農水省、牛識別番号の不適正表示で勧告 繁田総本店が販売する多数の牛肉で無表示販売を確認
農林水産省近畿農政局は18日、㈱繁田総本店(大阪府羽曳野市、繁田大典社長)に対し、牛の個体識別番号の不適正表示に関する勧告を行ったと公表した。繁田総本店が自ら経営する北部店(大阪府茨木市)で販売していた特定牛肉について、牛トレーサビリティ法に基づく個体識別番号の表示義務に違反していた事実が確認されている。
個体識別番号の無表示が多数判明
近畿農政局は、今年3月7日~10月17日までの間、「牛の個体識別のための情報の管理および伝達に関する特別措置法」(牛トレーサビリティ法)第19条第3項に基づき、北部店に対して立入検査等を実施した。その結果、同店で加工した特定牛肉について、個体識別番号を表示しないまま販売または販売のために陳列していたことが分かった。
外食向け販売で1.1トン超を無表示出荷
不適正表示の内容は大きく2点ある。第1に、北部店が加工した特定牛肉について、個体識別番号を表示せずに外食事業者等に販売していた事例が確認された。少なくとも2024年12月2日~25年7月17日までの期間に、合計1,150.67㎏の特定牛肉が対象となっていた。
内訳を見ると、「牛肉」、「牛肉スライス」、「牛肉1.5cm」、「和牛ロース」、「ラムシン」、「牛ヘレ」、「牛上肉」、「和牛ヘレ」、「牛ロースしゃぶ」、「牛ロースすき焼」、「牛すき肉」など多数の商品が含まれていた。
店頭でも114パックを番号なしで陳列
第2に、北部店が加工した特定牛肉について、個体識別番号を表示しないまま一般消費者向けに店頭陳列していた事例が確認された。今年3月7日および3月21日に、少なくとも114パックが個体識別番号の表示なく陳列されていた。
商品は「黒毛和牛モモ肉ブロック」、「国産牛モモ肉ブロック」「、国産牛モモ肉ステーキ用」、「熊野牛サーロインステーキ肉」、「国産牛特上牛ヒレステーキ用」、「国産牛牛ヘレステーキ用」などで、いずれも店頭表示に個体識別番号はなかった。
農水省が是正と再発防止の徹底を指示
牛トレーサビリティ法第15条第1項は、販売業者に対し、特定牛肉を販売する際、該当する特定牛肉またはその容器・包装、送り状、または店舗の見やすい場所に、その牛に係る個体識別番号を表示する義務を課している。
繁田総本店北部店における上記の行為は、同条に定める表示義務に違反するものと認定された。
農林水産省は牛トレーサビリティ法第18条第2項に基づき繁田総本店に対し、牛トレーサビリティ法違反の是正と再発防止を求めた。まず、現在保有している特定牛肉の個体識別番号の表示を直ちに点検し、不備があれば適正に表示し直すこと、また不適正な表示のまま販売した分については販売先へ事実と正しい番号を伝えるよう求めている。
さらに、表示しなかった原因として、情報提供への意識不足や制度理解・法令遵守意識の欠如、管理体制や商品管理システムの不備が考えられるとして、その点検と原因究明を徹底するよう指示した。その上で、責任の所在を明確にし、表示を確実にチェックできる管理体制・システムを整備するなど、再発防止策の実施を求めている。
また、役員と従業員へ制度の周知を図り、遵守を徹底することも求められた。これら一連の措置について、12月18日までに報告書として農林水産大臣に提出するよう指示している。
【編集部】
発表資料はこちら(農水省HPより)
(冒頭の写真:「店頭の表示状況」発表資料より転載)











