1. HOME
  2. 健康食品
  3. JHNFAセミナーに多くの業界関係者 消費者庁の堀井長官と「巡る検討会」座長の中川教授が講演

JHNFAセミナーに多くの業界関係者 消費者庁の堀井長官と「巡る検討会」座長の中川教授が講演

 (公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA、矢島哲也理事長)主催のセミナーが3日午後開催され、健康食品業界関係者ら100人超が聴講した。冒頭、会長の山東昭子氏(=下の写真)が挨拶に立ち、「国民と行政のパイプ役としての機能を高め、会員の役に立てるよう努める」と述べた。

 セミナーで講演したのは、消費者庁の堀井奈津子長官と、同庁が昨年開催した「機能性表示食品を巡る検討会」で座長を務めた法学者(行政法等)の中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授の2人。

堀井長官、信頼回復に向けた取り組み求める

 堀井長官は、「消費者行政の最近の動向」と題して講演した。冒頭で「誰一人として例外なく消費者である」として、消費者行政の幅広さを強調。「消費者庁の役割は情報を一元的に集約・分析し、迅速に注意喚起を行い必要に応じて制度改正に繋げることである」と述べた。

 また、小林製薬の紅麹関連事案を契機とした機能性表示食品制度の見直しについて解説した。事案発生直後に関係閣僚会議が開催され、検討会を経て、2025年5月31日に今後の対応が取りまとめられた経緯を踏まえて説明。機能性表示食品に関してはこのほか、先月26日にオンライン開催した自己点検等報告に関する説明会に触れ、「多数の質問が寄せられた。現在その内容を精査している。後日ウェブサイトで考え方を公表する」と述べた。

 さらに、同事案を受け、機能性表示食品制度の見直しに加え、サプリメント全般の規制のあり方についても検討が開始されたことを報告した。

 堀井長官は、「一度失われた信頼の回復は極めて困難である」と繰り返し強調し、業界全体での信頼確保の取り組みの重要性を訴えた。その上で、JHNFAを含む健康食品業界5団体が今年7月発表した、機能性表示食品に関する公正競争規約準備室の発足は「大変意義深い」と話した。

 この日の堀井長官の講演内容は、機能性表示食品などのほか、食品表示ルールに関する個別品目ごとの表示ルールの見直し、デジタルツールの活用、国際的な動向との整合性、日本版「包装前面栄養表示」の導入のほか、消費者法制度の抜本的見直し、食品ロス削減、消費者志向経営、改正公益通報者保護法──などと多岐にわたった。

 そして講演の最後に、「機能性表示食品の問題も、消費者法制の見直しも、全ては『信頼』を基盤とした社会を構築するための取り組みである」と総括。事業者側の理解と協力を求めた。

(上の写真=講演する堀井消費者庁長官)

中川教授「法的規制=負担の固定観念捨てよ」

 一方、中川教授は、「機能性表示食品制度はどう変わっていくか」をテーマに講演し、企業から見た規制の在り方論を展開した。「法的規制=負担」という固定観念を捨て、経営戦略の一環として規制や制度を主体的に捉えるべきだと強調。「どのようなルール(規制)であるべきかを経営戦略として考えることが重要だ」と指摘した。

 「(規制に)負担感があるのは合理性が感じられないからであり、(規制を)合理的に変える知恵を持っているのは事業者だ」という。そのため、「企業自身も法規制の在り方を考えるべき立場にある」と指摘。「法的規制は負担ばかりでなく、チャンスに変える余地もある」ことを強調した。

 また、自主規制(エンフォースト・セルフレギュレーション)の導入を提唱。「悪い事業者と優良事業者がただ共存するのではなく、行政は悪い方に集中し、良い事業者は自主規制でルールを作り、守る。この役割分担が望ましい」とし、機能性表示食品についても、自主規制(競争規約)の導入によって差別化するアイデアを提示した。「規約に入っている機能性表示食品を差別化し、『エビデンスのしっかりした機能性表示食品』というブランド感を確立できないか」と提案。「消費者庁の法執行担当者には規約に参加しない機能性表示食品に(監視を)集中してもらう」という業界自主規制を前提にした規制の在り方を示した。

(上の写真=続いて講演した中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授)

JHNFA、健康食品の品質巡る消費者意向調査実施

 主催のJHNFAからは矢島哲也理事長が登壇し、協会の取り組みを紹介。以前から提案している「健康食品の体系図」(健康食品→認定健康食品(JHFAマーク)→機能性表示食品→特定保健用食品(トクホ)→疾病リスク低減トクホの順にステップアップしていく体系)を示し、これらの製品の品質については、健康食品GMP(適正製造規範)による製造管理および品質管理で確保していく道筋を示した。

 続いて、JHNFA健康食品部長の増山明弘氏が登壇。協会で実施した「健康食品の品質や安全に対する消費者意識調査」の結果速報を伝えた。調査は全国20~69歳男女を対象にインターネットで行ったもので、回答者数は516人。健康食品GMPに対する認知については、「内容までよく知っている」と「見たことや聞いたことがある」を合わせて3割弱と、「想定より認知度が高かった」という。

(上の写真=主催者として講演した矢島理事長(左)と増山明弘健康食品部長)

 講演会終了後、会場参加者による意見交換会が開催された。矢島理事長の挨拶に続き、来賓として招かれた消費者庁食品衛生基準審査課長の高江慎一氏が乾杯の発声を行った。同庁から食品表示課の担当官、厚生労働省から健康・生活衛生局の担当官らが来賓として招かれた。参加した事業者、行政官、協会関係者らによる活発な意見交換が行われた。

(上の写真=乾杯の発声を行った高江慎一消費者庁食品衛生基準審査課長(左)と懇親会の様子)

(冒頭の写真:講演会場の様子。健康食品業界関係者ら100人超が聴講)

関連記事:機能性表示食品、法令化必要だった理由 消費者庁検討会、座長インタビュー記事を全文公開

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ