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三生医薬、「香って効く」サプリ開発 香気成分のβ-カリオフィレンに着目、気圧による体調変化巡りヒト試験

 サプリメントの受託開発・製造を行う三生医薬㈱(静岡県富士市)が、クローブやバジルなどの植物に含まれる、β-カリオフィレンという香気成分の機能性研究と製剤開発を進めている。

 同社は先ごろ、同成分の機能を検証するための予備的臨床試験の結果を発表した。気圧の変化で生じる体調不良を改善する働きが期待できる可能性が示唆されたという。今後、機能性の科学的根拠を積み上げながら、「香って効く」という従来にないコンセプトのサプリメントを開発し、国内外に提案していきたい考えだ。

香る仕組み、レトロネーザル経路に注目

 β-カリオフィレンを巡り同社は、近畿大学農学部の財満信宏教授らと共同研究を進めている。同社の又平芳春常務取締役(研究開発本部長)によると、これまでの研究で血管機能を健全に保つ働きをはじめ、リラックスや睡眠に資する可能性があることを突き止めた。

 ただ、これらの機能は、経口摂取(食べる)ではなく、吸入暴露(香る)試験で示されたもの。有効成分を主に腸管から吸収させることを目的にした一般的なサプリメントで同様の機能を得ることは難しいと考えられる。「(β-カリオフィレンのような)揮発性成分では一般的だが、動物の経口投与試験では有効性を確認できなかった」(同)という。

 そのため、同社は「レトロネーザル」と呼ばれる匂いの経路に着目した。

 人が香りを感じる経路は大きく2つあり、鼻先から嗅ぐ経路と、口の中で発生した揮発成分が鼻腔の嗅上皮に到達し匂いとして知覚される経路がある。レトロネーザルは、食事の際の「味わい」にも大きく関わる後者の経路で、同社は新しく開発した「噛んで食べる」製剤である「新食感カプセル」や「発泡錠」の技術を活用し、揮発性の香気成分を口腔内に取り入れたうえで機能を発揮させる製剤(香るカプセル)を開発。これを使用した予備的臨床試験を行い、気圧の変化によって自律神経が乱れることで生じる倦怠感や頭痛などの総称である、いわゆる気象病(天気痛)にβ-カリオフィレンが有効である可能性を見いだした。

 香るカプセルについて同社は、先ごろ閉幕した大阪・関西万博内で開催された近畿大学設立100周年イベント(9月20日限定)で紹介した。同社広報担当者によると、同社のシームレスカプセルに香料を閉じ込めた同カプセルを実際に体験した来場者からは、「身体に良い香りがあるなんて今まであまり考えもしなかった」、「β-カリオフィレンのことを初めて知れて興味深い」などの感想が寄せられたという。

 同社はβ-カリオフィレンを「ホヤ由来プラズマローゲン、クリルオイルに次ぐ、第三の(同社独自素材の)柱として戦略的に位置付けている」(同)という。今後、本格的な臨床試験を実施する予定だ。

【石川太郎】


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