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エフェドリン微量混入問題が拡大 新たに2原材料から検出、分析結果待ちの品目も多数

 医薬品などの製造を行う松浦薬業㈱(愛知県名古屋市)が国内自主工場で製造した、健康食品など食品に使用する原材料2品目の一部に、医薬品成分のエフェドリンが微量だが混入していたことが分かった。第三者の民間分析機関が実施した分析で判明した。

 同社への取材によれば、エフェドリンが混入していたのは、2021年から23年秋頃までに製造した健康食品原材料2品目の一部ロット。いずれも検出量はわずかであることから人の健康へ影響を及ぼす可能性は非常に低いと考えられる。同社が製造した健康食品原材料へのエフェドリン微量混入が判明するのは、今年7月までに発覚していたものと合わせて計3品目となった。いずれも植物抽出物。

 同社は、愛知県知多郡にある自社工場内の同じ製造設備で医薬品と健康食品の原材料を製造している。医薬品の製造品目中には、エフェドリンを含有する麻黄(マオウ)という植物を生薬の1つとして使用する葛根湯エキスがある。これまでに健康食品原材料3品目で発覚しているエフェドリン微量混入の原因については、製造設備や器材の洗浄をはじめとする製造・品質管理が不適切であったため、麻黄の一部が意図せず混入したと推測されている。同社は、現在のところ混入原因の詳細を公式には明らかにしていない。

 健康食品業界関係者は、「健康食品に生じた問題だが、医薬品の製造・品質管理基準(GMP)を遵守していなかった可能性も無視できないのではないか」と指摘。医薬品規制当局の今後の動向を注目する業界関係者は少なくない。

松浦薬業、食品関連製品を60品目以上製造

 松浦薬業のコーポレート部門担当者は1日、取材に対し、同工場で製造している食品関連製品の品目数を明かした。第1工場は7品目、第2工場は58品目に上る。

 製造品目数の多い第2工場は、エフェドリンを含む麻黄を使用する医薬品の製造実態はないという。ただ、別の医薬品を一部製造しており、現状について、「食品関連製品の直前に製造した医薬品の指標となるセンノシドなどを分析中。現在、結果待ちの状況」だと説明した。分析の結果次第では、健康食品のサプライチェーンに及ぼす影響がさらに広がる可能性がある。

 一方、これまでに混入が判明している健康食品原材料3品目は第1工場で製造していた。同担当者は、第1工場で製造している食品関連製品の残り4品目の分析結果について、「直近製造分までのエフェドリン分析結果が出ており、新たに検出された2品目の一部ロット以外は未検出」であったと説明。問題は生じないとの認識を示している。

 エフェドリンの微量混入が最初に発覚した原材料を巡っては、健康に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる中で、医薬品を規制する医薬品医療機器等法の遵守を念頭に置いた自主回収が健康食品業界では広がった。新たに検出された2原材料を巡っても、先月から同様の動きが始まっている。

 ただ、「そもそも原材料への混入量がごくわずか。最終製品でも検出されるとは限らない」と最終製品の製造に関わる業界関係者は話す。だが、最終製品での分析を行わず、医薬品成分が微量とはいえ混入した原材料を使用している事実を重く見た自主回収が進んでいるのが現状だ。

 健康被害の恐れがほとんど想定されないほど微量の医薬品成分が混入した原材料を使用しているという事実をもって最終製品の自主回収を行う必要があるのか──都道府県の薬務担当部局など規制当局は「明確な判断を示してくれない」。そんな声が複数の業界関係者からは聞かれており、事業者に判断を委ねているケースも少なからずありそうだ。同様の事例が今後も起き得ると見ている薬理学の専門家は、「(健康に)何の影響もない微量の(医薬品成分)混入は問題にしないことを明確にする必要がある」と指摘する。

【石川太郎】

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