1. HOME
  2. 行政
  3. 食中毒、患者数が前年比1.7倍に 2025年、ノロウイルス事案増加 患者数2千人上回る事件も

食中毒、患者数が前年比1.7倍に 2025年、ノロウイルス事案増加 患者数2千人上回る事件も

 厚生労働省の厚生科学審議会食品衛生監視部会が25日にあり、事務局を務める同省健康・生活衛生局食品監視安全課が2025年の食中毒発生状況を報告。発生状況を踏まえて今後、患者数が大きく増えたノロウイルス食中毒や、患者数が100人を超える事案も見られた加熱不十分な食肉(ハンバーグ)等の提供による食中毒などへの対応に当たる方針を示した。

 2025年の食中毒事件発生件数は1,172件、患者数は2万4,727人。2人の死者も報告された。新型コロナ禍で発生件数、患者数とも減少傾向を見せていたが、2023年以降は増加傾向を示している。25年は、ノロウイルスを原因とする食中毒事案の増加を受け、食中毒患者数が全体で前年比約1.7倍に増えた。

 25年の食中毒事件の病因物質別発生状況を見ると、最多がノロウイルス(39.4%)。次いでアニサキス(23.9%)、カンピロバクター(18.8%)の3つで全体の約8割を占める。これを患者数で見ると75.1%がノロウイルスだった。また、食中毒事案が生じた施設の最多は飲食店(56.1%)で、患者数としては、最多の飲食店(47.4%)に次いで仕出屋(24.9%)が多かった。

 ノロウイルス食中毒は、患者数が多くなる傾向がある。24年に続き25年も患者数が500人を超える大規模食中毒事件が2件発生。うち1件は患者数が2,000人を上回った。これは昨年2月に兵庫県で発生した仕出し弁当が原因となった事案で、摂食者4,832人のうち2,307人が患者となった。もう1件も同様に原因は仕出し弁当で患者数は769人。説明にあたった食品監視安全課は今後の対応について、従業員の不顕性感染(症状は出ていないが感染している状態)を想定し、「丁寧な手洗いの徹底、使い捨て手袋の使用等の普及啓発」などを行うとしている。

 25年に報告された食中毒による死者2人だった。1人はイヌサフランによる植物性自然毒(自然毒)、もう一人は仕出し弁当による腸炎ビブリオ(細菌)がそれぞれ原因とみられる。野生キノコなどの自然毒による食中毒による死者数は過去10年で累計24人に上り、原因物質として最多。次いで多いのが細菌のうち腸管出血性大腸菌で累計12人。24年は自然毒による3人の死者が報告されていた。

加熱不十分ハンバーグによる食中毒、3年連続で発生

 この日の部会では、25年に発生した食中毒事件の調査に当たった自治体の担当者が事案報告を行った。

 1つは、島根県内で発生した、加熱不十分なハンバーグを原因とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件(患者数102人。うち35名が入院、6名が溶血性尿毒症症候群発症)。報告した県の担当者によると、調理提供方法を検証したところ、中心温度75度・1分以上を担保できていないことが判明したといい、「同様の方法で加熱不足のハンバーグ等を提供している施設は数多く存在する」と指摘した。同課によると、23年、24年も同様の食中毒事件が発生している。

 もう1つは、愛知県内の加工施設で製造した大根おろしによる広域ノロウイルス食中毒事件(患者数218名)。複数の自治体で営業する複数の居酒屋チェーンで発生したこの事案では、広域的な食中毒事件に対応する「広域連携協議会」が活用された。

 また、岐阜県飛騨保健所管内のペンション(旅館)で発生した、湧き水を原因とする病原大腸菌食中毒事案(患者数24人)についても報告があった。山岳地帯のため、湧き水や山水などを使用する旅館などの施設がある中で生じた事案。推定では、大雨等の影響で汚染されたとみられる湧き水を利用した水出し麦茶が原因食品になった。同課によると、25年は湧き水を原因とする食中毒事件が旅館で2件発生。23年と24年には患者数が500人を超える大規模事案も発生した。

サプリ規制の在り方検討巡る議論なく

 なお、この日の食品衛生監視部会では、2026年度輸入食品監視指導計画の案のほか、HACCPに沿った衛生管理の徹底も議題になった。HACCPについては同課が、直近2回の会合で実施した事業者団体10団体のヒアリングの概要と、これまでの議論における委員からの意見を取りまとめた資料を提示した。サプリメントの規制の在り方を巡る議論は今回も行われなかった。

【石川太郎】

(冒頭の写真:3月25日午前、WEB併用で開催された食品衛生監視部会の様子)

関連資料:厚生労働省「令和7年食中毒発生状況の概要」
    :厚生労働省「令和8年度輸入食品監視指導計画(案)の概要」
    :厚生労働省「平成30年食品衛生法改正の施行状況等について」(HACCP関係)

関連記事:HACCP巡り事業者団体ヒアリング 食品衛生監視部会、計10団体から意見聴取
    :サプリ規制の在り方検討スタート 定義・製造管理・健康被害報告など本格議論へ
    :サプリ規制の在り方検討、論点増える 「営業の許可・届出」を審議事項に追加

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ