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「NOMON印」のNMNサプリ再び 旧経営陣らが新会社、「完全国内生産」などそのままに

 今年6月末に事業を終了、そして解散したサプリメント販売会社がある。大手化学メーカー、帝人の100%子会社として2019年2月設立、当時は今ほど知られていなかったニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の機能性に着目して開発したサプリ『NADaltus』(ナダルタス)で健康食品市場に新規参入したNOMON(ノモン)だ。

 急速な成分認知度の高まりも追い風になり、短期間のうちに形成されたNMNサプリ市場をけん引するリーダー企業の1つだった。原材料から最終製品まで「完全国内生産」を訴求する同社のNMNサプリは、経営者をはじめとするビジネスパーソンや医師、さらにアスリートまで顧客を獲得していたとされる。

 だが、親会社である帝人の事業ポートフォリオ見直し(健康食品事業からの撤退)のあおりを受け、全事業を終了、NADaltusなどの商品とともに健康食品市場から姿を消した。「業績が悪かったわけではない」。同社の事業に深く関与していた人物は語る。

4月に設立していた新会社「NOMON&Co.」

 それから約4カ月。EC市場では今、今年4月設立の新興企業が営業活動を始めている。社名は「NOMON&Co.」(ノモン・アンド・カンパニー、東京都千代田区)。販売しているのは『&NMN』(アンドエヌエムエヌ)をシリーズ名とする高価格帯のNMNサプリだ。

 会社概要を見る。役員一覧に「山名慶」の名がある。帝人における社内起業でNOMONを立ち上げ、社長を務めながら研究開発も担っていた人物。どういう会社なのか。社長の安藤進ノ介氏がウェルネスデイリーニュースの取材に応じた。

 まず確認しておきたいのは帝人との資本や人的な関係だが、安藤氏は「一切ありません」とコメント。事業承継したわけではなく、NOMONの顧客を引き継いでもいない、とも言うから事実上のゼロスタートだ。

 ただ、役員の顔ぶれはNOMONと重なる部分が多い。取締役CTO(最高技術責任者)を務める山名慶氏(学術博士)をはじめ同CFO(最高財務責任者)の岡部謙介氏、執行役員CCO(最高顧客責任者)の狩野理延氏(医学博士)はいずれも元NOMON役員。元役員ではないが、同CPO(最高製品責任者)として中島良太氏(薬科学博士)も引き続き名を連ねている。

 では社長の安藤氏はどういう経歴か。元役員ではないがNOMONとの関わりは長く、深い。某EC運営受託会社大手のコンサルタントとしてNOMON設立当初からEC事業の立ち上げに関わるとともに、マーケティング全般から顧客対応等のオペレーションまで一気通貫でサポートしていた。また、取締役GMを務める轟武士氏も安藤氏と同様に元役員ではないが、NOMON製品のシンガポール市場進出を支援する立場で同社の事業に携わっていたという。

 「山名、狩野、中島はサイエンティストとして引き続き研究開発や商品のクオリティコントロールなどを担当します。その上で、ビジネスをさらにドライブさせていくために、もともとNOMONの事業運営に関わっていた私と轟が新たに加わったという形です。サイエンスとビジネスの役割分担を明確に分けた新しい体制で本格的にやっていこうということで、私を含む現役員が主要株主になってノモン・アンド・カンパニーを設立しました」(安藤氏)。山名氏らはもともと帝人の社員でもあったが、NOMON&Co.設立のタイミングで帝人を離れたという。

高価格帯路線も継続、「マス市場は見ていない」

 NOMON&Co.は9月に『&NMN』シリーズの予約販売をスタート、10月から販売を開始した。一定の認知を得ていた『NADaltus』(登録商標)のブランド名の使用は認められなかったものの、重視しているのは製品の品質に関する継続性だ。NMN原末の製造から最終製品化まで「完全国内生産」を堅持。「基本的にはこれまでと変わらない商品をお届けできる」(安藤氏)という。NOMONの製品で取得していたサプリに関する国際的なアンチドーピング認証プログラム「インフォームドスポーツ」の取得も予定している。

 販売価格も変えていない。30粒入りで通常購入価格6万2,640円(税込)の高価格路線を維持させた。AmazonなどのECモールでは5,000円を下回るNMNサプリも数多く販売されている中で、どのように勝負していくつもりだろうか。安藤氏はこう語る。

 「本当に今は高価格から低価格まで玉石混交ですよね。ただ、私たちは競合商品の価格は見ていない。見ているのはクオリティです。私たちは私たちの商品のクオリティに見合った価格設定を行っています。

 それに、ノモンの時からそうなのですが、そもそも私たちはマスの市場を狙っていない。1人ひとりのお客様としっかりコミュニケーションを取りながら商品を販売していきたいと考えています。ノモン・アンド・カンパニーでは、私たちの強みであるITやAI、あるいはSNSなどを上手に活用しながら、これまで以上にお客様にしっかりと寄り添う形でのビジネスを行っていきます」

 研究開発については引き続き山名氏を中心に「AGING HALLMARKS」(エイジングホールマークス、現在までに科学的に確認されているとされる細胞老化など12の老化要因)を指標にしたサプリをはじめとするニュートラシューティカル(機能性食品)の開発を進めていく方針。

 「エイジングホールマークスのパーフェクトスコアを実現させる商品の開発を目指す。それを私たちは一番大事にしています」と安藤氏。また、「これまでの反省点として、SKUが少なかったことがありますので、今後はよりスピード感をもってエビデンスのある商品を展開していくことになります」と今後の展望を語る。

 事業終了、解散というネガティブな出来事から一転、旧経営陣らが新会社を立ち上げ、名称は異なるものの一貫性のある商品を販売し続けるという珍しい展開を辿ることになった「NOMON印」のNMNサプリ。消費者が物価高で消費を絞る中、高品質を訴求する高価格帯路線でどこまで事業を拡大できるか。NOMON&Co.の今後が注目だ。

【石川太郎】

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