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65周年の『ケンミンの焼ビーフン』 「GF RAMEN LAB」ブランドで新たな展開に挑む

 お米の麵、ビーフンメーカーとして国内シェア1位の売上を誇るケンミン食品㈱。発売開始以来、今年で65周年を迎えた『ケンミン焼ビーフン』は、ギネス世界記録®にも登録されている。現在は事業の新たな柱としてグルテンフリー商品の開発・販売に注力。大阪・関西万博会場内に出店した『GF RAMEN LAB(ジーエフ ラーメン ラボ)』も大きな反響を呼び起こした。

コスパ・タイパに優れ、野菜も取れる点が人気

 フライパンに水と野菜などの具材を加えて、蒸し焼き3分で簡単に調理できる『ケンミン焼ビーフン』。乾麺に、自宅にある野菜を加えるだけのシンプル調理で食べられるのでコスパに優れ、さまざまな野菜との相性まで考えられた味付けもあり、3分で完成するタイパの良さも、長年支持されている理由だとマーケティング部ブランドマネージャーの吉田聖士氏(=写真)は語る。
 「どなたでも自宅で手軽にプロの味が楽しめて、しかもおいしいというところが支持されてのロングセラーです。さらに近年のヘルシー志向の高まりから、野菜も同時にたっぷりと食べてもらえることも大きいと思います。冷蔵庫で使い切れないまま残っていた野菜をそのまま料理に生かせるのが商品の特徴ですが、消費者の皆さんにそこが認知されているということですね」
 その本家『焼ビーフン』から派生し、消費者ニーズを捉えて育ち盛りの子どもに野菜とご飯をたっぷり食べてもらおうと開発したのが『おかず焼ビーフン』シリーズだ。2年前に『とり野菜みそ味』、昨年は『オイスターソース味』を発売し、好評だったことから今年9月に第3弾として、青森でおなじみの焼肉のたれ「スタミナ源たれ」とコラボした新商品『スタミナ源たれ味』を発売した。
 「おかず焼ビーフンシリーズは、3~4人のファミリー家庭で、夕飯の献立に困ったときなどに食べてもらえるよう開発した商品です。一袋あたり野菜を360g入れて調理すると、ちょうど濃過ぎずご飯のおかずとなるよう整えています。今では単身者が、お酒のおつまみ代わりに購入されている例もあるようです」

(食べ盛りの子どもがいる家庭向けに開発された『おかず焼きビーフン』シリーズの第三弾『スタミナ源たれ味』。一袋で3~4人前の大皿料理ができることも人気となっている)

取材時点で5万杯を販売、万博への出店は大成功

 同社は1950年に創業し、今年75年目を迎えている。『ケンミン焼ビーフン』などの食文化事業を中心に業績を伸ばし、小麦粉を一切使わず米から作った食品のメーカーとして『ライスパスタ』や『ライスペーパー』などを発売。国内シェアナンバーワンの地位を確立した。
 さらに2019年に高村祐輝氏が社長に就任した時期からは、グルテンフリー事業にも本格的に注力を開始。5年前からグルテンフリーの中華麺『GF RAMEN LAB』ブランドの開発を進めてきた。その成果をお披露目する場として選んだのが、今年4月から開催されている大阪・関西万博内の初の常設店だ。『GF RAMEN LAB大阪・関西万博店』との名称で営業し、グルテンフリーラーメン全6種類を提供している。
「9月10日時点では累計5万杯の販売を記録するなど、大好評です。4月は1日平均280杯でしたが、8月は同404杯と大幅に増加。10月13日の閉幕まで駆け込み需要も見込まれることから、6万杯達成はほぼ確実、できれば7万杯に近づいて終わりたいと期待しています」(広報室長の田中国男氏)。
 6種類の中で一番人気は『GFしょうゆラーメン』で、販売価格は1,600円とそれなりの値段だが、実食した人へのアンケートでは「おいしい」「ややおいしい」を合わせた肯定的な感想が86.7%と高い評価を受けた。また、この店をほかの人に勧めたいかを聞くと、「勧めたい」「やや勧めたい」の合計が80%。入場者数の増加という要素もあるが、実食した人からのクチコミで評判が広まったことも5万杯達成の要因の一つではないかと同社では分析している。

(『GF RAMEN LAB』ブランドの『グルテンフリー醤油ラーメン』(左)と『プラントベースとんこつ風ラーメン』は、全国のスーパーマーケットで取り扱いの販売店舗も増えている)

(『GF RAMEN LAB大阪・関西万博店』で提供しているグルテンフリーラーメンの中で一番人気だったのがこの『GFしょうゆラーメン』(左)。もっちりでつるっとした食感が特徴。右の写真は会期中の店内。常に満員御礼の状況だったそうだ)

苦労したのは表面積の多い角麵への挑戦

 『GF RAMEN LAB』の中華麵は、米国ボストンの人気ラーメン店『Tsurumen』店主の大西益央氏と同社が共同開発した。そのきっかけは、大西氏にボストンの客から「グルテンフリーのラーメンはないか?」とたびたび聞かれたことだった。そこで米から麵を作るトップ企業であるケンミン食品に相談して始まったのが『GF RAMEN LAB』だ。開発は2020年10月からスタートしたが、最も苦労したのが麵の形状だったと吉田氏。
 「通常、ラーメンの麺は、ロール式(麺帯式)製麺機で圧延した生地を切り出すため、断面は四角になり、それがラーメン特有の麵の食感やスープとの一体感につながっています。一方、当社のグルテンフリー麺はビーフンの技術を応用した押出し製法で作っています。ビーフンは通常、丸い孔(ダイス)で押し出すので、以前からグルテンフリー麺も丸麺としてスタートしていました。しかし大西氏とのコラボでは、よりラーメンらしさを出そうと、角麵形状にチャレンジ。一つのダイスを試すだけで約2ケ月、費用も30、40万円かかる。それでも理想の食感やコシ、茹で時間、スープとの絡みを目指し、ようやく8月に完成。万博で完成形の麺を食べてもらうことができました」
 万博開幕から完成形投入の8月22日までは、既存のグルテンフリー麺による提供だったそうだが、万博出店自体も前もって決まっていたことではなかったため、間に合わせたいとの思いだけで、なんとか完成形まで持っていくことができた。

家族でテーブルを囲み同じラーメンを食べる幸福感

 『GF RAMEN LAB大阪・関西万博店』では、オーストラリアから訪れたファミリーの娘さんが小麦アレルギーだったため、「ようやく家族で一緒に同じラーメンを食べることができた」との喜びの声もあったという。
 「食べたいけれど小麦アレルギーで食べられなかった方にグルテンフリーラーメンを楽しんでもらえた。しかも家族団らんの中でテーブルを囲んで。そんなシーンを想像しながら開発してきたので、関わったわれわれスタッフ全員が喜び、達成感を味わうことができました(笑)」
 『GF RAMEN LAB』で共同開発した袋入り乾麺の商品は万博に先行する形で発売した。それが『グルテンフリー醤油ラーメン』と『プラントベースとんこつ風ラーメン』の2種類で、すでに全国のスーパーなどで販売している。今後は各地で行われるグルテンフリーのイベントなどで試食の機会を設けて、認知を広げていきたいと吉田氏は意気込んでいる。
 「当社調査によれば国内の米粉から作ったビーフンの市場はこの5年で1.3倍に拡大しています。世界に視点を移しても、グルテンフリー市場はここ10年で約1.8倍と、グルテンフリーラーメンの潜在的な市場性はとても豊かに広がっています。ですから『GF RAMEN LAB』ブランドの商品は、小麦アレルギーの方だけでなく、おいしいから食べたいというヘルシー志向の方にまで認知が広がっていくよう、今後もいろんな情報発信やプロモーションを仕掛けていきたいと考えています」
 現在、ラーメンにはスープ麵、つけ麺、まぜ麵、焼きラーメンと、さまざまなカテゴリーが生まれている。その一角にグルテンフリーラーメンという新カテゴリーを確立することが同社の目指す近未来戦略のようだ。

(下の写真『ケンミン焼ビーフン』の発売当時(左)現行品。65周年記念キャンペーンではOisixとのコラボレーションによって、厳選旬野菜と『ケンミン焼ビーフン鶏だし醤油』3袋が抽選で当たるレシートキャンペーンを実施。第4弾として2026年1月31日まで応募を受け付けている)

【堂上昌幸】

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