新型コロナワクチン「重大な懸念なし」 厚労省の専門合同部会の議事録公開
厚生労働省は22日、7月25日に開催した「第107回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」および「第3回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」による合同会議の議事録を公開した。
専門家による合同部会では、新型コロナワクチンの副反応や安全性について最新のデータが示された。今年1月から3月末までの定期接種を対象にした集計で、死亡例を含む報告がいくつか寄せられたものの、いずれもワクチンとの因果関係は確認されず、「重大な懸念は認められない」との結論が改めて示された。
副反応や死亡例の報告
報告によると、ファイザー社製ワクチン「コミナティ筋注」(12歳以上用)では副反応の疑いが44件寄せられ、そのうち7件が重い症状とされた。また、7人が接種後に亡くなったとの報告があったが、いずれも「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できない」γ評価とされた。
一方で、小児向けのワクチンやモデルナ製ワクチン「スパイクバックス筋注」では、新たな副反応の報告はなかった。武田薬品のワクチン「ヌバキソビッド筋注」では10件の報告があり、死亡例も1件あったが、こちらも因果関係は不明とされている。そのほか、第一三共「ダイチロナ筋注」やMeiji Seikaファルマ「コスタイベ筋注」でも報告はあったが、いずれもワクチンが直接の原因と断定できるものではなかった。
なお、心筋炎や心膜炎といった心臓に関わる症状は、今回の集計期間では新たな報告はなかった。
なぜ報告が多いワクチンがあるのか
今回、特にMeiji Seikaファルマのワクチンで報告がやや多かった。これは「市販直後調査」と呼ばれる仕組みが影響しているという。新しいワクチンが使われ始めた直後には、メーカーが医療機関を集中的に訪問し、副反応に関する情報を細かく集めるため、他社より報告が増える傾向がある。部会では、この点を考慮しながら今後も状況を注視すると説明された。
大規模調査で分かったこと
部会では、全国規模で行われた大規模調査の最終報告も紹介された。この調査は2021年から始まり、全国128の医療機関が参加、約5万人が対象となった。
調査の結果、ワクチン接種後に作られる抗体は、半年ほど経つと大きく減っていくことが分かった。また、ウイルスと戦う免疫の力も同じように低下する傾向が見られた。これらのデータは既に海外の専門誌に掲載されており、今後さらに国際的に発表されていく予定だという。
報告を行った研究者は「今回の調査は緊急の状況下で迅速に実施された。次の感染症の流行に備えるためにも、平時から研究者同士のネットワークを作り、速やかに調査ができる体制を整えることが重要だ」と強調した。
安全性に関する結論
審議の最後には、ファイザー、モデルナ、武田薬品、第一三共、Meiji Seikaファルマの5社のワクチンについて、安全性に重大な懸念は認められないと改めて確認された。現時点で接種の進め方を見直す必要はなく、今後も副反応の報告を丁寧に追いながら、引き続き監視を続けていくとされた。