龍泉堂の学術セミナーに135人 塩島社長が業界の未来を語り、山田秀和教授が基調講演
㈱龍泉堂(東京都豊島区、塩島由晃社長)は10日、第8回学術セミナーを都内で開催した。受託製造企業、販売会社などから関係者135人が来場した(=写真)。
冒頭挨拶で業界の未来を強調(塩島社長)
冒頭、挨拶に立った塩島社長は、参加者への感謝を述べるとともに、サプリメントが健康寿命の延伸や生活の質の向上に欠かせない存在となっている現状を強調した。また、業界全体が直面する課題に向き合い、最新の研究成果や市場動向を共有しながら未来を考える場にしたいと語った。さらに、学びや交流が新たな気付きや発展につながることを期待するとし、特別講演や学術データの紹介、懇親会などの企画を紹介した。

塩島由晃社長
山田教授が語る老化研究の最前線
第1部の基調講演では、近畿大学医学部の山田秀和客員教授が登壇した。「暦年齢から生物学年齢で考えるようにしよう」と題して、老化研究の進展と社会的課題を幅広く論じた。
山田教授は、iPS細胞研究がもたらした「時間をリバースできる」という革新的な視点を強調し、2021年以降はマウスで若返り効果が確認され、大型動物でも進展があることを紹介した。中国の研究加速にも触れ、社会全体で「寿命をどう考えるか」を議論する必要性を指摘した。
高齢化に伴い、認知症や歩行困難などの課題が増える現実に言及し、健康寿命延伸の重要性を訴えた。同時に、生きがいや幸福感を持つことが高齢期の社会的価値を高めるとし、WHOが提唱する「フローリッシング」の概念を紹介。健康寿命の延長だけでなく、人生後半における成長と社会参加の意義を強調した。
また自らの体験を踏まえ、人工知能やチャットGPTの活用が研究やガイドライン作成のあり方を変えつつあることに言及。情報取得の容易さが研究の効率化を促す一方で、幸福や価値の基準を再考する時期に来ているとした。また、老化研究の中心課題として、エピジェネティクスやマイクロバイオームの役割、臓器ごとの老化速度の違いなどを具体的に示した。

山田秀和 氏
山田教授は、世界規模の課題解決を目的とした国際的な賞金付きコンペティション「XPRIZE(エックスプライズ)などの国際的な大規模研究プロジェクトも紹介した。老化研究が巨大投資の対象となっている中、機能性表示食品の開発においても、老化や若返りの観点が重要となり得ると指摘し、ビタミンDやオメガ3、運動の効果について最新のエビデンスを紹介した。
若手研究者が新規原料を紹介
第2部では、龍泉堂の若手研究者が同社の新規原料「ブチシールド(ButiShield)」(酪酸)、「ダイグロフィット(DygloFit)」(ホタルノキエキス末)に関する最新の知見を紹介。幕間には同社スタッフの紹介も行われた。
懇親会で業界の成長に期待(ケミン・橋本氏)
会場を移して行われた懇親会にも、100人近い関係者が参加した。

来賓の挨拶には、(一社)健康食品産業協議会(JAOHFA)の前会長で、ケミン・ジャパン㈱(東京都千代田区)の橋本正史社長が登壇。「昨年は不幸な出来事が起きたが、一生懸命やればこの業界はままだま伸びると信じている。そのきっかけとなるのがこのような交流会。この機会を利用して業界全体が盛り上がることに期待したい」と力強く述べた。終盤、恒例の抽選会では、あちこちに歓声が上がった。

橋本 正史 氏
【田代 宏】