日本学術会議、サプリ法の制定を提言 機能性表示食品と栄養機能食品の制度見直しも
日本学術会議がサプリメントを巡る課題解決に向けた提言をまとめ、公表した。サプリメント法の制定をはじめ、機能性表示食品など保健機能食品の制度改訂などを提言。「あらゆるサプリメント形状の健康食品はサプリメント法による規制を受ける」とする新たな規律の導入を提言している。
錠剤やカプセル剤などサプリメント形状の健康食品に対する規制は、小林製薬「紅麹サプリ」事案を受け、国が2024年に部分的な強化策を講じた。だが、それだけではサプリメントや健康食品を巡る課題は完全に解決しないとの認識から、新法制定まで踏み込んだ格好だ。
国を代表する科学者機関が繰り出したサプリメントを巡る提言に、「寝耳に水だ」と驚く声が行政関係者からも上がる。提言の題目は「我が国の機能性食品制度に関わる課題とその対応」。公表は先月27日付。事務局によれば、厚生労働省、内閣府(消費者庁)、経済産業省、文部科学省の各大臣宛てに提出したという。
今回の提言は、紅麹サプリ事案対応に当たった関係閣僚会合の方針を踏まえ、厚労省と消費者庁が連携して「サプリメントの規制の在り方」の検討を始めている中での公表となった。提言は「科学的な事柄について、科学的知見に基づき総合的・俯瞰的な見地から政府や関係機関、広く社会に向けた提案を発表するもの」で、政府に対して実現を強く勧める「勧告」などとは性質が異なる。ただ、新法制定や制度見直しを提言していることもあり、「政策提言に近い」(業界関係者)との見方も。両省庁による「規制の在り方」検討に影響を与えるのかどうかが注視される。
提言作成に総勢75人の科学者
提言は、日本学術会議で生命科学分野を担当する「第二部」の分科会が作成した。食の安全、獣医学、農芸化学、毒性学、パブリックヘルス(公衆衛生)科学の5学問領域の分科会が中心となって審議。総勢75人の科学者が名を連ねる。審議経過も明かしており、着手は、小林製薬が紅麹サプリ事案を公表した直後の2024年3月29日。以降、昨年12月下旬まで審議を続けたという。国による機能性表示食品制度の見直し検討、それを受けた法令改正および施行などと同時進行的に審議していたことになる。
提言の趣旨については、「食品の機能性とその安全性の担保について整理し、健康食品を提供する制度を産学官が一体となり国民にとって有益かつ安全な制度に改正することを提案する」とされている。その上で提言の柱は4つ。「サプリメント法の制定」を筆頭に、「保健機能食品制度の改訂」、「安全性チェックに関する仕組みの構築」、「国民の正確な情報獲得プロセスの支援」の順番で掲げられた。
法制定に関する提言では、サプリメントは「通常の食品とは多くの点で異なる」と指摘。「成分の過剰摂取、あるいは予期せぬ不純物の高濃度摂取による健康被害が出る可能性がある」。そこで現状では存在しないサプリメントの法律上の定義を定め、サプリメント法を制定し、「健康食品を含む食品や医薬品と法的に区別して扱う」ことを提案。厚労省と消費者庁が合同で法制定に取り組むことが「望ましい」とした。
法律上の定義も提案。「通常の食事を補うことを目的とし、食品の一次機能あるいは三次機能を有する食品成分を含むサプリメント形状の食品」とする。食品の一次機能とは「栄養補給」、三次機能は「生体調節機能」のこと。
その上で、法の運用方法まで踏み込んだ提案を行った。「栄養成分型」、「機能性成分型」、「その他の健康食品」の3区分に分類しつつ、PRISMA声明2020に基づくシステマティックレビューを行ったものに関しては「機能性成分型」とし、その成分に関する機能性表示を容認する考え方を示した。ただし、「個々の商品について消費者庁による審査を行う」個別許可制とすることを提案しているほか、「サプリメント法で定めるすべてのサプリメントにおいてGMP(適正製造規範)遵守を義務づけるべきである」と提案した。
一方、機能性表示食品、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品の3つの区分がある保健機能食品の制度改訂については、トクホは今の制度(個別許可制)を維持しつつ、栄養機能食品は現行の自己認証制から届出制へ、機能性表示食品は届出制から個別許可制へそれぞれ移行させる抜本的な改訂を提言。表示する機能性(食品の三次機能)に関しては消費者庁、安全性については食品安全委員会がそれぞれ審査する「許可制」とすることも提言した。その上で、トクホを除くすべてのサプリメント形状に関しては、サプリメント法が定めるサプリメントの区分に組み入れ、同法に基づく規制をかけることを提言している。

【石川太郎】
関連資料:日本学術会議 提言「我が国の機能性食品制度に関わる課題とその対応」
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