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九州をけん引する上場通販企業(前) 【九州のヘルスケア産業2025】新日本製薬、後藤孝洋社長CEOに聞く

 通販化粧品・健康食品大手の新日本製薬㈱(福岡市中央区)は、「パーフェクトワン 薬用リンクルストレッチジェル」や「Wの健康青汁」などの主力商品を軸に成長を続けている。独自原料や機能設計など差別化戦略に加え、物流コストや販促費の見直しで収益力を維持。詰め替えや不正転売対策にも取り組む。紅麹事件後の信頼回復、安全性管理も徹底し、セルフメディケーションの普及を見据える。同社代表取締役社長CEOの後藤孝洋氏に現状と展望を聞いた。(文中敬称略)

化粧品は美容液ジェル、健康食品は青汁好調

――ズバリ、貴社の売れ筋商品TOP3を教えてください。

後藤 化粧品「オールインワンジェルシリーズ」4種の中では『パーフェクトワン 薬用リンクルストレッチジェル』がナンバーワンですね。次に、『パーフェクトワン グロウ&カバークッションファンデーション』が続きます。また、30歳以下をターゲットにした『パーフェクトワンフォーカス』も伸びています。テレビや新聞などのメディアを駆使したコールセンター型ツールで伸びた従来型のシリーズに対して、『――フォーカス』は、SNSとEコマースをベースに伸ばした商品ですから、戦略が全く違います。ここ数年間の新しいトレンドとして成長しています。

――健康食品はいかがでしょうか?

後藤 目覚ましく躍進しているのは、「Fun and Health」(ファンアンドヘルス)というヘルスケアブランドです。同ブランドから健康系商品が発売されるという、そのようなイメージでブランディングを図っているのですが、好調を維持しているのが機能性表示食品『Wの健康青汁』ですね。

――積極的にコマーシャルを展開していますね。

後藤 夏場でもありますし、手ごたえを感じています。それに続くのが『Slimore coffee(スリモアコーヒー)』というダイエットコーヒーです。コーヒー由来クロロゲン酸類を機能性関与成分とする機能性表示食品です。コーヒーもいろいろな種類がありますが、その中にもトレンドがあります。同品はエビデンスに基づいた確かな機能と食欲を満たす味や香りを両立させることで、過度な抑制を必要とせず、体重・体脂肪減少をサポートするものとして、非常に高い評価をいただいています。

――「Fun and Health」ブランドの売上を教えてください。

後藤 「Fun and Health」というのは、機能性表示食品と健康食品と医薬品をカテゴライズしているのですが、3ジャンルで50億円ほどです。それに機能性オイルのジャンルも加えると、全体の15%に当たる60億円ほどを占めています。

オリジナル原料と機能設計が差別化の鍵

――他社との差別化、こだわりのポイントは何でしょうか?

後藤 独自の成分による商品開発とマーケティングということになります。機能性に優れた製品をシンプルな使用感で提供している点にあります。例えば「パーフェクトワン」は、複数の美容成分を1品に凝縮しており、化粧水や乳液、美容液といった多段階のスキンケアを一度に済ませられる「シンプルケア」のアイテムとして、多くの女性のライフスタイルにマッチしています。
 また、商品設計においては、独自原料や製造技術を活用し、機能と安全性の両立を図っています。

――新規顧客獲得コスト、原材料費の高騰が課題かと思いますが、利益率への影響と、それに対する取り組みについて教えてください。

後藤 当社では値上げは行っておりません。ですから、それ以外の工夫で何とかしなければならないと考えています。原材料については、仕入のスケールを上げる、あるいはコストに影響が出ない素材への切り替えなど、細かい調整をしています。また、生産者側からの値上げ要請もありますので、ボリュームディスカウントを交渉したり、個別に判断をしています。
 加えて、原材料の高騰だけが利益を圧迫するわけではありません。他にもコスト削減の余地はあります。広告費や販促費の効率化、物流・決済手数料の見直しなど、事業全体でコスト圧縮を図っています。

物流コスト見直し、環境対応から不正転売対策も

――広告費や物流コストの見直しとは、具体的にはどのような対応でしょうか?

後藤 広告費は新規顧客獲得向け、販促費はリピート向けに使われます。この2つの効率を優先的に見直しています。
 後は、どちらかというとフルフィルメント系でコールセンターコストと物流回りですね。受注から配送、さらには返品や交換対応までの一連の業務プロセスにおける効率化です。物流面では、代引よりもクレジットカードやコンビニ後払いのほうがコストが下がるため、支払い方法のシフトを図っています。
 送料に関しては、ポストイン対応の商品を推進しています。メール便であるとかね。そうすると再配達の必要がない。そういう部分でも貢献できるということと、サイズが小さくなりますから、コストを下げることになります。以前は代引で宅配便でということでご契約をいただいていましたが、それが今ではメール便で、かつ料金後納ということになると、1ユーザーに対してかかるコストというのは当然圧縮できます。そういう工夫を行っています。ただ代引を希望されるお客様には、ご説明の上ご了解いただいているところです。

――具体的には?

後藤 詰め替え用の化粧品などはサイズが小さくなり、コストも抑えられます。主力のオールインワンジェルについては、現在では50%近くがメール便で出荷されています。

――オールインワンジェルにも詰め替え用があるのですか?

後藤 はい、2年前から利用者が増えてきています。環境配慮志向のお客様の後押しもあるようです。容器や段ボールのゴミ削減につながり、受け取りの手間も減らせます。

――転売目的の不正購入が業界で問題になっていますが、対応されていますか?

後藤 当社でもセット商品を分割して安く転売するユーザーが増えています。これは当社に限らず、業界全体の課題です。引き続き監視と啓発活動を続けていく必要があります。

(つづく)
【聞き手・文:田代 宏】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市中央区大手門1-4-7(本社)
TEL:092-720-5800
URL:https://corporate.shinnihonseiyaku.co.jp/
事業内容:化粧品・健康食品・医薬品の企画、販売

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