東京都が食品安全計画を大幅改定へ 紅麹問題踏まえ健康食品対策も強化
東京都食品安全審議会は、2025年度(令和7年度)で期間を終える東京都食品安全推進計画の改定に向けた答申を取りまとめた。
新たな5カ年計画へ改定方針示す
都は食品安全条例に基づき、食品安全行政を総合的に推進するため同計画を策定してきたが、社会環境の変化に対応する必要があるとして、2026年度から30年度までの新たな5カ年計画として改定を進める方針だ。
今回の答申は、今年1月29日に知事が審議会に諮問した内容をもとに審議を重ねた結果として提出されたもの。都は答申を踏まえ、今年度中に改定計画を公表する予定。
答申では、計画改定に当たり、これまでの施策を継続すべき課題として、食中毒予防、HACCPへの取組支援、輸入食品対策などが引き続き重要であることが示された。
一方で、災害時の食品衛生対策といった新たな課題にも対応する必要があると指摘されている。社会環境や食の提供方法が多様化する中で、こうした既存の課題と新たなリスクを適切に整理し、行政の方向性を明確化することが求められるという立場を取っている。
3本柱と基盤を継続し整理・強化
計画の構成については、現行計画と同様に「3つの施策の柱」と「施策の基盤」を維持しながら、食品の生産から消費に至る各段階における安全確保の取り組みを再整理するかたちが取られた。
第1の柱は、食を取り巻く環境の変化に対応する自主的な取り組みの推進だ。事業者が主体的に、衛生管理や品質向上に取り組む環境を整えることを重視している。
第2の柱は、情報収集や調査、監視指導などに基づく安全対策の推進だ。行政による調査や監視の結果を踏まえた対応を強化し、科学的知見に基づく施策を展開する必要性が示されている。
第3の柱は、関係者による相互理解と食の安全に関する情報発信の推進だ。行政・事業者・消費者が互いに情報を共有し、食の安全を支える社会的基盤を形成することを目的としている。さらに、これら3つの柱を支える施策の基盤として、安全を確保するための人材育成や体制整備などが位置付けられている。
改定計画では、これらの柱と基盤の下で、食品安全を確保するための49の基本施策を体系化した。さらに、その中でも特に重点的に取り組むべき12施策を定め、今後の行政の力点を示した。
重点施策には、GAP認証制度の推進やHACCPの導入・定着の推進、提供方法の多様化に伴う衛生管理の向上、食品安全情報の評価、監視指導のDX推進、輸入食品対策、健康食品対策、食品の適正表示の推進、食品安全に関する健康危機管理体制の確保、リスクコミュニケーションの推進、食物アレルギー対策の推進、災害時の食品衛生対策に係る人材育成などを挙げている。
紅麹問題受け健康食品対策を重点化
この中で、健康食品対策は昨年起きた紅麹サプリメント事件を受けるかたちで、「情報収集や調査、監視指導等に基づく安全対策の推進」の一環として位置付けられており、49の基本施策のうち、特に重点的に取り組むべき12の重点施策の1つとして明示された。計画では、「健康被害情報収集体制の拡充」、「検査・分析体制の確保」、「正しい使い方に関する普及啓発」、「市場流通品の検査や表示・広告の調査」、「健康食品取扱事業者を対象にした講習会」などを強化する。
【編集部】
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