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食料の安定供給に向け、パブコメ結果を公表 農水省の基本方針案に14件の意見

 農林水産省は、今年7月25日~8月23日まで実施した「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進に関する基本的な方針(案)」に対するパブリックコメントの結果を公表した。寄せられた意見は全部で14件だった。安定取引関係や流通合理化、環境負荷低減、消費者選択支援など幅広い観点から賛否が示された。

 基本方針案の方向性を支持する意見がある一方で、具体性や公平性、実効性に関する厳しい指摘も多い。農水省はこれらを「今後の参考」としつつ、既定の法制度や計画と整合性を保ちながら政策を推進する姿勢を示している。

 以下に、寄せられた意見とそれに対する農水省の考え方を要約し、紹介する。

1 【基本方針全体に対しての御意見等】
意見・要望
 若手人材の育成や教育研修の充実、環境負荷低減のための強力な施策、関連法体系との整合性確保、小規模事業者保護、市民参加型の大手企業や官僚主導に対する監視体制の整備などを求める声があった。
 安定取引と流通合理化の関係性や優先順位が不明確であるとの指摘もなされた。

農水省の考え方
 改正後の「食料システム法」に基づき、食品等事業者の計画認定制度を整備した。そこでは、農林漁業者との安定的取引関係の確立、流通経費削減・付加価値向上・新需要開拓、環境負荷低減や資源の有効利用、消費者への情報伝達――を目的とする事業活動と、都道府県等による連携支援事業を位置づけている。
 食料システム法では、農林水産大臣が基本方針を定め、それに照らして計画の認定を行う仕組みとなっている。
 基本方針案には、各事業活動や支援事業の意義・目標、重点取組事項、具体的事例を明記し、食品等の持続的な供給を実現するために必要な事項を定めた。
支援は特定分野に優先順位をつけるものではなく、融資や税制などを通じ、幅広い取組を総合的に後押しして食品産業の持続的発展を図るとした。

2 【安定取引関係確立事業活動計画の促進の意義及び重点取組事項に関する御意見等】
意見・要望
 国際的な供給不安の中、事業者が農林漁業に関与する必要性を認める一方、支援策の重要性も指摘された。
 大手事業者の農業参入が零細農家を淘汰する恐れ、支援が下請化を固定化する懸念が示された。

農水省の考え方
 契約取引、機械貸与、出資、参入など多様な取組を促進し、調達安定と農家の経営安定を両立させるとした。

3 【流通合理化事業活動計画の促進の意義及び重点取組事項に関する御意見等】
意見・要望
 効率化やモーダルシフトの必要性は理解された。
 標準化が多様性を損なう、モーダルシフトの課題未解決、卸売市場の本質的機能が軽視されているとの批判があった。

農水省の考え方
 省力化投資、標準化、物流拠点整備、新食品開発、海外展開などを推進し、価格形成では消費者理解を促すとした。

4 【環境負荷低減事業活動計画の促進の意義及び重点取組事項に関する御意見等】
意見・要望
 食品ロス削減の根本的視点が不足しているとの意見があった。

農水省の考え方
 温室効果ガス削減、食品ロス削減、再生プラ活用、省エネ設備導入などを重点的に進めるとした。

5 【消費者選択支援事業活動の促進の意義に関する御意見等】
意見・要望
 情報見える化や消費者理解増進は重要との評価。
 情報開示の偏り、グリーンウォッシュ防止の罰則必要性、フードデザート対策の不足などが指摘された。

農水省の考え方
 映像発信、コスト構造の開示、体験型イベントなどを通じ、消費者が納得して継続購入できる仕組みを整えるとした。

6 【その他安定取引関係確立事業活動等の重点取組事項に関する御意見等】
意見・要望
 省力化投資の限界、フードテックの過度な自国主義、加工技術偏重の問題、中小事業者への負担、伝統承継の軽視が指摘された。

農水省の考え方
 関係省庁と連携し、適切な対応を進めるとした。

7 【連携支援活動の促進の意義及び重点取組事項に関する御意見等】
意見・要望
 支援機関連携の実効性に疑問、政府責任の棚上げ、調整コスト増などが挙げられた。実質的な協力体制の構築に向けて、強力なリーダーシップおよび具体的な機能調整組織、評価体制を明確に提示すべきと指摘。

農水省の考え方
 地方公共団体、金融機関、大学等が連携する体制を重視し、地域発の食ビジネス支援や共通課題解決に力を入れるとした。

8 【食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進のための重要事項に関する御意見等】
意見・要望
 人権対応が抽象的で自主努力に留まる、栄養価と価格の両立困難、広告規制の必要性、輸出促進偏重の危険などが指摘された。

農水省の考え方
 人権や栄養などSDGs課題の重要性を基本方針に明記したと説明した。

9 【安定取引関係確立事業活動等及び連携支援事業の目標についての御意見等】
意見・要望
 「取組数1,000件」や「国内生産額150兆円」の目標が数量偏重であり、食料安全保障や文化継承が軽視されているとの批判があった。

農水省の考え方
 4事業活動の推進により生産額拡大と持続供給を実現し、食料・農業・農村基本計画と整合するKPIであると強調した。

【編集部】

パブコメの結果はこちら(e-GOVより)

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