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どうするサプリ原材料の品質確保 法的規制か、事業者の自主的取り組みか

 2024年の紅麹サプリ健康被害問題、そして2025年の医薬品成分エフェドリン微量混入問題。前者は機能性表示食品制度の大改正、さらに国によるサプリメント規制のあり方検討、そして後者はサプリや健康食品の大規模な自主回収にそれぞれつながった。両問題には大きな共通点がある。いずれも原材料の製造工程管理、品質管理に端を発した問題だ。今、原材料の品質確保のあり方が問われている。

立て続いた原材料の品質問題

 機能性表示食品のサプリに配合する機能性関与成分を含む原材料(紅麹)の製造(培養)工程で特定の青かびが混入、それによって腎毒性を持つプベルル酸等が予期せず産生され、複数の死亡事例が報告される大規模な健康被害を引き起こしたのが小林製薬「紅麹サプリ」問題だ。海外で医薬品承認されている成分、モナコリンKが事実上の機能性成分であったため(届出上の成分名称は紅麹ポリケチド)、「食薬区分」の観点からも制度の運用実態が疑問視されることにもなった。

 一方、医薬品の葛根湯エキスと同じ製造ラインで健康食品の原材料(植物抽出物)を製造、そのため同エキスの原材料(マオウ)に含まれる医薬品成分が複数の健康食品原材料の一部ロットに極めて微量だが混入──これが松浦薬業「エフェドリン微量混入」問題である。混入は、少なくとも3種類の原材料の一部ロットで確認された。機能性表示食品に限らず健康食品に多用されるサラシアエキスも含まれていた。

 いずれも、品質に課題・問題を抱える原材料が製造、出荷され、それが最終製品として製造・加工されて市場に流通、そして消費者の手に渡ってしまったことで問題化した。サプライチェーンのなかで流通を食い止めることができなかった。

 これらの問題が、日本の健康食品市場・業界に与えた影響、または打撃の詳細を解説するのが本稿の目的ではないため短くまとめるが、前者の問題は通信販売チャネルを中心に健康食品市場を縮小させ、サプリや機能性表示食品に対する消費者からの信頼を低下させた。加えて、国が機能性表示食品制度の大幅な見直し(規制強化)を実施し、さらにはサプリ全体の「規制のあり方」の検討へと踏み出す契機となった。

 後者の問題はどうか。混入量が極微量のため健康被害のおそれが考えられなかったこともあり、社会問題化するようなことはなかった。しかし、少なく見積もっても100万個を優に超える最終製品の自主回収に至らせ、販売会社らに経済的損失を与えた。そしてこの問題でもまた、消費者の信頼を低下させた。ある販売会社の関係者は話す。「影響は、自主回収だけではないです。定期(購入契約)の解約も起こりました」

後工程で品質の引き上げ不可能

 言うまでもないが、サプリや健康食品の品質は、原材料だけに左右されるものではない。最終製品の製造・加工工程でも、原材料の取り違えや異物混入などといった事故が生じる可能性は常に存在する。そのため、錠剤・カプセル剤・粉末剤など通常の食品とは異なる形状を持ち、過剰摂取等のリスクがあるサプリの製造工程管理、品質管理には、医薬品のそれに準じたGMP(適正製造規範)が世界的に導入されている。日本でも、機能性表示食品など、一部のサプリについてはそれが義務化されている。

 しかし前述した2つの問題が示す本質的な論点は別にある。すなわち、品質に課題を抱えた原材料を、たとえ医薬品並みのGMPレベルで管理された最終製品工場で製造・加工したとしても、完成した最終製品は原材料由来の課題をそのまま引き継いでしまう、という点である。

 理由は明快だ。「後工程(最終製品の製造工程)で原材料の品質を引き上げることはできない」。ある原材料メーカーはそう指摘する。

 あらためてGMPの原則を押さえておきたい。「人為的な誤りの防止(最小限化)」、「(人為的な誤り以外の)汚染および品質低下の防止」、「全行程を通じた一定品質の確保(品質保証システム設計)」の3つである。GMPの狙いとは、品質の安定した、すなわち設計された製品規格どおりの生産物を、決められた手順で恒常的に得られるようにすることである。「同じものを、同じように作る」と言い換えることもできる。

 GMPには、原材料の品質を引き上げる機能はそもそも備わっていない。従って、原材料の品質が担保されていない限り、最終製品の品質も担保されないというのが基本原則となる。品質A級の原材料をGMP管理レベルA級の最終製品工場で製造・加工すれば、出来上がる最終製品の品質も通常A級となるが、品質C級の原材料をB級やA級に格上げすることはできない。この原理に照らせば、安全性にリスクを抱える原材料が、GMP工程を経たことで安全な最終製品に生まれ変わる、などといったことも起こり得ない。

 サプリや健康食品の品質保証の出発点は、原材料の品質確保にある。24年、25年と立て続けに生じた原材料を巡る問題は、そのことを改めて浮き彫りにした……

(続きをお読みいただけるのはWNG会員のみです。残り約4,600文字。会員申込はこちら。全文の閲覧は「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2025年12月号(第90号)特集「サプリの土台は原材料にあり」から)

【石川太郎】

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