1. HOME
  2. その他
  3. 小林製薬、紅麹対応と再建策公表 補償最優先を強調、新中計で信頼回復へ

小林製薬、紅麹対応と再建策公表 補償最優先を強調、新中計で信頼回復へ

 小林製薬㈱(大阪市中央区、豊田賀一社長)は10日、2024年12月期第4四半期の決算説明会を開き、紅麹関連事案への対応状況と今後の経営方針を説明した。被害者補償を最優先に進める姿勢を改めて示すとともに、25年12月期の業績は増収減益となったこと、26年度を「戦略的投資の年」と位置付ける方針を明らかにした。
 信頼回復を軸とする新中期経営計画と再発防止策の進捗についても報告した。説明会の冒頭で豊田賀一社長は、紅麹関連事案で被害を受けた顧客や取引先への「補償を最優先に進めている」と述べ、社長就任からやがて1年を迎える中、「従業員との対話」を重ね、「組織風土改革」に取り組んできたと説明した。

25年実績は増収減益、26年は投資重視

 25年12月期の業績は、売上高1,657億円(前期比0.1%増)、営業利益149億円(同40%減)となり、「増収減益」で着地した。売上高は広告再開の効果もありプラスを維持した一方、営業利益は前期比で99億円の減益となった。紅麹関連製品に関する特別損失は、 第4四半期単体で約 3億円、通期で 36億円の計上。さらに、仙台新工場およびタイ工場において、合計146億円の特別損失を計上したと説明した。

 26年12月期の業績予想については、売上高1,730億円、営業利益125億円とし、増収減益を見込むとした。国内広告の再開による売上の伸長を見込む一方、広告宣伝費や将来の成長基盤となる設備投資の償却費が増加することを減益の主な要因に挙げ、26年度を「戦略的投資の年」と位置付けた。
 新中期経営計画では、「未来につながる土台を築く」をテーマに、信頼回復を最優先としつつ、持続的成長に向けた企業変革を進める方針を示した。28年の目標として、売上高1,880億円、営業利益220億円を掲げ、26年を先行投資の年とした上で、段階的な収益回復を目指すとした。

 また、株主総会に向けて監督機能強化と意思決定の迅速化を目的に監査等委員会設置会社への移行を提案。社外取締役3人を監査等委員に充て、ガバナンスと監査体制を強化する方針を明らかにした。一方、株主提案については全て反対とし、監査役選任案は制度移行により前提を欠くと説明。議長限定や定款への詳細規定追加も、柔軟な運営を損なうとして否定した。

再発防止策3本柱、導入はほぼ完了

 紅麹関連事案の再発防止策について、24年9月に公表した内容①「再発防止策の概要品質・安全に関する意識改革と体制強化」、②「コーポレート・ガバナンスの抜本的改革」、③「全員が一丸となって創り直す新小林製薬」――などの3本柱に関する導入はおおむね完了しており、現在は「実効性を高めるための運用の徹底および継続的な改善」を進めていると報告した。これら3本柱について、「再発防止策の進捗に関するお知らせ」として進捗状況一覧にまとめた用紙を参加者に配布した。

 ① については、品質・安全を最優先とする意識改革を全社的に進めるため、役職員向けの教育・研修を実施するとともに、経営層からの継続的なメッセージ発信や現場との対話を重ねてきた。信頼性保証本部の役割を明確化し、品質管理を専任で担う体制へ移行した他、法規制対応を専門的に扱う部署を新設した。製造拠点については、国内外の工場を対象に第三者機関による監査を実施し、併せて経口製品や肌に触れる製品を対象とした統括的な衛生管理基準を策定・展開したとしている。
 ② については、取締役会における監督機能の強化を目的に、社外取締役が過半数を占める体制を構築した。取締役会の運営方法についても見直しを行い、品質・安全に関わる重要事項が迅速かつ適切に議論・判断される仕組みを整備したとしている。また、品質・安全に関するリスクが顕在化した場合に備え、専門委員会や緊急時の意思決定体制を整え、情報のエスカレーションルートを明確化した。
 ③ は、品質・安全への貢献を評価軸に組み込んだ新たな人事制度を策定し、2026年1月から導入。品質管理・品質保証・監査を担う高度専門人材の採用を進め、専門性の底上げを図っているという。事業運営面では、品質・安全に十分向き合うため、ブランドおよびSKUの整理を進め、グループ全体で約26%のSKU削減を見込んでいる。さらに、組織風土改革については、豊田社長が主導し、3,000人を超える全従業員参加型のワークショップを通じて意見を集約し、「ありたい風土」と新たな行動規範を策定した。今後は推進メンバーを中心に、その浸透を図るとしている。

 2026年1月31日時点で補償に関する問い合わせは1,340人に上り、そのうち補償対象と認定され支払いが完了したのは260人に上るとした。

死亡事案調査と補償を巡る質疑

 質疑応答では、決算および新中期経営計画に関する質問の他、紅麹サプリ問題を巡る死亡事案の調査状況や補償対応、調査体制の透明性についても質問が出た。
 「当社の調査では、現時点で当該製品の摂取が死亡の原因と確認された症例は確認されていない」とする小林製薬側の主張に対し、「死亡の疑いがある人についての調査状況はどうなっているのか」、「今後の対応はどうなっているのか」、「補償内容や対応方針など、すでに補償がされている案件があるのか」といった点について、参加した記者から全体像の説明が求められた。
 これに対し会社側は、「主治医など、調査をしっかりさせていただき、その結果として関連が明らかになった症例はない」と説明した上で、「調査中の事案が1件ある」とした。

 調査方法についても質問があった。「(ある遺族からの話に基づけば)病院を訪問せず、カルテも見ずに、電話やメールによるヒアリングだけで判断しているのではないか」との疑いがあるとの指摘を示した上で、調査実態について会社側に説明を求めた。
 会社側は、「調査は、もちろん電話させていただき、必要に応じて訪問させていただく」とした上で、「当然、病院の主治医から必要な病状履歴や検査、検診記録を拝見し、第三者の専門性のある人としっかり議論した上で、最終判断をしているというのが一般的なプロセスだ」と説明。カルテを確認したかどうかについては、言及はなかった。

 会社側の言う「第三者」について、「臨床試験等を受託している専門機関と聞いている」と記者。「バイアスがかかっていないのか」との指摘とともに、「どういう機関なのか、名称を明かすことはできないのか」との質問に対し、会社側は「名称については開示していない」と回答し、詳細な説明は行われなかった。「今後、第三者調査機関を立ち上げるなどして、より透明性を高める考えはないのか」との問いに対しても、「現時点では、外部の第三者の目も入れて総合的に判断しており、そのような計画はない」と述べるにとどまった。

 その他の記者の主な質問、および小林製薬の回答については以下のとおり・・・(続きは会員専用記事閲覧ページへ)

【田代 宏】

決算短信はこちら(小林製薬HPより)

(冒頭の写真:左からマーケティング本部・小野山敦本部長、豊田賀一代表取締役社長、財務本部・中川由美CFO、広報・総務本部本部・木村孝行本部長)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ