お肉の生食は危険、厚労省が注意喚起 牛・豚・鶏も要注意 肉の生食で命に関わるリスク
厚生労働省は20日公表のWEBマガジン「厚生労働」で、牛・豚・鶏などの生肉や加熱不十分な肉を食べることで発生する食中毒のリスクについて注意を呼び掛けている。
肉の食中毒は、新鮮さでは防げず、重症化すると命にかかわる危険がある。厚労省は「中心までしっかり加熱し、温度管理と二次汚染防止を徹底すること」が最大の予防策であると強調している。
発症と重症化の危険性
食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、E型肝炎ウイルス、さらには寄生虫などは、家畜や家きんの腸内に存在しており、と畜の過程や流通段階で肉や内臓に付着することがある。そのため、生や加熱不十分な状態で摂取することは非常に危険だ。
肉による食中毒は、下痢や嘔吐にとどまらず、腎障害や肝炎など重篤な症状を引き起こす場合がある。特に小児や高齢者、妊婦、免疫機能が低下している人では重症化のリスクが高い。2011年に牛肉ユッケが原因となった集団食中毒では181人が発症し、5人が死亡した。
牛のレバーや豚肉(内臓を含む)については、生食用としての販売が禁止されている。これは、病原体が肉の表面だけでなく内部からも検出されたためである。他の動物の肉や内臓についても、もともと生食を前提とした食品ではないとされる。
予防のための加熱と調理管理
肉の食中毒を防ぐには、中心部までしっかり加熱することが必要。中心温度75℃で1分以上の加熱が推奨され、特に挽肉を使ったハンバーグなどは内部まで十分に火を通すことが重要である。肉汁が透明になり中心が白くなることが安全の目安とされている。
また、保存方法と2次汚染防止も欠かせない。肉は冷蔵保存を徹底し、持ち帰り時には保冷剤を使用する。保存時には肉汁が他の食品にかからないように包装する必要がある。さらに、生肉を扱った器具や手指から病原体が広がる二次汚染にも注意し、調理器具や箸の使い分け、十分な洗浄が求められる。
新鮮でも安心じゃない
「新鮮だから安全」という認識は誤り。過去には「新鮮だからこそできる」とうたった鶏肉料理で、500人以上がカンピロバクター食中毒を起こした例も。バーベキューなど屋外調理では火加減が難しく、保存温度や器具の衛生管理も不十分になりがちなため、特に注意が必要だ。
海外でも生肉の摂取による腸管出血性大腸菌などの重篤な食中毒が報告されている。厚労省は、旅行先でも加熱不十分な肉を食べないよう呼びかけている。
詳細はこちらから「食中毒予防:お肉はよく加熱して食べよう~お肉の生食はとても危険です!」
(冒頭の画像:WEBマガジンより転載)