モノマー等通知改正案など巡り24件の意見 消費者庁、リサイクル材の安全確保を重ねて説明
消費者庁は26日、「食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について」の改正案および「食品用器具及び容器包装の製造に用いる合成樹脂の原材料としてのリサイクル材料の使用に関する指針」の改正案に関するパブリックコメントの結果を公表した。
提出された意見は24件で、このほか、募集対象と直接関係しない意見が3件あった。
印刷インキや汚染物質への懸念が多数
寄せられた意見の多くは、食品用器具・容器包装に使用されるリサイクル材料の安全性に関するものだった。特に、回収材料に含まれる印刷インキや着色料が十分に除去されない場合、食品への移行が生じるのではないかとの懸念が示された。また、印刷インキ除去の工程や基準をより明確にすべきだとする意見もあった。
これに対し消費者庁は、「食品用器具及び容器包装の製造に用いる合成樹脂の原材料としてのリサイクル材料の使用に関する指針」に基づき、回収材料中の印刷インキ由来物質は「汚染物質」として扱われると説明した。リサイクル材料の処理工程には、広範な汚染物質に対して十分な除去能が求められており、最終的に器具又は容器包装から食品へ移行する量が、人の健康を損なう恐れのない量(0.01mg/kg)を超えないことを確認する必要があるとしている。
PE・PPリサイクル拡大への賛否と条件
今回の改正案では、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のリサイクル材料について、ポジティブリスト制度上の取扱いを整理する内容が含まれており、これに対しては賛成意見と慎重意見の双方が寄せられた。
賛成意見では、PETやPSに加えてPE・PPを対象とすることで、食品容器包装のリサイクルの幅が広がる点が評価された。一方で、印刷された製品や着色製品が多いことから、汚染物質除去工程をPETと同等にすべきではないかとする意見や、回収材料の選別・管理の難しさを指摘する声もあった。
消費者庁は、回収材料の汚染の程度が十分に低いレベルで管理されている場合には、想定される汚染物質のみを対象とした処理工程とすることができるとした上で、その判断は個別に行うものと説明した。また、回収材料の品質や選別については、リサイクル材料を用いて器具・容器包装を製造する者が、適切な管理水準を設定し確認する責任を負うとしている。
数値基準や定義の明確化を求める声
意見の中には、「汚染の程度が十分に低いレベル」をどのように判断するのか、具体的な数値基準を設けるべきだとする要望や、溶解リサイクルなど新たな再生技術を「物理的再生処理」として明確に位置付けるべきだとする提案も含まれていた。
これらに対し消費者庁は、既存の試験結果やin silicoによる予測値などから、最終製品から食品への移行量が0.01mg/kg以下であることを推定する考え方を示した。また、処理工程の定義については、現行の指針の枠組みの中で整理されているとの認識を示し、具体的な数値基準の設定については「今後の業務の参考とする」と回答した。
情報共有と理解促進を継続
制度全体については、関係事業者への情報提供や意見交換が不十分ではないかとの指摘もあった。消費者庁はこれに対し、リサイクル指針の適切な理解と運用がなされるよう、引き続き関係各位との情報共有や意見交換を行っていくとした。
今回公表されたパブリックコメント結果では、資源循環の推進と食品用器具・容器包装の衛生安全確保の両立を巡り、具体的かつ実務的な論点が多数示された。一方で、消費者庁は一貫して、既存の指針や規格に基づく管理と事業者責任の枠組みを強調するかたちで考え方を示している。
パブコメの結果はこちら(e-GOVより)











