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規制の矢面に立つ受託メーカー 【特集・サプリ受託製造の今とこれから】品質への信頼、回復させる役割担う

 サプリメントの製造・品質管理を手がける企業が正念場を迎えている。1年後の来年9月、昨年の健康被害問題を受けて新たに導入された規制、機能性表示食品のサプリGMP義務化が完全施行される。これをしっかり乗り切ることで、機能性表示食品であるか否かに限らず、サプリ全体の品質レベルの底上げにつなげられそうだ。健康食品業界の「ものづくり」を支える受託製造の今とこれからを今号と次号の2回にわけて伝える。

ここにきて相次ぐ「製造現場発」の問題

 2022年夏、ハードカプセル自主回収問題。24年春、小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題。25年夏、エフェドリン混入問題──本年も含むここ数年で生じたサプリメントや健康食品を巡るこれらの問題には共通点がある。どれも「ものづくり」に関わる問題であるということだ。手短に振り返る。

 ハードカプセル自主回収問題──国内のハードカプセル製造・販売大手2社が食品添加物の目的外使用を製造時に行い、出荷していたことが判明。食品衛生法に抵触する恐れがあるハードカプセルに内容物を充填、市場に流通させた商品の自主回収を巡って業界に混乱が生じるとともに、問題の改善を図るため2社が揃って製造と出荷を停止したため、国内サプリ市場は一時、ハードカプセルの不足に陥った。

 「紅麹サプリ」健康被害問題──小林製薬㈱(大阪市中央区)が自社工場で製造した原材料(紅麹)を配合した機能性表示食品のサプリを摂取した人に死亡事例を含む健康被害が多数報告、日本の食品安全の歴史に新たな負を刻んだ。国による事後の調査で、原材料の生産工程のうち培養・発酵工程で特定の青カビが混入、それが腎毒性のあるプベルル酸を産生させていたことが分かり、同社の衛生管理、製造管理、品質管理が厳しく問われた。

 エフェドリン混入問題──松浦薬業㈱(愛知県名古屋市)が製造、㈱タカマ(山口県下関市)が供給したサラシアエキス末の一部ロットに医薬品成分エフェドリンの混入が判明。混入量は極めて微量で健康被害が生じる恐れは考えられなかったものの、機能性表示食品を中心に100万個を超える大規模な自主回収に発展した。医薬品を主力生産品目とする松浦薬業は、サラシアエキス末と同じ製造設備でエフェドリンを含む生薬を使用した漢方薬を製造。設備の洗浄不足などによって同成分の混入が生じたとみられている。同社が製造する他の健康食品原材料にも同様の問題が生じていないか懸念が生じた。

 サプリや健康食品を巡る消費者問題はこれまで、商品性能に関する虚偽・誇大、あるいは不当な広告表示・宣伝や、販売者意識が欠如した強引、詐欺的な販売手法など、その「売り方」が問題であったケースがほとんど。だが、ここにきて目立っているのは、小林製薬が起こした品質問題に代表される「ものづくり」に起因する事故やトラブルだ。生活者の身体・生命の安全に直接結びつく恐れがあったり、その恐れはないのだとしても業界にマイナスの影響を及ぼしたりする問題が「製造現場発」で起きている。

 健康被害問題の前年、23年の「6.31措置命令」。機能性表示食品のサプリの広告表示とともに、消費者庁へ届け出た機能性表示の科学的根拠が不当(優良誤認)だとされ、景品表示法に基づく措置命令を健康食品通販会社が受けた問題は、健康食品業界を大きく揺さぶった。科学的根拠に踏み込む初の行政処分、また、それに巻き込まれるかたちで多くの届出が撤回を余儀なくされたためだ。しかし、それさえもが小さな問題に感じられるほどの重大な影響を業界に及ぼしたのが「紅麹サプリ」健康被害問題。一度生じれば取り返しのつかない事態に陥ったり、すぐさま規制に結びついたりするのが「ものづくり」の問題であることを業界は覚知して現在に至る……

(続きをお読みいただけるのはWNG会員のみです。残り約5,000文字。会員申込はこちら。全文は「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2025年8月号(第86号)特集「サプリ受託製造の今とこれからVol.1」の4~7頁から)

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