食品安全委員会、新体制が始動 祖父江委員長就任、春日委員加わる
内閣府食品安全委員会(東京都港区)は7日、第1008回会合を開催し、新委員長に祖父江友孝委員を選任した。あわせて春日文子委員が新たに就任し、新体制が発足した。会合では両氏がそれぞれ就任挨拶を行い、今後の食品安全行政に向けた課題認識や抱負が示された。
祖父江委員長、がん疫学の経験を踏まえ就任
祖父江委員長が就任の挨拶を行った。1983年に大阪大学医学部を卒業後、一貫してがん疫学研究に携わってきた。国立がん研究センターでは、がん検診やがん登録、がん対策など、国レベルの施策の企画立案や評価に関与した。
食品安全委員会との関わりについては、2011年の福島第一原発事故を契機に、放射性物質食品健康影響評価ワーキンググループに参加したことがきっかけ。その後、汚染物質や添加物の専門調査会、評価技術企画ワーキンググループ、PFASワーキンググループなどの専門委員を務め、2024年7月からは食安委委員および委員長代理として活動してきた。

就任の挨拶を行う祖父江新委員長
ヒト疫学、混合曝露、リスクコミュニケーションを課題に
委員長としての今後の課題について3点を挙げた。
第一に、ヒト疫学研究データをリスク評価にどのように活用していくかという点。従来は動物実験データが中心だったが、近年は生体指標を用いた曝露評価を含むヒト疫学研究が増えているとし、他分野の経験も参考にしながら検討を進める必要があるとの認識を示した。
第二に、複数ハザードへの同時曝露、いわゆる混合曝露への対応を課題として挙げた。評価書では通常、単一のハザードを対象としているが、現実には人は複数の物質に同時に曝露されており、PFASのように多種類の物質をまとめて評価する必要性が高まっていると述べた。
第三に、リスクコミュニケーションの重要性を指摘した。特に専門家同士のリスクコミュニケーションについて、福島第一原発事故や新型コロナウイルス対応の経験を踏まえ、専門家間の意見の相違が国民の混乱につながる場合があるとし、丁寧な意思疎通の必要性を強調した。
これら 3つ以外にも問題は山積しているが、当面の目標としては、歴代の委員長が務めた役割を円滑に引き継ぐということが最大の目標になると述べ、就任挨拶を締めくくった。
春日委員、微生物リスク評価と国際経験を強調
春日委員は、これまでの自身の研究経歴を紹介するとともに、食品安全委員会における今後の活動に対する考えを述べた。
同委員は、国立予防衛生研究所および国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所において、微生物学を中心とした食品安全分野の研究に長年携わってきた。食品由来微生物のリスク評価や食品衛生に関する基礎的・応用的研究に従事してきた経験を有する。
また、FAO・WHOが設置するリスク評価関連の委員会や、食品微生物規格委員会など、国際的な枠組みにおける活動に関与してきたことにも触れ、国際的な視点から食品安全に関わる議論に参加してきた経緯を述べた。
さらに近年は、地球環境の変化やサステナビリティ、プラネタリーヘルスといった観点から、食と健康を取り巻く課題について研究活動に従事。昨日(6日)まで長崎大学大学院で教授を務めてきた。同委員は、食品安全を巡る状況が大きく変化しているとの認識を示した。
食品安全委員会との関わりについては、2003年の委員会設立当初から専門委員として調査審議に携わってきたと説明。その経験を踏まえ、今後は委員として、他の委員や専門委員と協力しながら、リスク評価の原則や考え方について議論を深めていきたいと述べ、就任の挨拶とした。
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新庁舎が入居するビル(虎ノ門アルセアタワー)
委員長代理に浅野・頭金・春日各委員
祖父江委員長選出後、委員長に事故が起きた場合にその職務を代理する委員長代理の指名が行われた。その結果、浅野哲委員、頭金正博委員、春日文子委員の順で委員長代理を務めることを決定した。
次回会合は13日、午後2時の開催を予定している。
【田代 宏】

