WNGが選ぶ健食業界10大ニュース 規制強化と制度転換が進んだ転換の年
師走。2024年に発生した小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題の影響を色濃く残したまま、25年が終わろうとしている。ニュースサイト「ウェルネスデイリーニュース」を通じて、サプリ・健康食品を巡る行政、制度、産業の動きを日々報じてきたウェルネスニュースグループ(WNG)編集部はこのほど、記者が選定したニュースと、関連する既報記事を踏まえ、今年の「健康食品業界10大ニュース」を改めて整理した。
2025年は、機能性表示食品制度の全面施行をはじめ、サプリメントを横断した規制の在り方が本格的に議論されるなど、制度面での転換が相次いだ一年だった。
トップは「サプリ規制のあり方」検討開始
10大ニュースのトップには、厚生労働省と消費者庁が10月から開始した「サプリ規制のあり方」検討を選んだ。機能性表示食品制度の枠内にとどまらず、サプリメントの法的な定義そのものが検討対象とされた点で、業界全体に与える影響は甚大だ。紅麹サプリ事件を背景に、制度の「積み残し検討課題」に正面から向き合う動きとして注目された。
次点には、改正機能性表示食品制度の全面施行を挙げた。紅麹サプリメントによる健康被害問題を受けて、規制が大きく強化された「新・機能性表示食品制度」が全面施行され、事業者には従来以上に厳格な制度対応が求められることとなった。果たして業界はこれらの重圧をどう受け止めるのか――。
確約計画認定と司法判断が示したもの
25年2月には、改正景品表示法施行後、初めて確約計画が認定された。パーソナルジム運営事業者からの申請によるものである。12月23日時点で、確約計画の認定は計8例に達している。
また7月には、「糖質カット炊飯器」を巡る景品表示法措置命令について、東京地裁が違法として初めて同措置命令を取り消す判決を下した。消費者庁はこれを不服として東京高裁に控訴しており、現在も裁判は継続中である。行政処分と司法判断の関係を考える上で、象徴的な事例となった。編集部では来年も同事件を追い続ける。
原材料問題と情報公開の進展
原材料を巡っては、エフェドリンの微量混入問題を受け、自主回収が広がった。原材料管理や、受託製造における品質管理体制のあり方が改めて問われることとなった。
一方で、これまで非公開とされてきた機能性表示食品の機能性関与成分に関する検証事業報告書が、文字どおり「全面公開」されたことも特筆すべき動きである。背景には、市民団体が提起した「2015年度報告書」を巡る情報開示請求訴訟の最高裁判決がある。消費者庁は差し戻し審を待たずに全面公開を決断し、結果として制度運用の透明性は一段と高まった。
業界再編と規制の広がり
業界の動きとしては、最終製品OEM・ODMに特化した健康食品業界団体、日本健康食品工業会が設立された。受託製造最大手であるアピ㈱の野々垣孝彦社長が会長を務める。同団体は以前から構想されていたが、紅麹サプリ事件やエフェドリン問題が設立を決定づけた面もある。原材料品質を巡る課題に、受け入れ側である受託製造企業がどのように対応していくのかが注目される。
その一方で、帝人や室町ケミカルが健康食品事業から撤退するなど、大手企業による事業見直しの動きも表面化した。
CBN指定薬物化の影響
規制を巡っては、CBD関連製品を巡る問題が続発する中、厚生労働省がCBNを指定薬物に指定する方針を示したことも、業界に波紋を広げた。
WNG編集部が選定した2025年の健康食品業界10大ニュースは以下のとおり。
① 厚労省と消費者庁、「サプリ規制のあり方」検討開始
② 改正機能性表示食品制度が全面施行
③ 初の確約計画認定申請、パーソナルジム運営事業者
④ エフェドリン微量混入問題で自主回収が拡大
⑤ 「糖質カット炊飯器」巡る景表法措置命令が初の取り消しに
⑥ 機能性関与成分の検証事業報告書を全部公開
⑦ 機能性表示食品の届出公開件数が減少
⑧ 健康食品業界の新団体、日本健康食品工業会が設立
⑨ CBDを巡る問題続発、厚労省がCBNを指定薬物に指定へ
⑩ 帝人や室町ケミカルが健康食品事業から撤退
【編集部】











