腸内細菌叢検査サービスの品質向上へ 「自主規制ガイドライン」策定、国際展開も視野に
(一社)腸内環境ヘルスケア協会(沢井悠代表理事、福田真嗣代表理事/以下GHA)はこのほど、「腸内細菌叢検査サービス自主規制ガイドライン」が完成したと発表した。GHAではこれまで、経済産業省の令和7年度「国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費補助金」採択事業として、同ガイドラインの策定を進めてきた。それを受けきのう22日、完成記念イベント 「GHA Guideline Launch Event 2025」を都内で開催、ガイドラインの全容を公開した。
近年、「腸活」への関心の高まりとともに、自身の腸内環境を手軽に知ることができる腸内細菌叢検査サービス市場が急速に拡大している。一方で、その検査品質や結果の表示・解釈方法は各事業者の判断に委ねられており、業界として統一された基準が存在しないことが業界の健全な発展と消費者保護における喫緊の課題となっている。こうした状況を踏まえ、GHAは消費者が安心してサービスを利用できる環境を整備するため、ガイドライン委員会を設立。今回の自主規制ガイドライン策定に至った。
GHAでは、同ガイドラインは科学的根拠に基づく品質保証と消費者保護の実現を目的としていると説明。特定の検査手法や実験プロトコルを細かく規定するものではなく、事業者がサービス全体の品質を管理・保証するための枠組みを定めるものとなっている。国内の主要な検査サービス事業者が同委員会に参画し、アカデミア、医師、弁護士といった専門家の助言の下で作り上げたという。
代表理事の福田氏は冒頭の挨拶で、「我々が目指すのは、1人ひとりの思いを叶えるために個人の腸内環境を求める方向に制御する『腸内デザイン®』が当たり前になる社会。そのためには、信頼できる腸内細菌叢検査サービスが必要不可欠であり、本ガイドラインの策定は、業界として重要な第一歩になると確信している。今後は国内での普及はもとより、日本発のルールとして国際展開も視野に入れ、誰もが健康になれる社会の実現に貢献する」とコメントした。
同じく代表理事の沢井氏は、「腸内細菌叢検査サービスが急速に普及する中で、消費者が安心して利用できる環境を整えることは我々の急務だった 。今回、業界のリーディングカンパニーの知見を結集した本ガイドラインを発表できたことを大変嬉しく思う。これが業界への信頼となり、市場の健全な発展につながることを強く信じている」とコメントした。
来賓として挨拶した経済産業省、商務・サービスグループ、ヘルスケア産業課係長の小松慧氏は「健康寿命の延伸を国家課題とする中、公的保険外サービス分野における自主規制による信頼性担保の取り組みは、ヘルスケア産業全体の振興において重要である」と話した。
GHAは今後、ガイドラインの遵守を促進するため、会員企業向けにチェックリストを提供し、自己宣言による運用を開始する。中長期的には、ガイドラインを遵守する企業を評価する認証制度の創設も視野に入れ、業界全体の水準底上げを目指す。また日本発の国際標準を目指し、将来的には海外市場への展開も視野に入れた活動を継続していくとしている。
【藤田 勇一】
同ガイドラインの全文はこちら
(冒頭の写真:ガイドライン発表イベントにて)











