化粧品産業、競争力低下の現実 輸出戦略と制度改革が問われる国産化粧品
少子化による国内市場の縮小と輸入品の増加を背景に、日本の化粧品産業は競争力低下という構造的課題に直面している。経済産業省の「化粧品産業競争力強化検討会」では、韓国をはじめとする海外勢の台頭や、制度・支援体制の弱さが改めて浮き彫りとなった。今後は輸出を軸に、制度改革と中小企業支援を含む国家的戦略が問われている。
韓国化粧品の台頭と国家支援の差
こうした課題は、経済産業省が昨年12月に設置した「化粧品産業競争力強化検討会」の第1回会合において改めて議論された。会合では、韓国製化粧品の台頭により、日本の国内外市場で国産化粧品のシェア低下が顕著になっていることが示された。あわせて、韓国政府が化粧品を成長産業として位置付け、輸出拡大を強力に支援している結果、韓国の化粧品輸出額が日本を大きく上回る伸びを示している状況が共有された。
日本の化粧品輸出は、個々の企業の努力に委ねられており、国家としての体系的な支援体制は乏しいとされている。また、日本の化粧品制度はイノベーションを生みづらく、諸外国との制度上のギャップが大きいことが、輸出の障壁となっていると整理されている。
制度の厳格さが輸出の壁に
理由の1つに挙げられているのが、広告や表示に関する規制の厳しさだ。自由な訴求表現が難しいため、56効能以外の有用性評価に関するノウハウが蓄積されにくい状況にある。これは、日本の化粧品広告が問題を指摘されているという意味ではなく、制度としての厳格さが産業競争力や輸出のしづらさにつながっているという文脈で示されている。輸出に必要となる各国の規制情報や原料情報などを収集・整理するための支援体制が十分に整っていない点も指摘された。
中堅・中小企業が直面する「実務の壁」
化粧品産業の裾野は広いものの、企業規模によって海外展開能力には大きな差があることも示された。大手企業は海外拠点や法務・知財体制を有し、自力でのグローバル展開が可能な一方、中堅・中小企業は専門人材や法対応ノウハウ、現地商流を持たず、製品力以前の段階で「実務の壁」に直面し、海外展開が阻まれているという。
また、中国や韓国の政府が化粧品を基幹産業に位置付け、強力な支援を行っている結果、両国の化粧品輸出が急増している状況が示された。これに対し、日本では同様の国家的支援が十分とは言えず、国際市場における存在感が相対的に低下しているとの認識が持たれている。
さらに、化粧品産業ビジョンの策定から約5年が経過したものの、その間に国内外市場における国産化粧品のシェア低下が進んでいることも原因とされた。ビジョンで示された取組項目についても、競争領域・協調領域のいずれにおいても、具体的な進展は十分に見られていないと整理されている。
競争力強化へ、次回会合で日本ブランドを議論
検討会では今後、中堅・中小企業の競争力強化による底上げ、日本ブランドの明確化と品質確保、市場ごとの輸出戦略の策定、コンテンツ活用、競合他国の強さの分析、海外規制や原料情報に関するデータベース整備、オンラインとオフラインを組み合わせた販売チャネルの在り方、インバウンド需要を継続購入につなげる方策、輸出に係る団体設立に向けた調整などについて議論を進める。
26日に予定されている次回会合では、「日本ブランドのイメージの共有、活用方法、及び維持・管理の方法」をテーマに議論する。
【田代 宏】
第1回会合の資料はこちら(経産省HPより)











