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しげよし問題、業務と資金移行 元従業員証言で段階的移行の実態浮上

 仕出し弁当宅配サービス「しげよし」を巡る返金問題については、これまでの取材で、複数法人が関与する事業構造や、納品書名義の変更など、形式と実務の乖離が示唆されてきた。さらに今回、元従業員の証言から、業務体制と資金の流れが段階的に事業者間を移行していた実態が明らかになりつつある。

 これまでの取材では、㈱寿美家和久(三重県津市)、㈱ノコト(三重県四日市市)、㈱ALXUS(アルクス、三重県津市)といった複数の法人が関与していることが確認されているものの、各社の役割分担や責任主体の所在は不透明なままとなっていた。

業務と資金、寿美家和久からノコトへ

 今回得られた証言によれば、当初、コールセンターの運営や注文管理、顧客からの入金は主に寿美家和久が担っていたとされる。しかし、2024年10月頃の報道を契機として、これらの機能は段階的にノコトへと移行していったという。

 具体的には、注文受付や問い合わせ対応を行うコールセンター業務に加え、現場での調理・配達に関わる人員についてもノコト側へ移される動きがあったとされる。これに伴い、顧客からの支払いについても、従来の寿美家和久からノコトへと段階的に移行していったとする証言がある。

 このように、業務の実行主体と資金の受け皿が連動して移行している点は、事業運営の実態を把握する上で重要な要素となる。形式上は複数の法人が並立する構造でありながら、実務と資金の流れが一体的に移動している可能性がうかがわれる。

ALXUSへの移行と名義変更

 さらに、現在はALXUSへの移行に向けた動きも進められているとする証言がある。ALXUSは当初、別の事業目的で設立された法人とされる。登記簿謄本には、「インターネット等の通信ネットワークを利用した情報提供サービス」などのIT関連業務のほか、労働者派遣事業や、障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業の運営などが記載されており、食品関連事業に関する記載は確認できない。
 ところが最近になって、既存の事業運営の一部を担う方向で活用が検討されている可能性があるとされる。

 これまでの取材で確認された納品書の名義が同社に変更されているという動きとも符合しており、複数法人の間で業務・資金の受け皿が段階的に移行してきた可能性が浮かび上がっている。

 また、事業運営に関する意思決定についても、特定の人物の意向を踏まえて行われていたとする複数の証言がある。会議や朝礼といった形式的な場が存在する一方で、最終的な判断は個別の指示や確認を通じて行われていたとされ、組織上の体制と実際の運用との間に差があった可能性が示唆される。

現場混乱と運用体制の乖離

 一方で、現場の運用面では、返金対応や問い合わせ対応が複数の窓口に分散し、混乱が生じていた可能性も指摘されている。従業員への給与支払いについても遅延や未払いが発生し、一部期間においては十分な支払いが行われていない状態が続いていたとする証言がある。

 こうした状況の中で、従業員の一部が無報酬に近い状態で業務を継続していたとする証言もあり、労働環境を巡っては関係機関が対応に動いているとする情報もある。

 これらの証言は、いずれも事業の内部に関与していた関係者によるものであり、実態を知る立場からの指摘として一定の重みを持つ。ただし、現時点ではいずれの内容も証言に基づくものであり、契約関係や資金の流れの詳細については、引き続き慎重な確認が必要だ。

 本件を巡っては、登記上は独立した法人が並立する一方で、実務上は業務と資金の流れが段階的に移行している可能性が示唆されてきた。今回明らかになった業務体制と資金の変遷は、こうした構造の内実を読み解く上で重要な手掛かりとなる。

 もっとも、最終的な責任主体がどこにあるのか、また各法人間の契約関係や資金の帰属がどのように整理されているのかについては、なお明確とは言えない。今後は、関係各社への取材や資料の検証に加え、取引や資金の流れを含めた実態の解明を進める必要がある。

【田代 宏】

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