美容医療の違法行為に厳格対応へ 無資格カウンセラーや過剰広告などに明確な基準
厚生労働省医政局はきのう27日、「美容医療の取り扱いについて」として、公式サイトで改めて美容医療への対応に関する注意喚起を行った。
今年8月15日、自由診療で行われる美容医療をめぐる不適切事例への対応を強化するため、関係法令の解釈を整理した通知を発出した。無資格者による診断や看護師のみの施術、メール・チャットによる診療、誇大広告など、違法となり得る行為を具体的に列挙し、全国の都道府県・保健所設置市・特別区に周知を求めたものである。
通知は、厚労省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」が昨年11月に取りまとめた報告書を踏まえたもの。報告書では、カウンセラーのみが患者と相談して治療を決定し、医師が形式的に実施する事例や、立入検査の権限が不明確で指導が困難な実態が指摘されていた。
無資格者・看護師の単独施術を禁止
通知はまず、医師法第17条に基づき、無資格者による診断や施術は医業に該当するため違法であると明確化した。「カウンセラー」などと称する者が、患者の希望をもとに治療法を提案・決定する行為は、形式的に料金説明の体裁をとっていても実質的に医学的判断を伴うため、医師法違反となるとした。
また、脱毛、アートメイク、HIFU(高密度焦点式超音波)などの施術も、医師の資格を持たない者が行えば医行為にあたると明示した。看護師が医師の指示なしに診療補助や施術を行うことも、保健師助産師看護師法第37条違反に該当する。
メール診療は原則禁止、診療録作成も義務
オンライン診療に関しては、「メールやチャットのみの診療」は医師法第20条に定める無診察治療の禁止に抵触するおそれがあるとした。リアルタイムの映像や音声を伴わない診断・処方は認められない。
さらに、診療録の作成・保存義務(医師法第24条)を改めて明示し、作成していない場合や記載事項が不足している場合には罰則(50万円以下の罰金)が科されるとした。患者から開示を求められた際には、既存の厚労省指針に従って対応すべきとしている。
管理者の長期不在や安全対策の不備も違反
病院・診療所の管理者が長期間不在である場合は、医療法第15条の管理義務違反となると明記した。
医療の安全確保に関しては、指針の整備や職員研修、医薬品・医療機器の安全管理責任者の配置などが必要であり、これらを怠ることも法令違反とした。
誇大・虚偽広告に対する厳格な指導
広告については、「絶対に安全」、「必ずきれいになる」などの虚偽表現や、“日本一”“No.1”といった優良誇示、著名人との関係を強調する表示を禁止した。さらに、施術前後の写真を掲載する場合でも、費用・リスク・副作用などの情報を併記しなければ誤認を招くとし、医療法第6条の5に基づく違反となると明確化した。
厚労省は「医療広告ガイドライン」および「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」を参照するよう求め、違反が確認された場合には報告命令・立入検査・改善命令・開設許可の取消し等の行政処分が可能であるとした。
違反確認時の対応と連携
通知では、保健所による立入検査や是正命令、警察への告発手続きなど、違法事例への具体的対応を示した。無資格施術や医療法違反が疑われる場合には、医療法第25条に基づく立入検査を行い、必要に応じて刑事訴訟法第239条に基づく告発を行うよう求めており、契約や解約に関する相談については、消費生活センターや消費生活相談窓口と連携して対応するよう指示している。
【谷山 勝利】
発表資料はこちら(厚労省HPより)











