消費者庁の概算要求160.2億円 前年度予算より19.1億円増額
消費者庁は8月29日、令和8年度(2026年度)予算の概算要求を公表した。前年度予算141.1億円に対し19.1億円多い160.2億円を要求する。
機能性表示食品における信頼性確保等に向けた取り組みとして、前年度予算と同額の2.1億円を要求する。
「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合」において取りまとめられた機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置を着実に実行する。具体的には、新規の機能性関与成分に係る機能性表示の裏付けとなる安全性・機能性の課題について専門家の意見を聴く仕組みの運営、GMPに基づく製造管理が届出者の遵守事項とされたことに伴う立ち入り検査に必要な体制の運用、届出を受けた際の科学的根拠の確認体制の強化等と行う。
また、事後チェックのための買い上げ事業を実施すると同時に、適切な制度運用に向けて、機能性表示食品等についての科学的根拠の整理や情報公開の在り方等の調査・研究を行うとしている。
食品衛生基準行政の推進
食品衛生規格基準の企画立案に関する調査・分析等に16.9億円(前年度予算:15.3億円)、食品の規格基準策定のための研究の推進に3.5億円(同2.6億円)とした。
食品添加物のさらなる安全性の確保に向けて、諸外国の調査等により最新の科学的知見に基づいた安全性評価に必要な資料収集や、規格基準の改正を含むリスク管理措置の検討等を行う。また、食品用器具・容器包装等の規格基準の策定等のための調査・分析や、食品中の残留農薬の一日摂取量調査等を行う。さらに、従来にはない新開発食品(いわゆる細胞培養食品等)について、最新の科学的知見や諸外国の規制状況の収集、安全性確保のための体制整備を行うとしている。
時代に即した食品表示の検討、制度の適切な運用
食品表示制度の適切な運用に必要な執行体制の整備や制度の普及啓発を行うと同時に、食品表示制度の適正性を確保するための検査法の開発などを実施する。また、デジタル技術の活用を含めて、合理的かつシンプルで分かりやすい食品表示制度の在り方や課題についての調査等を行いつつ、国際的な動向との整合性を踏まえながら、時代に即した表示の検討を加速する。さらに、外食・中食事業者等における食物アレルギーの情報提供に関する取組等の推進に向けた検討を進める。予算は2.4億円(同2億円)とした。
食品中の放射性物質、PFAS、細胞培養食品、健康食品等の社会的関心の高いテーマについて、科学的根拠に基づくリスクコミュニケーションを推進する。予算は昨年予算と同額の0.8億円とした。
なお、19.1億円増額のうち地方消費者行政の充実・強化が12億5,000万円と最も多く、予算は合計で61.2億円とした。内訳は地方消費者行政強化交付金が25.5億円(同15.5億円)、見守り活動促進事業、消費生活相談員等の担い手確保等が1.8億円(同1.6億円)、地方公共団体等との連携・協働に必要な経費が前年度予算と同額の0.3億円、(独)国民生活センター運営費交付金が33.6億円(同31.3億円)とした。
機構・定員要求事項では、地方消費者行政の充実・強化に向けた支援体制の強化が最も多く8人、その他、食品添加物のさらなる安全性確保のための体制整備として2人、食品表示制度の企画立案業務を適正に行うための体制整備として1人を含む30人とした。