1. HOME
  2. 通販
  3. デジタル特商法検討会、規制方向整理 消費者庁が論点提示 ダークパターン対応焦点

デジタル特商法検討会、規制方向整理 消費者庁が論点提示 ダークパターン対応焦点

 消費者庁が事務局を務める第3回「デジタル取引・特定商取引法等検討会」が16日に開かれ、インターネット取引に対する新たな規律の方向性と具体的論点が整理された。事務局は、SNSやチャットによる勧誘について電話勧誘販売に準じた規制を基本とする考えを示し、販売目的の明示やクーリング・オフの適用などを想定した。また、ダークパターンへの対応を中心課題に据え、定期購入トラブルの変化や解約妨害の実態を踏まえた規律の必要性を提示した。自由討議では、規制の範囲と明確性を巡り意見が分かれた。

ダークパターン対策が中心論点

 事務局は、SNSチャット勧誘やオンラインセミナーへの誘導について、広告勧誘目的が明示されない場合などには強い規律を及ぼすことを想定し、販売目的の明示、違法な広告勧誘の禁止、クーリング・オフ、不実告知に対する取消権付与など、現行の電話勧誘販売や訪問販売に近い措置を基本に据える考えを示した。今回の中心論点としては、ダークパターンへの対応を掲げ、OECDの整理も踏まえながら、実店舗にも類似の商慣行はあるものの、インターネットでは表示やUI設計による誘導の程度が著しく強いと説明した。

 実態面では、定期購入トラブルの中心が、品質や未着から、取引条件の誤認へ移っていると分析した。多くの消費者が定期購入と認識しないまま契約し、初回条件だけを強調する表示や、解約条件を分かりにくくする手法が誤認を招いているとした。
 さらに、解約場面では、条件による制約や連絡困難などの「解約妨害」がトラブルの主因となっていると指摘した。事務局は、現行法でも広告規制や最終確認画面の表示義務、取消権、執行体制の強化など一定の対応を行っているが、最近はそれを踏まえて手法が巧妙化しており、アップセルや感情への働きかけなど、虚偽・誤認だけでは捉えにくい「攻撃的手法」も課題になっているとした。

規制範囲と明確性で意見分かれる

 自由討議では、規制の必要性自体に大きな異論はなかったものの、対象範囲や規律の明確性を巡って意見が分かれた。
 島薗佐紀委員は、インターネット取引の規定だけが適用される形では従来より規制が弱まるおそれがあると指摘し、SNSチャットを用いた投資・副業詐欺への対応としても、特商法によるクーリング・オフや行政処分、刑事罰の整備に意義があると述べた。片岡康子委員は、モバイルオーダーのような事例も含めて整理が必要だとし、「著しく有利な条件」の具体像が不明確なままでは通常取引にも影響が及びかねないと懸念を示した。

 竹廣克委員も、電話とネットでは不意打ち性の性質が異なり、AIアシスタントやプラットフォーム上の通知まで一律に捉えるのは妥当でないとした。

 万場徹委員は、被害実態だけでなく、正常な取引の実態も精査しながら議論すべきだと主張した。前回改正では、詐欺的な定期購入商法対策を目的としながら、結果的に単品購入にも広く規制が及び、正常な取引を行う事業者にも相当なコスト負担が生じたと振り返った。また、インターネット取引は対面より離脱しやすく、プレッシャーを受けにくい面もあるのではないかとの見方を示した。後半の議論では、ダークパターンの規制に当たって、予見可能性の確保が不可欠だと強調し、表示義務を増やし過ぎると、悪質事業者が「同意済み」の形式を整える抜け穴にもなり得ると指摘した。真面目な事業者と悪質事業者をどう峻別するかを、制度設計と併せて考えるべきだという問題提起である。

 これに対し、河村真紀子委員や川野玲子委員、樋口容子委員らは、現場では定期購入トラブルが依然として高止まりしており、最終確認画面だけでは遅く、広告やUI(ユーザーインターフェース)の段階から規律する必要があると訴えた。

 島薗委員は、ダークパターンには既存の虚偽誇大広告規制では捉えにくいものが多いとして、諸外国の制度も参考に新たな規制を設けるべきだと主張した。
 一方、正木義久委員や仲野武志委員、殿村桂司委員らは、ハードローで規律する以上、何が許されず何が許されるのかを明確にしなければならないとし、セーフハーバーやブラックリスト、下位法令・ガイドラインの透明な策定プロセスが必要だと指摘した。

 議論を通じて共有されたのは、誤認させる手法と攻撃的手法を規制対象とする方向にはおおむね賛同がある一方、通常の事業活動まで過度に萎縮させないため、白黒の基準をできるだけ明確にする必要があるという点である。大屋雄裕座長も、総論賛成・各論不明の段階にあると整理し、特に攻撃的手法については、ネットの特性を踏まえ、「拒絶の意思表示」があったのに繰り返される行為をどう捉えるかが重要になるとの認識を示した。今後は、契約時・解約時の規律も含め、どの行為をどの水準で規制するかをさらに詰める作業が続く。

 次回開催は4月16日、契約場面・解約場面における具体的規律、今回の議論(文言・表示画面等)をより精緻化した資料を事務局が準備するとしている。

 各委員の主な発言を含め、同検討会「詳細版」のレポートをお読みになりたい方は会員ページへ(⇒会員専用記事閲覧ページはこちら

【田代 宏】

当日の配布資料はこちら(消費者庁HPより)

関連記事:デジタル取引規制の再設計へ初会合 特商法検討会が始動、定期購入とSNS勧誘が焦点
    :第2回デジタル取引・特商法検討会 デジタル時代へ再設計、SNS勧誘に法の網を

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ