農水省、「食品取引実態調査」公表 交渉進展もBtoCは転嫁難、商慣習や物流も課題
農林水産省は3月31日、2025年度「食品等取引実態調査」の結果を公表した。食料システム法第34条第1項に基づき、食品などの取引の実態を把握するために実施し、調査結果に基づき、関係団体255団体に対し農林水産大臣名で協力要請のための通知を発出した。
同調査は、食料システム法に基づく措置の実効性を確保するため、昨年10月から地方農政局などに配置したフードGメンによる情報収集の一環として実施したもの。価格交渉の実施状況や商慣習上の課題などについて、アンケート調査およびヒアリング調査を行った。
アンケート調査は、無作為抽出した食品関連の2万事業者に郵送し、WEBで回答を得たもので、有効回答数は3,844事業者だった。ヒアリング調査は、食品等事業者および物流事業者を対象に、フードGメンなどが174事業者に対して実施した。
BtoB交渉は進展も転嫁に差
調査結果によると、BtoB販売における価格交渉では、取引先へ価格交渉を申し入れ、速やかに協議が行われた割合は77%だった。また、値上げの根拠を提示して交渉を行った者は69.6%。価格転嫁率については、値上げ根拠を提示しない場合56.8%、提示した場合は68.1%だった。
BtoB調達における価格交渉では、調達先から価格交渉の申し出があったと回答したのは70.7%で、多くが申し入れに応じて価格交渉を行ったとした。
また、調達先からの値上げ分の反映率は69.6%で、業種別では外食・給食事業者が相対的に低い傾向にあった。
BtoC転嫁は消費者配慮が壁
BtoC販売における価格転嫁では、消費者向け販売におけるコスト上昇分の価格転嫁率が40%未満とする回答が23.8%だった。価格転嫁できなかった理由としては、売上または数量の減少への懸念が60.7%と最も多かった。対応策としては、段階的な値上げによる消費者の心理的負担軽減や、値上げによる客数減のシミュレーションを行うなどの取り組みが挙げられた。
取引上の商慣習については、価格以外で経営上の支障や過剰な負担となっているものとして、短いリードタイムや厳しい納品期限(いわゆる「3分の1ルール」など)が多く挙げられた。
具体的には、見込み生産によるロス発生や小ロット製造による加工費上昇など、コスト増加要因となっているとの指摘があった。また、センターフィーについて交渉が成立しないまま受け入れているケースや、返品の責任所在が不明確な事例、販促原資としての協賛金の頻繁な要請なども課題として挙げられた。
物流効率化進展も標準化・寄贈に課題
物流に関する取組では、2024年問題を契機として、パレット化や車建て運賃への切替え、トラック予約受付システムの活用など効率化の取組が進展している事例があった。
他方、輸送資材の規格・運用の標準化や納品日時の分散化、サプライチェーン全体での連携の必要性が指摘された。生産性向上や技術継承を目的としたデジタル化の進展も見られるが、費用負担やメリットの実感に関する認識には差があるとされた。
さらに、未利用食品のフードバンクなどへの寄贈については、転売の問題や輸送便の手配の難しさが課題として挙げられた。
【編集部】
発表資料はこちら(農水省HPより)

