次世代ウェルネスが時代の潮流に ユーロモニター、2026年の世界消費者トレンドを分析
英国を本拠地とする国際市場調査会社ユーロモニターインターナショナルは5日、2026年の業界横断的な消費者トレンドを予測する「世界の消費者トレンド2026年版」を発表した。変化し続ける消費者の価値観がビジネスに与える影響や新たな商機について、データに基づいて分析している。
ユーロモニターが今回選出した4つのトレンドは、「コンフォートゾーン」、「自分らしさの追求」、「次世代ウェルネス」、「アジア発の新潮流」の4つ。
同社は「コンフォートゾーン」を選出した理由について、不安やストレスの高まりを背景に、消費者が心の安らぎやバランスの取れた生活を重視する傾向が強まっていると指摘。世界の消費者の58%が日常的に中程度から深刻なストレスを感じており、生活をシンプルにして安心感を求める動きが拡大しているという。
これに関連し、自然由来の商品やリラックス効果のある香り・食材、スマート家電など、癒しや快適さをもたらす商品の注目度が高まっている。昨年9月から今年8月に発売された健康訴求型オンライン商品の約1割に、「心の健康」を訴求する内容が含まれていたという。
「自分らしさの追求」については、「ありのまま」や「本物らしさ」といった概念が新たな共感の波として広がり、「自分らしさを追求する」という価値観が消費行動に大きな影響を与えているという。
消費者の47%が他者との差別化を好み、50%が自分専用にカスタマイズされた商品・サービスを求めている。また、政治的・社会的関心のある消費者の30%は、自らの価値観に合った問題を支持するブランドから購入しているという。そのため企業には一律的なアプローチでなく、個人の価値観や多様性を尊重した対応が求められる、としている。
「次世代ウェルネス」については、科学とセルフケアの融合によって、新たなウェルネスのかたちが生まれていると分析した。
消費者は日常的な健康管理に病院レベルの高い技術を取り入れるようになり、個人最適化された健康・美容・パフォーマンス向上を目指す動きが加速しているという。調査データによれば、消費者の74%が健康指標を記録するアプリやデバイスを利用し、35%が自宅で使える診断・検査キットに肯定的で、世界の健康関連製品・医療サービスへの消費支出は26年に6.9兆米ドルに達する見込みであり、減量を目指す消費者の9%がGLP-1薬を使用している(2024年は6%)とする。ただし、GLP-1薬の使用に関しては「日本ではまだ一般的ではない」と指摘している。
「アジア発の新潮流」では、東アジア発の影響力が世界で高まっている点を挙げた。
中国ブランドに対する消費者の認識も変化しており、中国企業について「デジタル主導の手法で海外展開に成功し、モバイル中心の戦略やアルゴリズムによるパーソナライズで顧客エンゲージメントを高めている」と分析。2024年の世界EC小売業者トップ5のうち4社が、中国発または中国に本拠を置く企業になっているという。
日本の消費者、ストレス感じる人の割合多く
同社はまた、東京オフィスのリサーチマネジャー、ショーン・クレイドラー氏のコメントを発表し、日本の消費者トレンドを次のように説明した。
「世界平均と比べ、日本の消費者は日常的にストレスを感じている人の割合が多く、現実世界よりもオンライン上のバーチャル空間を好む人の割合も多い。
多くの人が自分の『コンフォートゾーン』を大切にし、ストレスの軽減やリラックスを促す食品や飲料の摂取を意識しているほか、入浴習慣のある日本では、リラックス効果のある入浴関連製品も人気となっている。
また、『次世代ウェルネス』を活用し、主体的に自らの健康を管理しようとする姿も見られ、ハイテクでありながら日常使いにも適した、睡眠中に疲労回復をサポートするようなパジャマ、皮膚科医の専門的知見を取り入れたダーマコスメ、パーソナライズド・ニュートリッションといった自宅でできる美容・健康ケアへの関心も高まっている」
【石川太郎】











