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消費者庁、検証事業報告書を全面公開 最高裁判決を受け、買上調査の詳細を初公表

 消費者庁は14日、特別用途食品や機能性表示食品を対象とした2024年度(令和6年度)の検証事業報告書を公開した。「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書」(平成27年度)を巡る情報開示請求訴訟において、今年6月6日に最高裁が下した判決を踏まえての対応で、これまで概要のみだった買上調査の詳細も明らかにした。同庁は、制度の透明性と信頼性の確保に向けた第一歩を踏み出した。

特別用途食品・機能性表示食品を分析

 「令和6年度 特別用途食品(特定保健用食品を除く)に係る栄養成分等、特定保健用食品に係る関与成分及び機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業(買上調査)」の結果を取りまとめ、公表した。検証事業では、特別用途食品や機能性表示食品における関与成分等の分析値が、届出時に示された値どおりに含まれているかを確認し、適正な運用を図ることを目的としている。
 特別用途食品は、乳児や妊産婦、病者などを対象とし、消費者庁長官の許可を受けて表示が認められているもの。特定保健用食品(トクホ)は、有効性や安全性に関する審査を経て許可され、機能性表示食品は事業者の自己責任で科学的根拠を基に届出を行う制度。こうした制度の信頼性を維持するために消費者庁は毎年、これらの食品を市場から買い上げ、成分の分析・検証を行っている。

99品を対象、成分分析で高い適合率

 2024年度は、特別用途食品2品、特定保健用食品15品、機能性表示食品82品の合計99品を対象に調査を実施した。
 各製品について1商品ごとに1ロットを購入し、分析を行った。特別用途食品および特定保健用食品では、申請書または届出資料に基づき、成分量を比較・確認した。
 分析は、(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所(国立栄研)および日本食品分析センターで実施された。品質の偏りを防ぐため、試験品の提供や配布にあたっては利益相反を排除する措置が取られた。

 分析の結果、特別用途食品2品についてはすべて基準に適合していた。特定保健用食品15品については、申請値の範囲内であったものが15品全てであり、不適合は確認されなかった。
 機能性表示食品については、82品を対象に23の機能性関与成分を分析した結果、81品が表示値の範囲内、1品が範囲外だった。また、2機関で分析した結果、同一の1品で範囲外の値が確認された。

分析方法の明確化など今後の課題も

 全体を通じて、特別用途食品、特定保健用食品、機能性表示食品のいずれにおいても大きな問題は認められず、「特になし」と報告された。
 一方、共通の課題として、分析方法を示す資料に関しては、第三者機関で定性・定量試験を再現できることが求められることから、操作手順の明確化や、分析方法の妥当性を確認できる資料の整備が重要とされた。また、希望率、均質化方法、一日摂取量の換算方法、比重測定の詳細などについても、今後は記載すべき事項であると指摘された。

分析方法の不備も、過去と同様の傾向

 「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業 機能性関与成分の分析方法に関する検証」では、2023年(令和5年)10月1日~24年(同6年)9月30日までに届出された機能性表示食品のうち、新たな機能性関与成分を含む14商品、および24年9月30日までに届出された全ての機能性表示食品の中から、分析方法に疑念のある84商品について資料を確認した。国立医薬品食品衛生研究所(国立衛生研)が検証結果を一覧表にまとめ、報告書として取りまとめた。

 検証では、定性・定量の評価において「△」または「×」と判定された事例が見られた。これらは、いずれも「情報に不足がある」、「情報が不十分」であることを示しており、具体的には、「原材料の由来が未確認であること」、「クロマトグラムの掲載がないこと」、「標準品や試薬の詳細な記載がないこと」、「実験方法の記載または結果が不十分であること」――などが挙げられているが、この傾向は、これまでの検証で指摘されてきた事案と同様で、「新たな課題として特に追記すべき事項はない」と報告している。

【田代 宏】

発表資料はこちら(消費者庁HPより)

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