2024年度「消費者相談報告書」 ネット通販トラブルが急増~経産省
経済産業省は8日、2024年度(令和6年度)の「消費者相談報告書」を公表した。相談件数は前年度比2.3%減となったが、内容別では「特定商取引法関係」が約68%を占めた。中でも通信販売は1,428件と大幅増で、インターネット通販における定期購入契約のトラブルが拡大傾向にあり、訪問販売や電話勧誘による高齢者層の被害が依然として多い実態を示した。また、個人情報関係や製品安全性に関する相談が急増しており、消費者保護の課題が多様化している実態が浮き彫りとなった。
相談件数は7,020件 割賦・特商法関連が中心
報告書によれば、同年度に経済産業省消費者相談室が受け付けた相談件数は7,020件で、前年度比2.3%減となった。減少の要因としては、割賦関係や特定商取引法関係の一部項目における相談減が挙げられる。同省への相談は2,192件(8.6%減)、経済産業局への相談は4,828件(0.9%増)だった。
相談の内訳を見ると、「特定商取引法関係」が4,746件で全体の約68%を占め、最多となった(前年比0.6%減)。このうち「訪問販売」は1,452件(5.6%減)であり、住宅設備の工事や修繕に関するものが多く、特に冷暖房給湯設備や電源・配線器具に関する相談が増加した。
定期購入契約のトラブルが目立つ通信販売
「通信販売」は1,428件(16.1%増)と大幅に増加し、その約9割がインターネット通販に関するものだった。中でも定期購入契約に関するトラブルが顕著であり、「初回特価」や「回数縛りなし」といった広告表示から、意図せず年間契約に移行する事例が多数報告されている。
「電話勧誘販売」は867件(6.4%増)で、SNSグループや会議アプリを介した勧誘手法が目立った。
割賦関係の相談は839件(3.2%減)で、このうち後払割賦(クレジットカード等)が758件を占めた。不正利用や身に覚えのない請求に関する相談が多く寄せられている。その他、個人情報関係の相談は23件(155.6%増)と急増し、目的外利用など管理面での懸念が浮き彫りとなった。製品関係の相談は352件(2.2%減)だったが、安全性に関する相談は53.8%増加しており、リコール対応や法令表示に関する不満が目立つ。
中高年層からの相談が過半数
相談者の属性別では、個人(本人等)からの相談が52.8%、消費生活センター等からの相談が47.2%だった。年代別では、50代が25.1%で最多、次いで60代(20.4%)、70歳以上(18.4%)の順で、中高年層からの相談が過半数を占める。
報告書は、ネット通販における定期購入問題が拡大傾向にあり、訪問販売や電話勧誘による高齢者層の被害が依然として多い実態を示した。また、個人情報や製品安全性に関する相談増加は、消費者保護の課題が多様化していることを示唆している。
【編集部】