サプリGMP「概ね実施」約6割 機能性表示食品巡り消費者庁専門チームが途中報告、規制の在り方検討の部会に
消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会が3月30日に開催したサプリメントの規制の在り方を巡る議論(3月31日付既報)。この日、部会委員への説明を行ったのは、事務局を務める消費者庁食品衛生基準審査課だけではない。昨年4月、同庁食品表示課に新設されたGMPチームも。昨年6月頃から全国を飛び回りながら進めている、機能性表示食品のGMP(適正製造規範)実施状況の確認・助言の現状を報告した。それに対して委員からは、製品標準書を巡る指摘も挙げられた。
経過措置期間中も「体制構築中」67施設
厚生労働省と消費者庁が連携して検討を進める「サプリメントの規制の在り方」。食品衛生基準行政を所管する同庁側が検討を進めているのは、サプリの定義と、製造管理(GMP)の在り方の2つ。この日の部会で食品衛生基準審査課は、事業者・消費者団体へのヒアリングや委員の意見を踏まえ、それぞれの検討事項について論点を提示した。後者の焦点は、GMP義務の対象となる加工食品がどこまで拡大されるかだ。
現在、法令で規定するGMP基準への適用が義務付けられている加工食品は、指定成分等含有食品と、機能性表示食品および特定保健用食品(トクホ)のそれぞれサプリメント形状(錠剤やカプセル剤等)に限られる。
一方、義務の根拠法令がそれぞれ異なる(指定成分等含有食品=食品衛生法、機能性表示食品・トクホ=食品表示基準に基づく告示)という歪さがあり、食品安全を規律する食品衛生法に一本化する、あるいは、サプリを規律する新たな法制度等でGMPを義務付ける方向に議論が進むかどうかも焦点。ちなみに、サプリ形状の加工食品全般に対して事業者による自主的なGMP実施を求める技術的ガイドライン(通知)は、食品衛生法に紐づけられている。
2024年に生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、機能性表示食品とトクホのサプリ形状の製造・品質管理におけるGMP義務化が施行されたのは同年9月。2年の経過措置期間を経て、今年9月1日に完全実施を迎える。それに向けて、消費者庁食品表示課GMPチームは昨年から、対象となる全国の製造施設のGMP実施状況の確認・助言を進めている。その現状を、同チームのトップアドバイザーがこの日の部会で報告した。
確認の結果、今年2月末の時点で「概ね実施できている」施設は約6割だったという(下の画像を参照)。

機能性表示食品のサプリ形状のGMP基準は、食品表示法を大元とする内閣府令の食品表示基準の規定に基づく内閣府告示に定められている。基準の遵守を義務付けられているのは届出者(販売会社)だ。
ただ、多くの届出者が受託製造・加工(OEM)会社に製造・加工を委託している(健康食品全般が同様)。このため多くの場合、義務への対応に実質的に当たるのはOEM会社の製造施設となる。GMPチームは、そうした製造施設へ事前に連絡の上で直接訪問し、「だいたい1日かけて」施設内部の見学や聞き取りなどを行いながらGMP実施状況を確認して回った。
製品標準書やバリデーションなどに課題
14施設が対象外。これはGMP基準が適用されない一般加工食品や原材料などを製造等する施設だったという。
一方、約3割に相当する67施設がGMP体制を構築中だった。8月末までは経過措置期間のため「直ちにダメだということにはならない」。とはいえ、同チームとしても懸念を抱いているようだ。「消費者庁としてフォローアップを引き続き行い、経過措置期間内に何とかGMP実施体制を構築できるようにもっていきたい」などと述べた。
GMP基準には、総括責任者等の設置などGMP実施体制の構築から構造設備の構築まで、大きく15項目の要求事項がある。「(2月末までに確認した)226施設について(GMP実施状況を)項目毎に見ていくと、概ね8割程度以上はできている傾向にあった」
だが、GMP体制構築中の67施設については「足りていない」部分も見られたという。
具体的には、GMP実施体制や製品標準書等の作成。GMP実施体制が足りていない場合は、総括責任者による出荷判定などの出荷管理も。また、バリデーションの実施に関しても「今後のフォローアップの際の確認・助言の対象項目となる傾向」があると説明した。とりわけ、製品の「設計図」ともいえる製品標準書等の作成と、意図通りの結果を一貫して出すために求められるバリデーションの実施に関しては、「施設において必ずしも機能性表示食品の製造頻度が多くないことも関係すると思われる」と考察してみせた。
この日の部会の議論では、委員がまさにその点を疑問視している。
「製造頻度が低いものほど、標準書がちゃんとないと同じものが作れない、作るたびに違うものができてしまう。ここは見逃してはいけない点だ」(岡田由美子・国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長)と指摘した。この日のGMPチームの報告は、サプリメント全体にGMPを義務付ける必要性を印象づけた可能性がある。
【石川太郎】
関連資料:消費者庁 令和7年度第6回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会「機能性表示食品におけるGMP実施状況の確認について」
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