医薬品のネット定期購入巡る相談急増 21年度比で約6倍、国民生活センターが注意喚起
健康食品や化粧品で多い、インターネット通販の「定期購入」を巡るトラブル相談が一般用医薬品にまで広がり始めている。国民生活センターが14日、消費者への注意喚起を始めた。1回限りだと思って購入したら定期購入契約になっていた、定期購入契約を理由に返品・解約ができない──などといったネット通販の定期購入トラブルによくみられる相談が2021年度以降、増えているという。国センは消費者庁と厚生労働省に情報提供した。
目立つ高齢者層からの相談
国センの調べによると、医師の処方せんが無くても購入できる一般用医薬品をはじめとする医薬品(一部の医薬部外品を含む)のネット定期購入を巡る相談は2021年度に325件だった。これが2024年度には2,066件と約6倍に増加し、2025年度も10月31日時点で1,481件と前年同期(1,085件)を上回るペースで推移している。相談者を年代別で見ると、60歳以上の年代が全体の8割を占め、高齢者層からの相談が目立っているという。
国センが14日公表した相談事例は、「単品を1回限りで購入したつもりが、複数個セットでの定期購入契約になっていた」(70歳代男性)、「全額返金保証を受ける条件が思った以上に厳しく、返金を申し出ても返金されない」(50歳代女性)、「医師から使用しないよう言われたのに、定期購入契約を理由に返品、解約できない」(60歳代女性)。また、「使用したら体調が悪化したので解約したい」との相談もみられるという。
国センが昨年8月公表した2024年度の「消費生活相談の状況」によると、定期購入に関する相談件数は、ネット通販での健康食品や化粧品を中心に9万4,178件だった。このため、医薬品に関する相談件数は一握りに過ぎない。また、国センの相談情報部は、「重大な被害を伴う相談は寄せられていない状況だ」と説明している。
しかし、「商品が医薬品ということもあり、このまま相談件数が増加し続けた際の被害拡大が懸念される」(同)として注意喚起に踏み切った。消費者に対し、「その医薬品を使用する必要があるか、さらに、定期購入する必要があるか」を購入する前に自身で確認するよう呼びかけている。

法令に基づく表示事項の確認求める
一般用医薬品をインターネット上で販売できるのは、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく許可を受けた事業者のみで、販売サイトに表示しなければならない事項が同法で定められている。また、健康食品や化粧品などのネット通販と同様に特定商取引法に基づく表示規制を受ける。定期購入に関するトラブル相談が寄せられた商品の販売サイトを相談情報部が調べたところ、「明らかに違法だと思われるものはわれわれが調べた範囲では見当たらなかった」
ただし国センは、販売条件や返品・解約条件などの表示が「わかりにくい」と指摘しており、消費者に対して、法令などに基づく表示事項が記載されているか確認するよう呼びかけている。
【石川太郎】
(冒頭および文中の画像:国民生活センターの報道発表資料から転載)











