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腸内細菌で変わる食品産業 科学と健康をつなぐサイキンソーの挑戦

 腸内環境の解析が、食品・ヘルスケア産業の新たな価値創造を促している。㈱サイキンソー(東京都渋谷区)は、腸内細菌叢の科学的データを活用し、個人の健康支援と企業の製品開発を両立させる独自のビジネスモデルを展開。「ゼロ次予防」という概念を軸に、業界の信頼性と革新性を同時に高めている。

腸内細菌で拓く未来、食と健康の接点を探る

 腸内環境の重要性が広く認知される中、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)解析を通じて、食品・ヘルスケア産業に科学的根拠を提供する企業が注目を集めている。同社は、腸内細菌の構成を可視化し、個人の健康課題に応じた食生活提案や商品開発支援を行うことで、業界の価値創造に貢献している。
 代表取締役の沢井悠氏(=写真)は、ゲノム解析を専門とする研究者として発酵産業や農業分野に携わった後、腸内細菌の可能性に着目し、2014年に同社を創業。「腸内細菌は、食べ物との関連性が極めて高く、日常の食生活から健康を支えることができる。だからこそ、食品業界との接点が非常に多い」と語る。

科学で支える商品開発、消費者データを活用

 同社の主力サービスである腸内細菌叢検査キット「マイキンソー」は、便サンプルから腸内細菌の構成を解析し、スコア化することで、個々の体質に応じた食習慣の提案を可能にする。これにより、便秘や下痢といった消化器系の課題だけでなく、美容、メンタルヘルス、睡眠の質向上など、幅広い領域への応用が期待されている。
 同社の事業は、消費者向け(toC)と企業向け(toB)の両軸で展開されており、一般消費者から得られた検査データを、食品メーカーの機能性表示食品や商品開発に活用。「科学的根拠に基づいた商品開発は、消費者の信頼を得るために不可欠」と同氏は話す。さらに、企業との共同研究や大学との連携も進めており、学術的な裏付けを持った製品づくりが可能となっている。

臨床試験支援の強み、食品CRO機関としての展望

 さらに、臨床試験支援にも注力しており、被験者のリクルーティングから検査設計、データ解析までを一貫して提供。食品CRO機関としての機能を備え、企業の研究開発を加速させている。「腸内細菌叢の解析は、食品の効果検証において非常に有効。従来のアンケートや主観評価に加え、客観的なバイオマーカーとして活用できる」と沢井氏は強調する。
 一方で、腸内環境というテーマはあまりに広範であるため、焦点がぼやけるリスクもある。「腸内環境はあらゆる健康課題に関係するが、だからこそ、特定の領域に深く入り込む必要がある。今後は更年期、免疫、メンタルヘルスなど、テーマを絞った展開を進めたい」と語る。加えて、自治体や教育機関との連携を通じて、腸内環境の啓発活動にも力を入れており、社会全体での健康意識の向上を目指している。

普及率0.2%の可能性、個別化食生活の未来

 現在、累計20万件以上の検査実績を持つ同社だが、国民全体の普及率はまだ0.2%程度。沢井氏は「この数字が1桁台に広がれば、日常的な健康習慣の提案がもっとできるようになる。納豆やヨーグルトが“誰に、なぜ合うのか”を科学的に示すことができれば、個人に最適化された食生活の実現も可能になる」と展望を語る。
 同社は、腸内細菌叢というミクロの世界から、食品・ヘルスケア産業のマクロな変革を目指している。「消費者を欺かず、根拠を持って業界を健全に盛り上げたい」と沢井氏。科学と産業をつなぐ強い信念を基に事業を進める。

(月刊誌「Wellness Monthly Report」89号(2025年11月号)より転載)

COMPANY INFORMATION
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
TEL:03-5309-2522
URL:https://cykinso.co.jp/
事業内容:コンシューマー向け事業(マイキンソー腸内フローラ検査サービス)、医療機関向け事業(マイキンソープロ)腸内フローラ検査サービス、法人向け研究支援サービス(Cykinso Research)など

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