機能性表示食品制度巡り再度問題提起 関東弁護士会連合会、制度改正も「なお問題点ある」
関東甲信越の各都県及び静岡県にある計13の弁護士会で構成される関東弁護士連合会(東京都千代田区)が、機能性表示食品制度の廃止を求める意見書を今月25日までに取りまとめ、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者委員会委員長、そして消費者長官に提出したことが分かった。
健康食品を巡っては、同連合会とは別組織の日本弁護士連合会が今月、機能性表示食品であるか否かを問わず、サプリメント全体に対する法規制を整備するよう国に求める意見書を取りまとめ、厚生労働大臣や消費者庁長官などに提出している。
関東弁護士連合会が機能性表示食品制度の廃止を求める意見書をとりまとめて公表するのは、2019年3月に続いて2度目。意見書は同連合会のウェブサイト上に公表しており、今月22日付の意見書では、昨年生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、安全性や機能性をはじめ製造・品質管理に関する遵守事項が法令で規定されることになった現行の機能性表示食品制度について、「なお問題点がある」とし、同制度を「廃止すべきである」と意見した。
制度を廃止すべき理由としては、「依然届出制が維持」されていることを挙げ、許可制ではないことを問題視。届出制のままでは、「機能性についての科学的根拠が不十分な商品であったとしても、食品関連事業者等が届出を撤回しなければ、届出自体は残ることになる」などと指摘している。
また、「仮に機能性表示食品の制度を廃止できない場合であっても」として、「食品の安全性を確保し、機能性の科学的根拠が十分合理的と評価できるものに限定するよう必要な措置を講じる」ことを求めつつ、届出制から許可制への移行や監督強化などを要求。さらに、機能性表示食品の表示について、適格消費者団体に認められている差止請求権の「対象とすべき」だと訴えている。
意見書を取りまとめた、同連合会の消費者問題対策委員会に所属する舟木諒弁護士(群馬弁護士会所属)は取材に、改めて機能性表示食品制度の廃止を意見した理由について、「小林製薬の問題を受け、制度が改正された。以前に比べれば改善されたと認識しているが、問題の根本は解決されていない。(企業責任である制度には)理論的に問題がかなりある。この制度が本当に必要なのかという注意喚起も含めて、問題提起する必要があると考えた」と述べた。
【石川太郎】
(冒頭の写真:機能性表表示食品に関する意見書が掲載された関東弁護士会連合会のウェブサイト)