ブラックコホシュ抽出物、要指導薬へ 厚労省の薬事審議会部会が了承、「指定成分」がダイレクトOTCに
ブラックコホシュの抽出物を有効成分として含む製剤「メノフェミニン」について、厚生労働省の薬事審議会要指導・一般用医薬品部会が、要指導医薬品への指定と製造販売承認を了承した。「アメリカショウマ」を和名とするキンポウゲ科植物のブラックコホシュは、サプリメントや健康食品の原材料として日本では1990年代後半から利用されており、現在、食品衛生法に基づく指定成分等含有食品における「指定成分」の1つに位置付けられている。
効能・効果に「ホットフラッシュ」の緩和
この了承は、同部会が10日に開いた非公開の審議で決定された。部会の庶務を担当する厚労省の医薬品審査管理課によると、「メノフェミニン」の医薬品承認を申請したのは、佐藤製薬㈱(東京都港区)。標準化されたブラックコホシュ抽出物を有効成分とする医薬品製剤は日本にこれまでなく、医療用医薬品としての使用実績のないまま一般用医薬品(OTC薬)化される、いわゆる「ダイレクトOTC薬」に区分されることになる。
効能・効果は、更年期症状のホットフラッシュ(ほてり)をはじめ、発汗、不眠、神経質・イライラ、憂うつの緩和。新規有効成分のため再審査期間は8年とされた。ブラックコホシュ標準化抽出物を有効成分として含む製剤は、ドイツやスイスといった欧州諸国をはじめ、オーストラリアなど16カ国(2024年8月時点)でOTC薬として承認されているという。
健康食品に長年利用されてきたブラックコホシュの更年期症状に対する有効性が、日本でも公的に認められた格好だ。一方、そうした有効性をサプリなどの機能性食品として活用していくためには、2020年施行の改正食品衛生法に導入された「指定成分等含有食品」の規制に対応する必要がある。
海外で肝障害などの健康被害報告があるとされるブラックコホシュは日本で現在、「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物」として現在までに国が指定している4つの「指定成分」のうちの1つ。指定成分等含有食品を製造・販売する事業者は、法令に基づくGMP(適正製造規範)の遵守をはじめ、健康被害疑い情報の行政機関への報告が義務付けられている。
サプリや健康食品の基原材料としても利用されている植物の標準化抽出物を有効成分とする製剤が、海外での医薬品としての使用実績を背景に、日本でダイレクトOTC薬に承認されるケースはこれまでもあった。代表的な有効成分としては、赤ブドウ葉乾燥エキス混合物(足のむくみ改善薬)やチェストベリー乾燥エキス(月経前症候群治療薬)が知られる。
もっとも、ブドウおよびチェストベリー(セイヨウニンジンボク)はそれぞれ食薬区分の「非医リスト」に現在も収載されており、医薬品的な効能・効果を標ぼうしない限り、その抽出物などを食品として販売できる。
【石川太郎】
関連資料
:指定成分等含有食品制度の概要(厚労省のホームページへ)
:指定成分等含有食品の関係法令等(同上)
:指定成分等含有食品の健康被害情報について(同上)