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小林製薬「メンズケシミン」回収 「使用期限」「安全性」など対応の是非と透明性を問う

 小林製薬㈱(大阪市中央区、豊田賀一社長)が5日、同社が製造販売する医薬部外品『メンズケシミン プレミアム オールインワンクリーム』(販売名:メンズケシミンプレミアムAクリームa)を自主回収した事案について、編集部では同社に対し、いくつかの疑問点について質問した。12日、同社から回答があったので、以下にそのQ&A全問を紹介する。同社は、「製造後3年の安定性を担保している」として使用期限を表示していなかったが、その後の試験で成分の規格逸脱が確認された。結果的に、表示免除の根拠とした安定性評価の妥当性に疑義が生じている。今回の回収対応が形式的対応にとどまることなく、今後の再発防止・表示の見直し・品質保証の抜本的強化につながるか否かが、信頼回復において極めて重要であることは間違いない。

1.使用期限「3 年間」の解釈について
Q:公表資料では、「使用期限内(3 年間)」との表現が用いられていますが、これは「製造から 3 年間」を意味するのか、それとも「開封後 3 年間」なのかを明確にご説明ください。
 また、対象製品(JAN コード:4987072088982)が製造された時期を明示してください。仮に 3 年近く経過していた場合、すでに規格を逸脱していた可能性はないか、併せてご説明ください。

A:製造から3年間です。「メンズケシミンプレミアムオールインワンクリーム」は2023年9月28日に発売しており、全てがこの度の自主回収対象製品です。最も古い製品は2023年7月製造品で約2年経過しておりますが、現時点では規格を逸脱した製品はないと考えております。しかしながら、使用期限の3年経過時点では規格逸脱の可能性が否定できないことから今回、自主的に回収させていただきます。

2.「健康被害の報告はない」との記載について
Q:現時点で健康被害の報告はないとのことですが、過去に寄せられた苦情や使用者の異常反応に関する情報が一切なかったのか、ご確認ください。また、仮に報告があった場合、それらをどのように評価・調査されたのかをご教示ください。

A:リリースと重ねてのご回答となりますが、現時点では、本件に起因する健康被害の報告はございません。

3.「濃縮される可能性」への対応と判断基準
Q:有効成分ナイアシンアミドの濃縮により「規格を逸脱する可能性」があるとのことですが、どの程度の逸脱を想定されているのか、また、それを問題視した理由(医薬部外品としての規格基準や安全性評価の観点)について詳しくお答えください。自主回収に至るまでの社内判断の経緯および専門委員等の関与の有無も含めてご説明ください。
 また、仮に逸脱した場合に、健康体にどのような悪影響(症状)が出る可能性があるのかご教示下さい。

A:弊社で自主的に実施している、常温よりやや過酷条件で保管した製品の長期安定性試験において、一部のサンプルで承認規格をわずかに逸脱したものが確認されました。常温保管の参考品においては現時点では逸脱しておりませんが、当該製品は医薬部外品であり、現時点で承認規格内であっても、使用期限(3年)以内に厚生労働省より承認を受けている規格を逸脱する可能性が否定できないため、自主的に回収することといたしました。本件は、質問4の回答に記載しました通り2025年8月27日に判明し、その後速やかに担当役員・社長に情報共有を行ったうえで検討会を適宜開催し回収を判断いたしました。
 有効成分(ナイアシンアミド)が規格をわずかに上回る場合、安全性への影響は極めて低く、本製品の使用による健康被害の恐れは考えられません。

4.公表のタイミングと情報公開のあり方
Q:本件が自主的な品質確認により判明したものであれば、いつ、どのような検査によって問題が認識され、社内でどのような議論・判断がなされたのか、時系列での説明を求めます。
 また、回収対象製品の販売終了時期、出荷終了時期、在庫状況などを踏まえ、公表が適切なタイミングであったと判断された根拠をお示しください。
 NHK の報道によれば 57 万個自主回収とありますが、個数に誤りはないでしょうか、ご確認ください。57 万個の内、3 年間の期限が切れる恐れのある個数について教えてください。

A:弊社の製造所より2025年8月27日に自主的に実施していた長期安定性試験の結果の連絡を受けました。本試験は、使用期限まで、医薬部外品として承認された規格内にあることを確認するために行っています。試験結果の連絡を受けて以降、原因の推定や、安全性の確認などの調査や行政への報告などを行い、9月5日の社外発表に至りました。なお、自主回収を決定したのは9月3日です。お客様をはじめ関係各位には、多大なるご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。
 1.でも回答しております通り、2023年9月28日に発売しており、2023年7月製造以降の全てとなる約57万個がこの度の自主回収対象製品です。 現時点で使用期限(3年)を過ぎている製品はございません。

5.今後の対応・再発防止策について
Q:今後、同様の事象を防止するために、製造・保管・検査・情報管理の面でどのような対策を講じる予定か、ご説明ください。

A:原因を一刻も早く究明するとともに、 原因が判明次第、再発防止策に徹底して取り組んでまいります。

6.使用期限の表示義務について
Q:今回の製品の一部は、「製造から 3 年間の安定性が確認されていない医薬部外品」に該当する可能性があるとされていますが、その場合、薬機法に基づき「製造後適切な保存条件で 3 年以内に性状・品質が変化するおそれのある医薬部外品、化粧品」について、使用期限の表示が義務付けられています。同品には、外箱または本体に使用期限の表示はされていますか。「はい」か「いいえ」でお答えください。
また、使用期限表示の要否について、どのような判断基準をもって決定されているのかをお示しください。貴社における「安定性の確認」の定義および評価方法(加速試験の有無、実使用条件での長期保存試験等)についてご説明ください。

A:使用期限3年を担保している医薬部外品として販売しておりましたので、使用期限の表示は行っておりません。医薬部外品の承認申請時に求められている安定性試験を実施し、使用期限を担保できると判断して発売しました。
 弊社では通知に従い、過酷状況下である温度40℃ 湿度75% 6か月保管品で品質に問題ないことを確認し、医薬部外品の承認申請を行っております。また自主的に、実際に製造した製品を常温保管および常温よりやや過酷条件の25℃で保管し、長期での安定性を確認しております。

7.販売名が異なる理由、回収個数について
Q:「メンズケシミン プレミアム オールインワンクリーム」(販売名:メンズケシミンプレミアム A クリーム a)とありますが、販売名が異なる理由を教えてください。また、直近の回収個数についてお知らせ下さい。

A:販売名は医薬品医療機器等法に基づき承認された名称、あるいは届出を行った名称のことを指し、製品名は消費者の皆様に製品の特徴をわかりやすくお伝えするために弊社にて販売名とは別に設定した名称を指しております。
 2025年9月5日に自主回収の発表を行い、現在はお客様からのお問い合わせへの対応に全力で取り組んでおりますため、個数についての回答は差し控えさせていただきます。

以上

【田代 宏】

関連記事:小林製薬、男性用化粧品を自主回収 有効成分「ナイアシンアミド」濃縮により規格逸脱の可能性

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