三生医薬、OEM体制を刷新 顧客別専任チーム制と改正制度対応の「サブスク型」届出支援を導入
健康食品やサプリメントの受託開発・製造(OEM)を行う三生医薬㈱(静岡県富士市)は、顧客対応体制を刷新し、製品の企画から発売までを顧客別の専任チームで一貫支援する新体制を今月までに導入した。また、改正機能性表示食品制度に対応したサブスクリプション型の有料届出支援サービスの提供を開始。昨年生じた健康被害問題を受けて変化する制度と市場に対応する最終製品販売会社をOEMメーカーとして伴走支援する。
顧客対応、従来の「伝言ゲーム」から脱却図る
同社は、「『伝言ゲーム型』からの脱却」を掲げて顧客別専任チーム制を導入。従来、営業担当者が顧客との唯一の窓口となり、社内の各部門に顧客の要望などを伝達していた。しかしこの仕組みでは、社内での情報共有が断片化したり、対応のスピードや正確性に限界があったりする課題があった。
これを解消するために専任チーム制の新体制を導入した。営業・企画・開発・学術・品質・生産など各部門の専門職員で構成する専任チームを顧客別に編成し、アイデア出しなどといった製品企画の初期段階から発売までの全ての過程にチームとして対応する。
これにより、発売までの日数を短縮させるなどして顧客のビジネスを加速させるほか、「従来の『伝言ゲーム型』では決して実現できなかった、顧客の期待を持ち上げ、その期待をさらに超える提案を可能にする」狙い。各チームの規模は最大で10人を超えるという。
さらに、専任チーム制の導入に合わせ、機能性表示食品の届出サポートの新サービス提供を開始した。4月から本格的な運用が始まった改正機能性表示食品制度に対応したもので、届出前・届出時・届出後を一気通貫で支援するサブスクリプション型の有料サービスとして提供する。他社が製造した機能性表示食品もサービス対象とする方針だ。
この新サービスは、機能性表示食品の届出前・届出時・届出後の三段階を通じて届出者の遵守事項を一貫して支援する、というもの。料金の目安は、同社製造品の場合3製品まで年間20万円、10製品まで50万円。他社製品を含む場合は3製品30万円、10製品75万円となっている。
サービスの内容について具体的には、「届出前」は制度解説、届出資料・システマティックレビュー作成支援、容器包装(パッケージ)表示の確認、「届出時」は届出データベースの操作サポート、届出立ち合い、「届出後」は変更届出対応、行政指摘対応、安全性や機能性などに関する新知見の確認など自己点検の継続フォロー──などといった作業を、あくまでも法令要件(届出者責任)を前提に、同社で全面的にサポートする。特に「届出後」については、サブスクのため契約期間中は何度でも利用できるメリットがある。
機能性表示食品の届出支援、「届出後」を重視
同社は、改正された機能性表示食品制度について、「健康被害情報の報告義務化やパッケージ表示の見直しなど以前と比べて複雑化している」と指摘。その上で、「自己点検の義務化や消費者庁による買上調査の強化などによって、行政からの(届出時及び届出後の)指摘事項のさらなる増加が見込まれる」と推測する。そのため、「もはや届出は『受理して終わり』ではなく、届出後も継続的に制度に対応して届出を維持し続ける必要がある」と訴える。
こうした考えを踏まえて考案したのが新サービス。特に、届出後の不安や負担を抱える最終製品販売会社が「安心して制度対応を継続できるアフターフォロー環境を整えた」という。
同社の立石健太郎・国内健食営業本部長は6日、専任チーム制の導入およびサブスクリプション型届出サポートの開始についてコメントを発表。サプリメントなどのOEMメーカーに今求められているのは「単なる受託製造ではなく、顧客の挑戦を共に描き、その実現を支える『共創パートナー』だ」としつつ「新たな2つのサービスを両輪として、制度変化をより良い変革の機会と捉え、お客様、そして消費者の皆さまに安心と新たな価値をお届けしていきたい」と意気込みを示した。
【石川太郎】
(冒頭の写真:特にソフトカプセルを強みとする三生医薬の基幹工場「南陵工場」。同社提供)
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