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九州をけん引する上場通販企業(後) 【九州のヘルスケア産業2025】新日本製薬、後藤孝洋社長CEOに聞く

紅麹サプリ事件から信頼回復へ

――紅麹サプリ事件から1年、御社への影響や安全性の確保についてはいかがですか?

後藤 まず、紅麹由来の成分は当社では扱っておりません。ただ、機能性表示食品全体に対する疑念が強まったことで、7,000~8,000万円規模の売上減はあったと推測しています。現在は回復していますが、市場を常にウォッチすることが最初の予防段階で重要だと思っています。それから販売後の調査ですね。これも重要。ですから、医薬品的な情報管理をきちんとやる。事後チェックをしっかりやるということですね。紅麹問題が起きたからというのではなく、発売前の成分確認や、販売後の調査・情報管理など、医薬品的な安全性管理を徹底しています。

――今後の課題や展望について教えてください。

後藤 我々の事業は、セルフメディケーション志向のお客様に支えられています。最近では医薬品の一部が保険適用外になる動きもありますが、当社の製品は保険に関係なく必要とされてご利用いただいています。
 OTCの減免措置(医療費控除制度)もありますが、利用率が低いように思います。確定申告の際にレシートを添付するだけで済みますし、本来、もっと制度の活用促進があっても良いと感じています。

――セルフメディケーションの促進に制度的な支援が必要ということですね。

後藤 はい、健康志向に対するインセンティブがもっとあるべきです。たとえば運動でポイントが加算されるなど、企業も制度も後押ししていくことが必要です。そのようなセルフメディケーションを後押しする制度の構築が必要ではないでしょうか。

――社内でも健康促進の取り組みをされていますか?

後藤 自転車通勤の推奨や階段の利用推奨、一汁三菜の社食など、日常の中で習慣化できる工夫をしています。社員食堂では管理栄養士が監修した栄養バランスの取れたランチを300円で提供している他、サラダバーも用意しています。

多世代に向け自社商品開発を加速

――新商品の開発状況はいかがですか?

後藤 今期は商品開発を強化しています。お客様の声(VOC)、トレンド、そして当社の独自価値の3要素を融合させ、スピード感を持って開発を進めています。
その中で、例えば当社ではジェルを使っているお客様が圧倒的に多いですから、ジェルクレンジングを発売して、そういう親和性のあるお客様に、ジェルの保湿だけではなく、洗顔で肌ケアをするような製品ですとか、オールインワンタイプのさまざまな製品を、40代ミドルをターゲットにして発売するなど、スピード感のある展開をしています。
 また、男性のシニアミドル向けのスキンケア『PERFECT ONE FOR MEN』、30代から40代男性向けの『TONOU(トノウ)』という新ブランドからパウダー配合のローションを世代別に発売開始したところです。

――TONOUという名称の由来はなんですか。

後藤 「清潔感を引き出し、肌が整うことで、人生も目標に向かって整っていく」そんな想いを込めて『TONOU』と名付けました。

――なるほど。御社の主な顧客層は60代以上ですか?

後藤 はい。オフラインでの利用者が全体の8割を占めていますので、どうしても年齢層は高めになります。ただ、Eコマースの利用は確実に広がっています。とはいえ、顔が見える、声が聞けるという「ヒューマンインテリジェンス」こそが、信頼と安心を築く基盤だと考えています。つまり、今後10年ほどは、人間ならではの判断力や対応力――つまり「ヒューマンインテリジェンス」がとても重要になる。AIのような人工知能ではなく、人の力によって「安心」や「信頼」を築くビジネスモデルは、今後も変わらず価値があると思うのです。
 例えば、相手の顔が見えたり、声を聞けたりするような、いわゆる“人とのつながり”がある企業には、自然と信頼や安心感が生まれる。一方で、画面越しで顔も見えないまま信頼してもらうのは、まだまだ難しい面があります。だからこそ、こうした“人が関わる信頼づくり”の大切さを、今改めて強調しておきたいと思います。

――業績面では中期計画「Growth Next 2027」の進捗はいかがでしょうか?

後藤 今期の売上目標は420億円で、予定どおりに推移しています。

――3期計画の「Growth Next 2027」では、2027年9月期で売上520億円、営業利益60億円、営業利益率11.5%を掲げています。見込みはいかがですか?

後藤 達成させるべく邁進しています。

信頼と健康支える九州発の地域貢献活動

――社会貢献活動についてもお聞かせください。

後藤 「子ども・命・美と健康」の3つを柱に活動しています。たとえば、吉岡秀人先生の「ジャパンハート」への支援は20年近く続けています。災害時の医療支援や、重い病気を抱える子どもたちと家族への旅行支援も実施しています。
 また、福岡での飲酒運転撲滅活動にも毎年参加しています。「旗の波」運動や啓蒙イベントなど、地域と連携した活動を継続しています。ピンクリボン運動では、福岡のJリーグチーム・アビスパ福岡との連携で乳がん検診の啓発にも取り組んでいます。

――九州地域での通販業界の動向についてはどうお考えですか?

後藤 九州にはジャパネットたかたさん、再春館製薬所さん、やずやさんなど、スポーツチームの支援を通じて地域に根ざした取り組みを進めている企業が多いです。通販企業がスポーツを通じて地域貢献する動きは、20年前にはなかった新しい景色です。九州の通販企業は、引き続き存在感を発揮していると思います。

――ありがとうございました。

(了)
【聞き手・文:田代 宏】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市中央区大手門1-4-7(本社)
TEL:092-720-5800
URL:https://corporate.shinnihonseiyaku.co.jp/
事業内容:化粧品・健康食品・医薬品の企画、販売

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