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小林製薬、健康被害の補償進める 少なくとも450~500人に支払いへ、腎機能障害以外も対象に

 紅麹サプリを巡る健康被害を起こした小林製薬㈱(大阪市中央区)が被害補償を進めている。問題の公表から1年以上が経過。症状が落ち着き、補償額の算出が可能になるケースが増えてきたためだ。
 7月末時点で約1,310人から問い合わせがあり、うち約840人が補償を申請。申請書類の確認が済んだ約780人のうち、実際には当該サプリを摂取していなかった人などを除く約6割、およそ450~500人が補償対象になった。すでに補償額などについて合意できた約100人への支払いを終えているという。
 5日、報道関係者向けに行った2025年12月期第2四半期決算説明会の中で明らかにした。

25年4~6月期、22億円の特損計上

 同社は25年4~6月決算で、健康被害の慰謝料等の補償として16億円の追加引き当てを行うなど、22億円の特別損失を計上。1~6月累計では29億円の特損を積み増しており、これで紅麹サプリ健康被害問題に関連する特損は約150億円超となった。
 同社は健康被害を巡る補償申請に期限を設けていない。そのため、補償対象者がさらに増える可能性もある。ただ、同社は説明会で、今後の特損については「今回のような大きな金額での計上は発生しないと想定している」とした。

腎機能障害以外の症状非開示、「お客様の機微に触れる」

 健康被害を巡り、小林製薬には死亡事例の相談も寄せられていた。同社によれば、今月3日時点で416件。ただ、うち272件は当該サプリの摂取実態がなかった。一方、摂取が確認されて調査対象となったのは144件。うち89件は、調査同意を取得できないなどの理由で調査困難となり、残る55件のうち54件は調査完了、1件で調査を継続しているという。同社は5日の説明会で、「因果関係が明らかになったお客様はいない」と説明した。
 ただ、当該サプリの健康被害の主な症状とされる腎機能障害以外の症状を訴える人も存在するという。そのため、被害補償の対象も、腎機能障害に限定していないという。一方で、その他にどのような症状が相談されているのかについては、「お客様の機微に触れる情報でもあるので差し控える」として明らかにしなかった。
 国が進めた原因究明調査で、当該サプリに意図せず含まれていたプベルル酸に腎毒性のあることが動物試験で確認されている。ただ、それ以外の毒性を持つのかは定かでなない。
 この日の説明会に参加した記者からは、腎機能障害以外に相談されている症状を公表するよう求める意見も上がった。公表することで「こういう被害があるのだということに(消費者が)気付く」

中間期決算、減収減益

 小林製薬が同日発表した25年12月期中間決算は、売上高は前年同期比5.6%減の690億円、営業利益は同29.8%減の66億円の減収減益となった。
 国内事業の売上高は同5.4%減の517億円、国際事業の売上高は同6.2%減の170億円で、国内外とも減少した。国内では健康食品などのヘルスケア事業の売上高が8.9%減の271億円、今期限りで撤退する健康食品などの自社通販事業は同45.8%減の14億円と大幅に減少した。

健康食品含めてテレビ広告再開も苦しい状況

 同社は健康被害問題の公表以降、停止していた広告を5月から再開。8月1日からは、健康食品を含む全てのブランドについてテレビ広告を再開した。25年通期の売上高は前期比3.3%増の1,710億円を見込む。
 ただ、健康被害問題の影響で、健康食品をはじめとする同社の食品事業を取り巻く環境は厳しい。5日の説明会で豊田賀一社長は、「昨年の段階で小売店が定番品のスペースを減少するなど、ブランドがダメージを受けている」と話した。
 また、撤退を決めた自社通販事業について、「売上が低下すると広告も十分に打てない。既存のお客様も一定程度離反されていくなかで、事業を成長させていくのは難しい」と語った。自社通販事業で取り扱っている『エディケアEX』などの一部製品は、他社ECサイトを通じて販売を継続するという。
 健康食品など食品事業の今後については、収益構造を変革させることで、持続的な成長を図っていく方向性を示したが、詳細については語らなかった。

【石川太郎】

(冒頭の写真:5日の報道機関向け中間決算説明会は大阪の会場とオンラインのハイブリッドで開催。豊田社長のほか役員2人が登壇した)

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