農水省、26年度概算要求公表 食料安全保障強化へ2兆2956億円計上
農林水産省は、2026年度(令和8年度)の概算要求概要を公表した。要求総額は2兆2,956億円で、前年度当初予算(2兆2,706億円)を上回る水準となった。食料安全保障の強化を柱に、農業構造転換、米の安定生産、担い手確保、スマート農業の推進などに重点配分したほか、森林・水産分野や環境対策にも幅広く予算を配分し、農林水産業全体の持続的発展を図る。
食料安全保障と農業構造転換に重点配分
食料安全保障の強化では、農業構造転換集中対策として494億円を計上した。農地の大区画化や中山間地におけるきめ細かな整備、共同利用施設の再編集約・合理化、スマート農業技術や新品種の開発、生産性向上に資する農業機械の導入、輸出産地の育成を推進するとしている
米の安定生産に向けては、米穀等安定生産・需要開拓総合対策事業として15億円を計上し、種子の生産・供給体制の構築や直播導入、経営分析、先進技術の検証などを支援する。
水田活用の直接支払交付金には2,752億円を充て、水田での麦・大豆や米粉用米などの本作化、各種用途米の生産性向上を支援する
また、野菜、果樹、花き、茶・薬用作物、養蜂などの生産基盤強化や、家畜改良、肉用牛の出荷月齢早期化に向けた持続的生産強化対策事業に140億円を計上した。共同利用施設の整備には338億円を充て、産地の収益力強化や物流効率化を図る
担い手確保とスマート農業で持続的成長
農業の持続的な発展では、地域計画の実現に向けた支援として527億円を計上し、担い手への農業機械導入、新規就農者の育成・確保、施設整備などを総合的に実施する。スマート農業技術活用促進集中支援プログラムには185億円を充て、技術導入や研究開発を進める
農業農村整備事業(公共)には3,365億円を計上し、農地の大区画化や水利施設の更新、防災・減災対策、情報通信環境整備を推進する。経営所得安定対策(ゲタ・ナラシ)には所要額2,462億円を確保した。また、家畜伝染病や病害虫対策を含む家畜衛生等総合対策として77億円を計上した
農村振興では、農山漁村振興交付金として70億円を計上し、官民共創による地域課題解決や農泊、農福連携などを推進する。鳥獣被害防止対策とジビエ利用の推進には100億円を充て、捕獲対策や利活用を強化する
環境と調和のとれた食料システムの確立に向けては、みどりの食料システム戦略推進総合対策として6億円を計上した。環境保全型農業直接支払交付金には28億円を充て、化学農薬・化学肥料の低減と併せた環境保全型農業を支援する
森林・水産分野や環境対策も幅広く支援
森林分野では、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策として154億円を計上し、森林資源の循環利用や国産材利用を推進する。森林整備事業(公共)には1,271億円、治山事業(公共)には628億円を計上した。
水産分野では、海洋環境の急激な変化に対応するための資源調査・評価に78億円を計上した。漁業の働き方・職場環境改善等には213億円、漁村環境の保全に向けた取組には30億円を充てる。水産基盤整備事業(公共)には738億円を計上し、水産業の強靱化を図る。
【編集部】
発表資料はこちら(農水省のHPより)











