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紅麹サプリ問題、プベルル酸調査進展 消費者庁「令和7年度 食品衛生基準審議会報告」

 きのう9月4日、消費者庁は「第1回食品衛生基準審議会食品規格・乳肉水産・伝達性海綿状脳症対策部会」を開催し、プベルル酸に関する調査の進捗状況および今後の方向性について報告した。これは、小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害を受けた対応の一環として行われたもの。

 「科学的な必要性がある場合には、健康被害の発生を防止するための食品衛生法上の規格基準の策定や衛生管理措置の徹底を検討する」という課題は、2024年5月31日に開かれた「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合」において示されていた。
 これを受けて厚生労働大臣は、同年12月27日付で、内閣総理大臣に対し食品衛生法第72条第3項に基づく意見照会を行い、プベルル酸の規格基準の策定検討を正式に要請した。同部会では、基準策定に向けて進められている調査状況に関する報告が行われた。

動物実験で腎毒性を確認、化合物Y・Zは陰性

 プベルル酸に関しては、ラットを用いた7日間および28日間の反復投与試験において、腎毒性と胃毒性が確認されたとしている。一方、同時に検出された化合物YおよびZについては、同様の試験で腎毒性が認められなかった。
 遺伝毒性においては、Ames試験ではプベルル酸が陽性を示したが、TGR試験が陰性であったため、総合的に陰性と判定した。染色体異常試験については、今年度中に実施予定としている。

428株中5株で産生確認

 ばく露量の調査では、食品製造工場や検査機関などから提供された428株のPenicillium属菌株のうち、5株(1.2%)がプベルル酸を産生することが確認された。検体数が少なく、プベルル酸産生性の菌株がどのような環境に存在しやすいかについて検討することは困難とし、引き続き、プベルル酸産生菌の分布や産生条件などを検討するため業種を絞った調査を実施予定としている。

 食品製造環境等でのプベルル酸産生菌の分布実態調査においては428株を収集・試験し、5株からプベルル酸を検出した。その内訳は、検査会社提供の204株中1株、食品関連メーカー提供の109株中3株、菌株分譲機関由来の115株中1株。小林製薬関連の株と同一系統のものもあったが、一部は異なる系統で、プベルル酸産生菌が特定業種に限らず広く分布している可能性が示唆された。

プベルル酸汚染対象候補にサプリ

 消費者庁は今年度も引き続き、食品製造環境におけるプベルル酸産生菌の分布実態およびプベルル酸の汚染状況について調査する。プベルル酸汚染が懸念される食品として、ジュース、ドライフルーツ、チーズ類、サプリメント等を候補に挙げている。
 国立医薬品食品衛生研究所を中心に調査することにより、汚染実態および暴露量を把握し、食品中のプベルル酸に関するリスク評価を強化する方針。

長期毒性試験、高等動物試験の必要も

 質疑では、各委員から「調査対象の業種はどのように選定するのか」、「菌株の流通や入手経路についての調査は?」、「調査のスピード感は?」、「マイコトキシン以外のカビ由来毒性物質も文献調査し、総合的に対応すべきでは?」、「プベルル酸の産生条件の研究は?」、「プベルル酸の測定方法は確立されているか?」――などの質問が出た。

 また、委員からは今後の進め方として、「規格基準の策定の検討のためだけでなく、健康被害を受けた方の原因究明を進めるためには、原因物質に関するより詳しい情報が必要ではないか。原因物質の基本的な毒性の情報を得るには、28日間よりも長期間の試験が必要ではないか」、「胃毒性の所見が出たということで、ラット以外の他の動物(による試験)も検討する必要があるのではないか」――などの発言もあった。

 紅麹サプリメントの摂取が引き起こした健康被害の原因について、プベルル酸とモナコリンKの相互作用を疑う静岡県立大学薬学系大学院の佐藤均客員教授は、「被害者が摂取したPA量(mg/kg体重)が知られていないため、研究に用いられたPA濃度やPA投与量が妥当か否かの判断ができない。プベルル酸の摂取上限量が、この度の健康被害事象と動物実験との定量的整合性が取りづらいことが問題。言い換えると、動物実験に用いたプベルル酸の投与量の設定根拠を示す必要がある。因果関係の最終的判断には、プベルル酸単独投与試験のみではなく、モナコリンKとプベルル酸の併用投与試験が必要」とコメントしている。

各委員による質疑の要旨はこちらからご覧になれます(⇒会員専用記事閲覧ページへ)

【田代 宏】

当日の配布資料はこちら(消費者庁HPより)

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