今後のサプリ規制、消費者庁が論点 定義とGMPの在り方、方向性示さず「どう考えるか」問う
サプリメントの規制の在り方を巡る議論が30日午後、消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会で行われた。同部会は直近2回の会合で、サプリメントの「定義」と「製造管理(GMP)の在り方」について、事業者・消費者の計10団体からヒアリングを行っていた。今回の会合では、ヒアリングで挙げられた団体と部会委員の意見を、事務局を務める同庁食品衛生基準審査課が取りまとめた上で論点を提示。それに対する議論が展開された。3回目の会合にして本格的な議論が始まった格好だ。
同課が示した論点は、同課として何らかの方向性を示すような要素がほとんどなかった。ヒアリングで挙げられた意見に対して「どう考えるか」を問うことに徹底した内容で、委員からはさまざまな意見が上がった。同課が提示したサプリメントの定義に関する論点は次のとおり。
●サプリメントの定義を明確化するにあたり、食品の一部とする、あるいは、医薬品や食品とは別にカテゴリーを設ける等とする意見について、どう考えるか。
※欧米においては、食品の一部として取り扱われている。
●既存の表示制度(保健機能食品)との関係について、どう考えるか。
※ヒアリング団体からは、横串で整理すべきとの意見もあった。
●定義に、目的の要素を加えることについて、どう考えるか。また、加えることとした場合に、①「健康の維持・増進」や②「食事の補助」を加えることについて、どう考えるか。
※ 欧米においては①のような要素は定義に含まれていない(欧州では、栄養の補充や生理機能の調整といった記載)
※その他のいわゆる「健康食品」は、健康維持・増進に関する機能の表示が認められていない。
※食薬区分においては、医薬品的効能・効果を標ぼうするかどうかが医薬品に該当するかの判断要素になっている。
※欧米においては②のような要素は定義に含まれている。
●定義の検討に当たって、④過剰摂取のおそれを考慮すべきか。これを考慮する場合に、具体的な対象範囲について、③天然のものと成分割合が異なること(濃縮されていること。食経験がないこと。)、⑤形状(錠剤、カプセル剤、液剤、粉末剤等)と重複する部分もあることから、これらの整理を含め、対象範囲をどう考えるか。
※指定成分等含有食品では「食品衛生上の危害の発生を防止する観点」で設定されている。
●また、⑥風味の有無については、前述のサプリメントの定義の要素をもつグミなどの一般加工食品形状に関係する要素ではあるが、それによってリスクが変わるものではないとする意見があったことも踏まえ、どう考えるか。
こうした論点を提示するにあたり、同課は米国と欧州のサプリメント規制について説明し、サプリメントはそれぞれ「食品の一部として取り扱われている」とした。
米国の規制に関して国内では、「ダイエタリーサプリメント健康教育法」(Dietary Supplement Health and Education Act=DSHEA)が根拠法令として認識されているといえる。しかし同課は、「連邦食品・医薬品・化粧品法」(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act=FD&C法)を根拠法令として挙げた。その上で、サプリメント特有の規定については、DSHEAによってFD&C法が一部改正されて「食品の章に規定」されていると説明した。

サプリ規制の方向性、今後の議論次第
この日の議論で各論点に対する方向性が明確に定まるようなことはなかった。ただ、サプリメントの位置付けに関しては、「食品の一部とする」方向性でまとまる気配がかなり濃厚。また、定義には、「健康の維持・増進」や「食事の補助」といった目的の要素を加える方向性になりそうな雰囲気だ。ただ、定義に健康の維持・増進の目的規定を盛り込む場合、それを明示的に訴求することが禁じられている保健機能食品以外のサプリメントの取り扱いが議論になる可能性がある。
一方、同課は、サプリメントの製造管理の在り方に関する論点として以下を提示した。
●サプリメントについては、その製剤化工程(原材料の製造工程以外の工程)について、輸入品を含め、GMPの遵守を求めることについて、どう考えるか。
●その上で、風味を有するものの取扱いについて、どう考えるか。特に、前述のサプリメントの定義の要素をもつグミなどの一般加工食品形状について、嗜好品として製造しているグミなどの菓子類の製造ライン・製造工場で製造することもあり、現実的に対応が困難とされている状況を踏まえ、その取扱いについてどう考えるか。
●また、原材料についても、米国でもGMPの対象となっておらず、現実的に対応が困難とされている状況を踏まえ、その取扱いについてどう考えるか。
●現在ガイドラインに基づき自主的に行われている原材料の安全性の確認(HACCPに基づき運用されている)について、その運用のあり方をどう考えるか。
事業者団体に対するヒアリングで、原材料を錠剤やカプセル剤などの形状に仕立てる製剤化工程にGMPを適用することへの異論はほぼなかったと言える。このため、同工程を対象範囲とするGMP義務化の方向性に議論は進むとみられる。
だが、定義にも絡む問題として、グミに代表される、生理活性を持つ成分を含む原材料を配合するなどしたサプリメント的な要素を持つ一般加工食品にまでGMPの適用を求めるかどうかがある。事業者団体からは「現実的に難しい」などとして反対の意見が上がっている。一方、サプリメントの製造・品質管理にGMPを義務付けている米国では、規制当局がグミもサプリメントに含める考え方を示している。グミなどサプリメント的な一般加工食品にまでGMPを適用させるかどうかを巡っては委員の間でも意見が分かれていると言え、同課は今後、事業者団体に対して、グミなどにGMPを適用するのが困難とする理由などを改めて聴取し、次回の会合で委員に諮る方針だ。
一方、サプリメントに使用する原材料もGMPの対象にするかどうかを巡っては、この日の会合では委員から特に意見は出なかった。
サプリ法、残された検討の余地
サプリメントの規制の在り方検討は、2024年に生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題の積み残し検討課題。問題を受け、機能性表示食品と特定保健用食品に関して先行的に規制が強化された。検討は、厚生労働省と消費者庁が連携して進めており、厚生労働省側では、「健康被害情報の事業者の報告」と「営業の許可・届出制」の検討を主に担当することになっている。最終的な取りまとめは、同省の審議会で行われる見通しだ。取りまとめは、早くても今夏ごろが予想される。
消費者庁側で行われたヒアリングでは、定義や製造管理の在り方以外にもさまざまな意見が挙げられた。これらについて、事務局の食品衛生基準審査課長は30日の部会終了後、「定義や規制の在り方を考える上で、様々な観点から考えないと結論に至らないという指摘も(委員から)あった。これらの意見に関しては関係省庁、関係部局と共有した上で、連携してどう対応を進めていくか議論したい」と述べた。
ヒアリングで挙げられた意見の中には、「サプリメントに関する独立した法律を制定すべき」だとする意見もある。事業者団体が挙げたものだ。他方で、この意見に対しては、「現行の食品衛生法、食品表示法で対応できるため、法律の制定には慎重であるべき」だとする反論が一部の消費者団体から出ている。
いわゆる「サプリメント法」を巡り同課長は、2月の前回会合の終了後、「食薬区分」を踏まえた実行可能性の観点から否定的な見方を示していた。だが、今回の会合の配布資料に独立した法律制定の意見があったことを明記。検討の余地を残したといえる。
次回会合の日程は明らかにされていない。同課は次回会合に向けて、今回の議論を踏まえ、「もう少し方向性が見えるような資料」(課長)などを用意する方針。それらに基づきさらに議論を深めてもらいたい考えだ。
【石川太郎】
(冒頭の写真:前回2月5日にオンライン併用で開催された新開発食品調査部会の様子)
関連資料:消費者庁 令和7年度第6回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会「サプリメントに関する規制のあり方」はこちら
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