険で、フードバンクへの適用は想定されていない。
食中毒などの事故を想定した損害賠償保険や、フードバンク向け損害賠償保険、ボランティア保険などへの加入が適切とされている。食品寄付ガイドラインでは、関係者それぞれが保険に加入することが推奨されている。

Q:任意団体でも認証申請は可能か。
A:任意団体でも申請は可能。ただし、定款に相当する規定を作成し、公表していることが認証要件として必要となる。

Q:GビズIDの管理はどのように行うのか。
A:GビズIDは個人のマイナンバーカードを起点にアカウントが発行される。担当者が退職した場合は、そのアカウントを削除する必要がある。削除しない場合、従業員アカウントとして残り続けるため、退社時には速やかな手続きが求められる。

Q:食品事故が発生した場合、責任は誰が負うのか。
A:食品事故が発生した場合、フードバンク、フードパントリー、子ども食堂など、食品を扱う各関係者が初動対応を担う必要がある。
原因調査は保健所が実施する。無償譲渡であっても、不特定多数への提供であれば食品衛生法が適用される。責任の所在は事故原因によって異なる。製品自体の問題はメーカー、保管上の問題はフードバンク、調理上の問題は子ども食堂が責任を負う。

Q:小規模フードバンクは認証を取得しなければ活動できなくなるのか。
A:認証は活動の必須条件ではない。認証を取得しなくてもフードバンク活動は継続できる。
認証制度は主に企業の寄付における信頼確保を目的としており、大口・広域の寄付を受ける際の仕組みとして設けられている。
地域で活動する小規模フードバンクについては、オープンリストを活用することで地域内の活動を継続できるとされている。

Q:認証制度はなぜ設けられたのか。
A:企業側には、寄付によるブランド毀損などのリピュテーションリスクを懸念して寄付をためらうケースがある。
認証制度は、そのような企業の不安を軽減し、寄付の促進につなげることを目的として設計された。

Q:認証制度の申請手続きはどのようになるのか。
A:認証申請は、GビズIDを取得した上で申請する。申請受付は4月1日から開始する予定。確定版の実施要項、審査基準、様式などは3月最終週に消費者庁のホームページで公表される予定だ。申請から認証までの期間は、おおむね2カ月程度を目安としている。

Q:フードドライブで集めた食品はトレーサビリティ対象になるのか。
A:フードドライブ(個人からの食品収集)は、食品寄付ガイドラインのトレーサビリティ対象外。そのため、環境省の「フードドライブの手引き」に基づいて管理することが求められる。管理事項としては、食品表示の確認と適切な保管が中心となる。

Q:認証制度によって寄付は増えるのか。
A:官民協議会では、企業がレピュテーションリスクを理由に寄付をためらっている実態が確認されている。
行政が関与する認証制度が設けられることで、企業の社内決裁が通りやすくなり、寄付の増加が期待されている。

【田代 宏】

当日の配布資料はこちら(消費者庁HPより)

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(冒頭の画像:配布資料を基に編集部で作成)

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