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栄養機能食品制度見直し議論スタート 有識者検討会、座長に栄養学者の佐々木氏

 食品の中で例外的に機能表示が認められている保健機能食品の1つである栄養機能食品の制度見直しを議論する有識者検討会が8日、始まった。

 見直すのは、2001年の制度創設以来、見直しが行われていない栄養成分の機能表示と、摂取する上での注意事項表示のそれぞれ文言。また、最新の「日本人の食事摂取基準」などを踏まえ、製品の1日あたり摂取目安量に含まれる栄養成分量の下限値・上限値も見直す。栄養機能食品の特徴である、事業者が製品個別に許可申請を行ったり、届け出たりする必要のない「自己認証制」の是非については今回の検討会では議論しない。

 保健機能食品の各制度を所管する消費者庁食品表示課は8日午後、制度改正に向けて議論する「栄養機能食品に関する検討会」の初会合を開催した。座長には、計9人の検討会委員(構成員)の中から栄養学者として著名な佐々木敏・東京大学名誉教授が選任された。佐々木氏は、議論を開始するにあたり所見を述べ、「大切な基準を決める検討会になる」とした。

 検討会は、来年3月末までにかけて計3回程度の会合を開き、栄養成分含有量の下限値・上限値と、栄養成分の機能表示文言の見直しをそれぞれ議論する。それに続いて来年4月以降、摂取する上での注意事項文言の見直しを議論。来年度に持ち越す摂取上の注意事項文言の見直し議論は、23年度から25年度まで食品衛生基準科学研究の枠組みで行われる健康食品の安全性確保を巡る研究の結果を踏まえて行う。

 議論の結果を受けて消費者庁は、遅くとも27年3月末までに、栄養機能食品の表示義務事項を規定する食品表示基準を改正し、改正制度を施行する見通し。事業者は、基準改正で製品設計や容器・包装表示などの変更が必要になる。そのため同庁は、実行可能性を考慮し、一定の経過措置期間を設けるとみられる。

栄養成分量の下限値・上限値見直し、消費者庁案に異論なく

 初会合で消費者庁食品表示課は、栄養成分の下限値・上限値の改正案と機能表示文言の改正案をそれぞれ提示した。この日、主に議論されたのは下限値・上限値の改正案で、委員は異論をほとんど示さなかった。

 同課が提案したのは、下限値については、これまでと同様に日本人の食事摂取基準に基づく栄養素等表示基準値の30%で算出して設定する方法。また、安全性の確保が問われる上限値については、①健康障害非発現量(NOAEL)から日本人の平均的な摂取量を差し引いたもの、または、②耐用上限量(UL)から日本人の平均的な摂取量を差し引いたものと医薬部外品1日最大分量を比較し、そのうち低い方の値を設定する方法を提案した。

 一方、NOAEL、UL、医薬部外品1日最大分量が設定されていない栄養成分もある。それらについては栄養素等表示基準値を上限値にすることを提案。また、医薬部外品1日最大分量は設定されていないがULは設定されている栄養成分(亜鉛・銅)については、ULから日本人の摂取量の上位1パーセンタイル値を差し引いて算出する方法を提案した。

 これらの算出方法に基づき、同課が提示した下限値・上限値の改正案は下の図のとおり(検討会配布資料から抜粋)。

 栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど20種類の栄養成分について、食品表示基準に定められた機能表示の文言を、同基準に規定された下限・上限値基準を満たす場合に限り表示できる制度。栄養成分ごとに規定された摂取上の注意事項も表示しなければならない。20種類の内訳は、脂肪酸(DHA、EPAなどのn-3系脂肪酸)が1種類、ミネラルが6種類、ビタミンが13種類。

【石川太郎】

(冒頭の写真:初会合の様子。会場は、検討会の庶務を担当する㈱シード・プランニングの本社内。議論の模様はライブ配信された)

関連資料(第1回栄養機能食品に関する検討会配布資料)
栄養機能食品における下限値・上限値について(消費者庁のウェブサイトへ)

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