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CBDからTHCへの変換に注意を カンナビノイド研究者の佐藤均教授が見解、「水溶性加工で変換速度高まる」

 カンナビジオール(CBD)を配合した国産の清涼飲料水から、法令で定められた残留限度値を超える麻薬成分Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が検出された問題。発見した東京都はTHCの超過量を明らかにしていないが、当該製品に使用されていたCBDは大麻草由来ではなく合成品であったことが分かっている。配合量は30mg(1本50mLあたり)だった。なぜ問題が生じたのか、再発防止には何が求められるのか。カンナビノイド研究の国内第一人者として知られる佐藤均・静岡県立大学薬学系大学院客員教授(=写真)に見解を求めた。

 「今回の事例に関して、以下のことが考察できる。

 ① 本飲料水中のCBD濃度は、30mg/50mL = 0.6 mg/mL= 600ppm。製造後のある時点で仮にCBD初期濃度の99.9%が残留していたとしても、0.1%のCBDがΔ9-THCに変換しただけで、Δ9-THC濃度は600ppm×0.001 = 0.6ppmとなる。

 これは、Δ9-THCの液体製品中に許容される限度値である0.1ppmを超えており、違法だ。したがって、CBD製品の法的コンプライアンス遵守には、化学的な知識に加えて、Δ9-THC濃度に注目した加速試験が求められる。

 ② CBD原料が天然由来か化学合成由来かに関係なく、CBD分子が時間の経過とともに徐々にΔ9-THC分子に変換していくことに注意しなければならない。特にCBDを水溶性に加工した場合は、その変換速度が高まることを知っておいてほしい。具体的には、CBDの水溶性加工や界面活性剤の添加に伴うTHCへの変換リスクを十分に考慮した安全な製品開発を求めたい。

 今回の違法事例は、東京都保健医療局健康安全部薬務課の買取調査によって明らかとなった。今後も同様な事例が発生すると考えられる。

 今回のような予期せぬ事故を回避するためには、CBD独特の物性や化学変化に関して十分な学識と経験を有する会社や工場が、CBDの原料管理や製品製造に関わることが必要だ。将来的にはライセンス制の導入も考慮すべきと考える」

<佐藤均教授プロフィール>
東京大学薬学部卒業後、金沢大学薬学部、米国国立衛生研究所(NIH)、国立がん研究所、スイス・バーゼル研究所・客員研究員、東京大学医学部助教授での研究活動を経て25年間昭和大学に在籍。「自己満足に終わる研究ではなく、医療や社会に資する研究を行うことが薬学の本質」をモットーに、薬物動態学を中心に、臨床試験やゲノム解析を含む幅広い研究を手掛けている。

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