国民栄養調査で食生活の課題鮮明 野菜不足・食塩過多・地域差が明確に浮上
厚生労働省は、昨年10月~11月に実施した2024年(令和6年)「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。今回は、4年に1度の拡大調査を実施し(2012年、16年に続いて3回目)、毎年実施している基本項目の全国代表値に加えて、健康日本21(第三次)のベースライン値を得るとともに、一部の生活習慣等について都道府県の状況を把握した。
結果からは、国民の健康状態を左右する複数の領域で、依然として改善の余地が大きい実態が明らかとなった。とりわけ食生活に関する指標では、野菜摂取量の不足や食塩摂取量の高さが継続しており、健康増進に向けた課題が鮮明となっている。
野菜摂取量の不足が続く実態
野菜摂取量は、男性270g、女性251gで、都道府県別にみても上位群と下位群の間に明確な差があることが示された。男性では上位群305gに対し下位群235g、女性では285gに対し228gと地域差が存在することが確認できた。野菜摂取量は健康維持に不可欠な指標だが、今回の数値は十分量とは言えない状況を示している。
男女ともに多くの都道府県で摂取量が伸び悩む背景には、生活習慣や調理頻度の変化など多様な要因が考えられるが、調査ではこれらの要因分析には踏み込まず、あくまで摂取量の現状のみが示された。地域により300gを超える県がある一方で、200g台前半に留まる県が複数存在しており、地域間の格差も確実に存在することが特徴のようだ。
食塩摂取量は依然として高水準
食塩摂取量は、男性10.5g、女性8.9gだった。都道府県別でも上位群と下位群に差があり、男性では11.4gと9.6g、女性では9.6gと8.3gという状況。食塩摂取量についても地域差が認められ、依然として国全体として高い摂取水準にあることが確認される。
食塩摂取量が高い都道府県では11g台後半の値を示す例が複数みられる一方、下位の県でも8g台後半を下回る値は限られている。特に男性では数値の幅が大きく、都道府県間で摂取量に顕著なばらつきが生じていることが読み取れる。平均値は78.1gで、男性70.4g、女性84.7gと、年齢階級別にみると、男女ともに70歳以上の摂取量が最も多い。
栄養バランスのとれた食事(主食・主菜・副菜が揃う食事)の実施状況においては、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日が「ほぼ毎日」である者の割合は52.8%だった。男女別では男性52.3%、女性53.2%で、年齢階級別にみると男女ともに20歳代が最も低い。
地域差を伴う食生活の現状
今回の調査で明確となった食生活の特徴は「野菜摂取量の不足」、「食塩摂取量の高さ」、「都道府県間の明確な地域差」――の3点に集約される。これらはいずれも調査対象地域や年代構成を年齢調整した上で比較されたものであり、単純な地理差以上の実態として浮かび上がった。
【編集部】
国民健康・栄養調査の結果はこちら(厚労省HPより)











